第23話 三姫
「.......」
「3人とも、全然動きませんね...」
【
動かない【
「クライスさん、良く聞いてください。娘達の戦闘スタイルについてお話します。
先ず長女ハイドラは槍を主体に戦います。3人の中で1番の実力者です。氷魔法も使います。
続いて次女ファフニル...大剣が武器です。1番のパワータイプで炎魔法を使います。
そして最後、三女のオロチ。あの子は3人の中で1番【
「【
「我々はこの様に好きな部位に鱗を生やすことができます」
そう言うとナーガはクライスに自分の腕を見せ、鱗を生やして見せた!!
「これは【
「つまり肉弾戦が得意ということですね!」
「その通りです。遠距離攻撃の無いオロチから攻略しましょう」
「わかりました!」
武器を構えるナーガとクライス...
しかし、【
まるで糸の切れた人形のようだ...
「.........」
「市長、これって...?」
「油断は禁物です...!」
ジリジリと距離を詰めていく2人...
その時、長女ハイドラが突然動きだした!!
「クライスさん!!下です!!」
「え?」
「
ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!
ナーガとクライスの足元に魔法陣が展開され、鋭い氷が何本も生えてきた!!
「危ねぇ〜...」
ナーガとクライスはジャンプして避けることに成功した。
ハイドラの魔法が開戦の合図と言わんばかりに、ファフニルとオロチも動きだした!!
「クライスさん!来ます!!」
クライス目掛けて、オロチが突進してきた!!
ナーガの言っていた通り、オロチは両手の拳に【
「...
ブンッ!!
「うぉわっ!!」
クライスはギリギリの所で躱した!!
ズドォォォンッ!!
オロチの拳は地面をハイドラの氷ごと粉砕した!!
「なんて威力だ...」
「殲滅...殲滅...殲滅...」
「壊れた人形みたいになってる...」
クライスとオロチが相対している隣でナーガにファフニルが襲いかかった!!
ファフニルは炎を纏った大剣でナーガに斬りかかった!!
「殲滅...」
キンッ!!ギリリリリリ...
ナーガは大太刀でファフニルの一撃を受け止めた...
「随分と重たい一撃を出せるようになりましたね...流石、私の娘です...ですが...」
ガンッ!!
ナーガはファフニルを押し返した!!
「まだまだ甘い!!久しぶりに鍛えてあげましょう!!」
「殲滅...」
ブォンッ!!
ファフニルは大剣を振り回し、ナーガへ攻撃を仕掛ける!!
キンッ!!キンッ!!キンッ!!
しかしナーガは余裕そうに全ての剣撃を受け流していく!!
「フフッ...どうしたのですか?まだまだこんなものではないでしょう?」
「殲滅...殲滅...殲滅...」
現役を引退したとはいえ、ナーガは元S級冒険者。まだまだ余力を残している。
なんなら、この状況を楽しんでいるようにすら見える...
一方クライスは、オロチの動きをどうにか止めようと必死だった!!
ナーガ市長、すごい...
こっちは避けるのに精一杯なのに...
「殲滅...」
オロチの拳がクライスを襲う!!
ドゴンッ!!ドゴンッ!!
「クソッ!!どうにかして動きを止めないと...!!」
こんな時に【
スケイルシティに到着するまで、フレイアと共に剣とスキルの修行をしてきた。
しかし、たった数日でスキルを使いこなせるようになるなんて虫のいい話なんて無い。
ぶっつけ本番でやるしかない...
クライスはアイリがフレイアに言ったアドバイスを思いだしていた...
『私の場合はイメージを大切にしてますね!こうしたい!とか...こうなりたい!みたいな感じで、心の中に具体的なイメージを持つようにしてますね!」
イメージ...
そう、大事なのはイメージだ...
今、自分がしたいことが何なのか...
何をやり遂げたいのか...
俺がしたいこと...それは...
『皆を助けたい!!』
「俺の中の【
皆を助けたいという願いに応えるかのように、クライスの左手に炎が発生した!!
「この炎は.....よし、大事なのはイメージだ!!やってやる!!」
「殲滅...殲滅...」
ブンッ!!
オロチは大きくタメを作り、必殺技を放った!!
「
ズドォォォンッ!!
凄まじい衝撃波を起こしながら、オロチの拳がクライスに迫る!!
「いくぞ!!【
クライスは地面に左手をつき、炎の壁を発生させた!!
だがオロチは止まらい!!【
ブォォンッ!!
オロチの拳は【
「???」
【
「残念!こっちだ!!」
「!!!」
クライスはジャンプして空中に避難していた!!
狙いは最初から防御では無く、目眩ましだったのだ。
『一瞬で良いから隙を作る』
そのための布石であった。
「【
クライスは炎で作った縄でオロチを拘束した!!
「よし!動きを止めた!!」
ジュー...
【
捕獲には向かない技だが、今はそんなことを言っている場合ではない!!
長時間相手を拘束できる技ではないため、ここからはスピード勝負となる!!
幾ら頑丈な【
早くしないとオロチに大ダメージを与えてしまう!!
「いくぞ!!【解呪】!!」
クライスがオロチに触れようした瞬間、後に控えていたハイドラが魔法を放った!!
「
広範囲の氷魔法がクライスを襲う!!
「クッ!!」
クライスは咄嗟の攻撃を回避することはできたのだが...
「しまった!!」
集中力が欠けてしまい【
「クソッ!!もう少しだったのに!!」
ハイドラの攻撃は終わらない!!
今度は巨大な魔法陣を空中に展開した!!
これにいち早く反応したファフニルはナーガとの距離を取った!!
「!!!クライスさん!!!上です!!!」
「え?」
「
ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ!!
次から次に巨大な
「ウワァァァッ!!」
ドカァァァンッ!!
クライスとナーガは氷の中へと消えた。
「殲滅...完了...」
【
その時...
「風神流壱ノ型・
ドゴォォンッ!!
ナーガの奥義が氷を砕いた!!
「.......殲滅対象...生存確認...」
「クライスさん、大丈夫ですか?」
「市長...ありがとうございます!!」
「礼には及びません。まだまだいけますね?」
「はい!勿論!!」
「殲滅...」
ファフニルとオロチが再び、突っ込んできた!!
「クライスさん、私が隙を作ります!!その間に解呪を!!」
「わかりました!!」
「ハァアアアー!!風神流弐ノ型・
ビュオオオオオオンッ!!
ナーガは大きな竜巻を作りだした!!
竜巻はそこら中に散らばっている氷塊や瓦礫を巻き上げ、ファフニルとオロチに衝突した!!
「グ...ガ...グ...」
ビュオオオオオオオオオンッ!!
激しさを増す竜巻にファフニルとオロチは巻き込まれた!!
ドゴッ!!ドカッ!!バキッ!!
巻き上げられた2人は氷塊や瓦礫がぶつかり、ダメージをくらっていく!!
ファフニルは全身に炎を纏わせ、どうにか竜巻から脱出した!!
だがオロチは回避が間に合わず、地面に叩きつけられた!!
ドカァァァンッ!!
墜落したダメージでオロチはフラフラだ!!
「クライスさん!!今です!!」
「【
クライスはオロチを拘束し、右肩に触れた!!
そして...
「【解呪】!!」
「グワァァァァァ!!」
【隷属の輪】から黒いオーラが抜けていくのがわかる!!
そして【隷属の輪】はボロボロと首から崩れ落ちた!!
「よし!!まず1人!!」
クライスは気を失ったオロチを抱き上げた。
「クライスさん、娘をこちらへ!!」
ナーガは魔法陣を展開し、結界を作った!!
「この中に入れば安全でしょう」
クライスは結界の中にオロチを寝かせた。
その様子を見ていたハイドラは槍を構えた!!
どうやら、ここからが本気らしい...
「対象...殲滅...開始...」
凍気を纏った槍でナーガに襲いかかるハイドラ!!
そしてファフニルはクライスに対して大剣を振り下ろした!!
風VS氷!!
炎VS炎!!
という状況になってしまった!!
ファフニルは大剣に炎を纏わせ技を放つ!!
「
キンッ!!
クライスはファフニルの一撃を剣で受け止めたが、威力に負けて弾き飛ばされてしまった!!
ドォーンッ!!
メリメリメリ...
後にあった氷塊に身体がめり込んだ!!
「ガハッ...なんて力だ...」
ファフニルは氷塊にめり込んでいるクライスに向かって飛ぶ斬撃を放った!!
「
ゴオォォォォォォォッ!!
ファフニルの斬撃が迫る!!
ヤバい...!!避けきれない...!!
死ぬ.....!!
クライスが死を覚悟したその時...
「ハッ!!」
ザシュッ!!
ナーガが割って入り、ファフニルの斬撃を相殺した!!
「大丈夫ですか?」
「すみません...市長...」
ナーガの手を見ると、左手が凍傷になっていた!!
「市長!手が...!!」
「問題ありません」
ナーガはクライスがピンチになっていることに気を取られ、一瞬の隙を突かれ、ハイドラからの攻撃を受けてしまっていたのだ。
「市長、俺のせいで...」
「気にしないでください。片手でも問題ありませんから」
そう言うとナーガは右手に思いきり力をいれた...
グググ...
シャキンッ...
ナーガは体勢を低くし、大太刀を思いきり振り抜いた!!
「風神流参ノ型・
ビュオオオオオオンッ!!ヒュンッ!!ヒュンッ!!ヒュンッ!!
無数の風の刃がハイドラとファフニルに襲いかかる!!
「
グォンッ!!
ハイドラはファフニルごと自身を包み込む様に氷の壁を出現させ防御に徹した!!
ガンッガンッガンッガンッガンッ!!
風の刃が氷の壁を削っていく...!!
ガンッガンッガンッガンッガンッガン!!
「.......」
ハイドラはナーガの技を全て耐えきった!!
ピチャ...
「???」
ピチャ...ピチャ...ピチャ...
何故かハイドラの氷の壁から水滴が尋常じゃない速度で落ちてくる!!
「.....!?」
ガキンッ!!ドゴォォォォンッ!!
いきなり氷の壁が割れた!!
「うぉぉー!!」
クライスが炎を纏わせた剣で氷を砕いて突破したのだ!!
「いくぞ!!ぶっつけ本番だ!!」
今まで成功してこなかった技だけど...今ならできる気がする!!
ハイドラを攻撃しようするクライスの前にファフニルが躍り出た!!
だが、クライスの後に控えていたナーガがファフニルに反応した!!
「邪魔はさせません!!風神流肆ノ型・乱れ嵐!!」
ザシュッザシュッザシュッザシュッザシュ!!
ナーガはファフニルに何発も斬撃を浴びせた!!
勿論、峰打ちだ!!
決めきれないファルコとは大違い!!
「...ガハッ...」
ドサッ...
全身に打撲を負い、ファフニルはその場に倒れ込んだ!!
「安心しなさい。峰打ちです...!!」
あとはハイドラのみ!!
突っ込んでくるクライスにハイドラは自身最強の技を放つ!!
「
絶対零度の凍気を纏った槍でクライスを攻撃する!!
クライスも負けじと、己の剣に炎を纏わせる!!
メラメラメラメラッ!!
「いくぞ!!【
ドガンッ!!!
ブワッ!!
クライスの剣とハイドラの槍がぶつかり水蒸気が辺りを包む!!
「クッ...」
「.....」
ハイドラは表情1つ変えず、槍を押し込んでくる!!
このままでは押し負ける!!
もっと...もっとだ...!!もっと火力を...!!
「負けて...たまるかー!!!」
クライスの感情の昂りと共に炎の威力が強まった!!
「.....!?」
クライスの剣がハイドラの槍をどんどん溶かしていく!!
「うぉぉー!!いけぇー!!!」
ガキンッ!!
遂にクライスはハイドラの槍を弾き飛ばした!!
「この距離なら十分だ!!」
クライスは体勢を崩したハイドラの腕を掴んだ!!
「【解呪】!!」
「グワァァァァァァァ...」
シュ〜...
ハイドラに装着された【隷属の輪】から黒いオーラが抜けていく!!
「良かった...」
無事、ハイドラの呪いも解くことができた!!
「クライスさん、ファフニルもお願いします!!」
「はい!!」
クライスは気絶しているファフニルの元へ行き、手を握った。
「よし...【解呪】!!」
「ウ....ア......」
シュ〜...
ファフニルの【隷属の輪】からも黒いオーラが抜けていき、ボロボロと崩れ落ちた。
「やっと終わった...」
「ありがとうございます。クライスさんのおかげで娘達を取り戻すことができました」
「こちらこそ!!ナーガ市長の助けがなければ不可能でした...」
【解呪】を連続で使ったから魔力も体力もギリギリだ...
フラフラする...
「あれ?クライスさん、剣は?」
「え?あ...焦って、そこに置いちゃってました...」
クライスは置いていた剣を拾おうとした。
「えっ!?」
「どうしたのですか?」
「け、剣が...俺の剣が...」
なんとクライスの剣は【
「俺の剣が...」
「火力が高過ぎたみたいですね...」
「そんな〜...ガックシ...」
なにはともあれ、クライス&ナーガVS【
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