地味系女子と王子様との恋は成立しますか?!〜恋人ごっこしようよと言われた時から過ぎ去った平凡が甘酸っぱい青春へと変わる時〜
ユウキ・アカツキ
第1話過ぎ去った平凡
平凡というのは過ぎ去るものである。
そんな事を誰かが、言ってたような……言ってなかったような……
そんな、気がする。
実際、平凡なんていうものは必ず過ぎ去って、崩れ去っていくものなのだから、それはとてもしょうがない出来事として観測されていくのだろう。
いや、平凡というのはいつも誰かが持ってるものじゃない。
ごく一部の平凡な人だけが持っていて平凡な人は本当は平凡ではない、とても幸せな境遇の中にいる人間なのだから。
まあでも実際、平凡なんていうものはすぐそこにあって唐突に無くなるものではない。
永遠に付きまとうものなのだろうという……事を最近わたしは思っていたはずなのに……
「なのに……」
「ん?何か言ったか?」
「えっ?!う、ううん……そんな、こと……ないよ……」
「ならいいんだっ、ほらそこの店のパフェ上手いんだ、行こうぜ」
「うん……」
なんでこんな……陽キャと一緒に居なきゃいけないんだ……
ほ、ほんとに……意味がわからない……
わけも分からないし……どうして……どうしてこんなことに……!!
いや、どうしてなんて考えたらそれは……数週間前に……起きた……とある事件によって私のこの学校生活で過ごしていた平凡な日常が終わりを迎えることになった。
数週間前。
私は、あの時は……ただつまらなさそうに廊下を歩いていたんだろうな。
まあ……きっと、だけど周りからしてみれば普通オブ普通の女子。
クラスの隅に居て、ライトノベルとか読んでそうで誰にも絡まれることの無い……少し寂しい感じ。
それぐらいが……私には、
まあ、言ってしまえば私は根暗のようなそのくらい自信の無い女の子……だったのかもしれない。
それぐらい、私はただただ暗かった人間だったのかもしれない。
いや、それ以上に……周りの人達は……私の事なんて気にもかけていなかったから別にどうでもいい。
それで私にメリットなんてもんはないから私からしてみれば別に話しかけても生産性なんて無いですよ、的な感じだ。
だから、そんなことを思いつつ……私は帰路に着くために歩き続けた。
「今日は……何見ようかなぁ……」
プラモデル、作るのもいいし……ラノベを読むでもいい……アニメを見るでもいい……
最近気になってる、
まあ……誰にも遊びに誘われないから別に、いいんですけど。
「「「きゃぁぁぁぁあ!!!」」」
「へ……?なになに……?」
声がいきなりして……すごく驚いてしまったけれど……その正体を見て凄く納得した。
その姿は、金髪でイケメンで、制服を着崩してはいるけれどアクセとかは付けてない……
でも、それを付けたら多分だけどかっこよくなるだろうなって印象がすごく強い。
高身長で、性格も良くて、とても人受けがいい。
私とは違うクラスだけど、その噂はよく聞くほどの人……
その人の名は、
この高校一の人気者であり、陽キャなのだ。
私からしたら、絶対関わることはないだろうなって思う。
「はぁ……怖い怖い……早く帰ろう」
その場を、早く立ち去るように私は廊下を歩き続ける。
誰にも見られず、誰にも声をかけられることなく……
色んな人は……みんな、みんな……遊びに行く話をしててずるいなぁ……
いや、ずるいなんて……ずるいなんて思ったりしない。
私は、その、一人になりたいから……そう、なってる訳であって……
けして、けしてけして……羨ましいなんて……思うわけ……ないじゃないですか……
「きゃー!!遼西くんー!!」
「きゃっ……」
多分、私と同じ学年の女生徒とぶつかって、コケてしまった……
しかも、謝罪なし……か……
まあ、しょうがないよね、こんな私なんかに謝る時間というのが無駄なのだから……
「立たなきゃ……邪魔になる……」
「ねぇ、大丈夫?」
「は、はい……大丈夫です……って、え?」
声がして……差し出された方の手を見てみると……
よく聞いたことがあるような……って、いや違う……え?この声って……
さっきの、望星くん……だよね。
なんで?なんで私なんかの手を握ろうとしてるの?
え、待って……全然意味がわからない……ほんとによく分からない……
でも、よく見ると……望星くんとかじゃないとか……そういうことは……
いや、現実だ……現実すぎて全然追いつけないんだけど……
「ん?俺がなんか問題あった?」
問題ありまくりですよ……
周りの目を見てください……だって、見てください……
ジト目とか……羨ましがる目とか……色々とあるんですよ……?!
しかもあなたは人気者だ……
こんな、私なんかと関わる前に周りの子とか見てあげなさいよ……
「い、い、い、い、い、も、も、も、問題ありません!!し、失礼します!!」
「待って!」
立ち上がり、その場を全速力で立ち去ろうとしたら勢いよく、腕を掴まれた。
え、怖い、ちょっと待って、ほんとに怖い。
ほんとにやめてください、周りが……ほんとに周りの人達が怖いから……
「どうしたの……?」
「い、い、いえ……その……な、なにか、よう、なんですか?」
「用というか……その、多分……僕は君のような子を探してた……そんな気がする」
「へ……?」
何を言ってるんだ……この人は……
会っていきなり、そして、私を助けてくれたのは……いいんだけど……それを、いやその勢いで……何を言っているんだ……?!
「遼西くんの知りあい?」
「何この子……誰?」
「こんなブサイク……ほんとにこんなやつでいいの?」
まあ、こんな言われようはしますよね……知ってます……
だって、こんな……眼鏡をかけてツインテで地味で陰キャで何を考えてるか分からないこんなオタク女子が、いきなりこんな王子様と話しかけられたのだから……
そりゃ、こんな感じにもなりますよ……
ああ、聞きたくない聞きたくない……
「皆は黙っててくれ!これは、紗枝さんとの問題なんだ」
「名前を……」
「そんな、遼西先輩……」
「嘘でしょ……」
「ありえない……」
な、名前までも……知られているとは……まさかストーカーとか……
いや、こんな綺麗なストーカーが居たら怖いわ……
いや、いやいや……でも、でもだよ……?どうして望星くんがこんな私なんかを相手にするのか……それが、不思議なんだけど……
どうして……どうしてなのさ……
「理由は、ただ一つ……紗枝さん、僕と付き合って欲しい」
「お、お、お断り……します、ごめんなさい!!」
そう言い、私は……廊下を全力疾走で駆け抜けた。
引き止められても、誰かとぶつかったとしても関係ない。
それだけ、いきなり、そんなことを言われたから……
怖くなった。
びっくりした。
それ以上に……
なんで、私なのって気持ちがすごい強かった?
だけど、この出会いが運命だったんだろうなってことが後々分かるかもしれないけれど……
でも、
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