第9話
そこからの時間は、まるで嵐のように過ぎていった。
食料の確保、道具の整備、そしてドッペルたちの訓練。
気がつけば、ヒトガタとの戦闘も日常になっていた。
ひと月か、ふた月か。
体の脂肪は削がれ、筋肉が浮き上がる。
生活のリズムも整い、ようやく“生きる”ことに慣れ始めたころ、
ドッペルの力の本質が見え始めた。
まず分かったのは――分身での経験が、すべて自分の肉体に反映されるということ。
筋トレも走り込みも、分身が行えば自分も同じように強くなる。
この効果は想像以上で、分身の戦闘力も飛躍的に向上した。
ただし、ヒトガタのドッペルは一体が限度だった。
それ以上は生み出せず、無理をすれば意識が途切れる。
バケモノとの戦闘はほとんどヒトガタで対応した。
まれに現れる四足の影――トカゲのような化け物にも、
ヒトガタを出せば難なく討ち取れる。
一日に数回の交戦。
それでも、ドッペルを使えばヒトガタと互角に渡り合えるほどに成長していた。
その事実が、何よりの自信になっていった
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