ようこそ特殊現象対策室へ

綴音華柏(つづねこはく)

プロローグ 地下室の机1つ


古びたエレベーターに乗り込み、階層が下がるたびにほんの少しずつ空気が重くなっている気がする。


地下三階。それが私の新しい職場。チンという機械音が辺りに響き渡れば私は壁にかけられているプレートを見つめ小さく息を吐いた。


貰っていた鍵を差し込み扉を開けた瞬間、冷たい空気が頬を撫でた。思ったよりも広くなく机と椅子が1つあるだけ。壁際には整然と並んだファイルがあった。


水無瀬 澪みなせ みおさん……ですね?」


机の向こうから声が響き淡い光を反射する眼鏡の奥で私を見つめていた。穏やかな声。なのに周りの空気の温度が一瞬変わったかのように思えた。


「ようこそ。特殊現象対策室へ」


月森 悠……彼がこの小さな部屋の室長であり私の上司となる人。そしてここが都市伝説や噂の真実を追い、保存する場所。


私が初めて【怪異】と呼ばれる物に向き合う事になる場所。

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