第43話

「気持ち、変わってないよね?」

 聞かれて、セレスティーンはきょとんとする。

「気持ちって?」

「結婚の」

 改めて言われて、セレスティーンはどきっとした。


「変わってるはずないよね。俺の国に連れて行くって言ったら、「待ってる」って返事をくれた」

「……夢だと思ってたから。まさか現実になるなんて……」


「嫌だった?」

「嫌……なわけじゃないわ。ただ、急すぎて」


「前から言っておいたのに」

 アーロンは苦笑する。


「君がなんと言おうと、俺は君を連れて行くつもりだけど」

「……でも、私に良くしてくれた方たちに挨拶ができないのが心残りで」


「あとからいくらでもできる。手紙を出してもいいし、その人たちの夢で挨拶をしてもいいし」

 驚いて彼を見ると、彼は優し気な笑みを浮かべて頷く。

 確かに、彼の魔術を使えばたやすいのだろう。


「望むことはなんでも俺が叶える。だから君は一つの憂いもなく俺の元へ来てくれ」

「わかったわ」


 セレスティーンの胸にはただ喜びが生まれる。彼と一緒に生涯を過ごせる。そんな幸せなことがあるなんて、夢が現実になるなんて。

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