第17話 お風呂に...

 「全然喋ってくれなかったじゃ~ん‼‼‼」

 おぞましい大声で桜夜は凛大に怒鳴りつける。

 「ホントごめん!ちょっと今日は余裕なくて...」

 必死に誤解を解こうとする。が、桜夜の怒りは収まらない。

 「反省してるなら何か反省の態度を見せてよ」

 「たとえば?...」

 桜夜の言葉に反応すると...

 「明日はずっと一緒にいるとか... それか一緒にお風呂入るとか!」

 「却下ぁ!」

 なんていう茶番をしていると、一件の依頼通知が入る。


 「『防衛軍より緊急応援要請』って何かあったのかな?」


 桜夜は、呟く。しかし、もうすぐ母が帰ってくることを考えると今からは出かけられない。せめて母が寝てしまってからでなければ特に依頼関係は動けない。


 「ただいま~」


 母が帰宅する。

 「なにかいい匂いがする?」

 母はなにかにすぐ築いた。

 「にゃぁ~ん」

 桜夜は、玄関で母を出迎えた。

 「あら桜夜ちゃん?どうしたの~?」

 母は桜夜を抱っこしてリビングに入った。リビングには机の上に料理が並べられている。

 「わぁ!おいしそう!」

 母は料理を見てそのまま思ったことを述べる。米、唐揚げ、みそ汁、サラダなんていう、至って普通のご飯。いや、普通なのだろうか。この頃こんなに一汁三菜みたいな日本の食事感のあるものをキッチリ作る家庭も減ってきているのではないだろうか。

 「たまにはと思って頑張ってみた!桜夜と一緒にね~」

 「みゃーぉ」

 凛大と桜夜はドヤ顔で説明する。

 「先にご飯食べる?お風呂入る?」

 凛大は母に質問した。早く母を寝かせるためというのはここだけの秘密である。

 「じゃあ、冷めないうちにご飯を食べちゃおっかな~」

 そう言って母は席に座る。

 「「いただきます」」

 そのまま、みんなで夕飯を食べ始める。


 「じゃあ、お風呂入ってくるね~」

 母はお風呂へ向かった。


 「体は綺麗なんだけど...ほんとにお風呂入ったの?」

 桜夜は凛大に質問してきた。それは、夕飯を作り始める前のこと...



 「分かったから。とりあえず、早く任務に向かうために母を早く眠らせることだ。そのためにまず夕飯は作っておこうと思う。お風呂も済ませておかないとね...」

 「じゃあじゃあ!一緒にお風呂入れるの?」

 「まぁまぁ、お風呂入る準備してくるから待ってて」

 そのまま、荷物を置いて寝間着を取るために、自分の部屋に向かった。桜夜はリビングで落ち着きもなくヒト型のまま歩き回っている。準備を終えて...

 「よし、桜夜をしっかり洗わなきゃね...」

 「念願のお風呂...」

 桜夜は、待ちわびたように鼻息をフンスフンスとたてている。

 「”桜夜の体”はね?」

 「え?」

 凛大は指をパチンと鳴らす。依頼から帰った時などに使っている、体を清潔にする能力である。


 『そうだった...お風呂に入らずとも綺麗にできるんだ...でも!まだだ!まだ覗けないわけでもないんだ!凛大の入浴中に覗けば...』

なんていう、桜夜の下心は凛大に筒抜けである。

 「よしヒト型は綺麗になったし、ネコになってもらおうか?」

 おとなしく桜夜はネコ型になる。

 「霊魂隔離れいこんかくり

 凛大の詠唱が桜夜に影響を与える。気づけば桜夜は体が薄く透けていた。さらに言えば、”動いていない通常の体”と”動いている透けた体”に分かれている。何もわからず、桜夜はされるがままになる。


 「そして霊魂捕縛れいこんほばく


 凛大の詠唱で、透けている桜夜は、ほぼ動けなくなった。

 「じゃあとお風呂入ってくるから。おとなしくは待っててねぇ~」

 嘲笑うかのように凛大は桜夜の体を持ってお風呂に入った。お風呂から上がったとき、桜夜は透けたままヒト型になって顔を赤くして悶えていた。

 「私の体が洗われてる...凄い...触ってる感覚がそのまま伝わってた...」

 その桜夜の一言で凛大はすべてを理解した。ある意味新しい世界を見せてしまっていたのだ。(意味深)


 「やらかしたなぁ」

 「そんなに隅々まで私を洗ってくれるんだぁ~嬉しいなぁ...」

 桜夜は欲望のままに思いを述べる。凛大は桜夜の肉体と魂を分離して、体だけ洗えば、一緒に入浴したことになるかなぁなんて思っていたが、凛大は、肉体と魂の感覚の共有を切っていなかったため、凛大の触れている感触がそのまま伝わってしまったのである。真面目に隅々まで洗ったのが逆効果だっただろうか。『一緒にお風呂というのも断っておけばよかったな。断らずに済む方法なんて考えなければよかった』と心の中で後悔していた。

 「また!明日m...」

 「記憶改竄きおくかいざん

 凛大は何一つ気にすることもなく桜夜の記憶を作り替えたのだった...


 そして、時は戻る

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