美少女だらけの戦艦で、クールな女艦長に甘やかされながら戦闘ゼロの恋とハーレム生活してます

どとうのごぼう

第1話 目覚めたら銀髪美少女に抱きしめられて、俺は女の子になっていた


 目が覚めた時にまず感じたのは、何かに包まれているような全身の温かさだった。


 ここはどこだ……?

 俺は確か、何故か未来へ来て混乱してる中、廃墟で銀髪の少女を助ける代わりに死にかけて失神した……。

 覚えてるのはそこまでだ。


 隣を見ると、ベッドの上で目をつぶった銀髪の少女が俺を抱きしめていた。


「は?」


 ……彼女は俺が廃墟で助けた銀髪の少女だ。

 いや、意味不明すぎるんですけど!?


 この密着感……この感触……。

 彼女は柔らかくて、あたたかくて、ほんのり甘い匂いまでして、理性がぶっ壊れそうになる。

 それに、その……胸まで当たっている。


 なんで、こうなってんだ……!?


 視線を逸らした瞬間、天井の鏡に映ったのは、銀髪の少女に抱きしめられた見知らぬ金髪の美少女。


「……え、なんで……こんな状況……?」


 口から出た声は、想像よりも高く澄んでいた。

 鏡の中に映る金髪の美少女が俺の動きに合わせて目を見開き、引きつった顔をしている。


 いや、嘘だろ……お前、俺かよ!?


 腰まで届く金髪、勝ち気そうな瞳。

 しかも、寝巻き越しでもはっきり形がわかる、見たこともないサイズの膨らみ。ボタンが悲鳴を上げて今にも弾けそうだ。


 中身は俺なのに、どう見ても超美少女。

 なにこれ……でも可愛いな……。



「……目が覚めたのか? よかった……」


 銀髪の少女が目を開き、嬉しそうな笑みを浮かべた。


 ……その微笑みズルいだろ。

 あと距離、ゼロすぎない? 心臓止まるんだけど。


 彼女は月光を思わせる銀色のロングストレートで、身長は160cm弱ほど。

 端正な顔立ちは完成された美人そのもので、凛とした表情には近寄りがたい気品があった。


 なのに笑みを浮かべた表情は、年相応に可愛らしい印象を覗かせる。

 スタイルは均整が取れていて胸も豊かだ。――だが、俺の方がやや大きかった。


 ……って、なんで胸の大きさで勝ち誇ってるんだ俺は!? 女になっただけで混乱してるのに、優越感にひたるとか頭おかしいのか!?


「え、なんで……こんな状況……?」


 すると、彼女は落ち着いた声で説明した。


「君の体温が下がっていた。この地上戦艦は今暖房が壊れていてな。だからこうして君を暖めていたんだ」


 なるほど、抱きしめてたのは俺のためか。


「……いや、理屈、通ってるようで全然通ってないだろ!?」


 地上戦艦とかいう謎ワード出たのにそれが吹っ飛ぶレベルだわ!?

 こんな美少女から抱きしめられてるだけで胃が痛いんだが!?


「すまない、嫌だったか……?」


 彼女は悲しげな声色に変わる。


「嫌ではない……というか、嬉しいかな……」


 正直に答えてしまった。


「良かった……君が喜んでくれて……」


 彼女はホッとしたような笑みを浮かべた。

 その笑みをされただけで何も言えなくなる。


 けど、あの何もない廃墟で倒れて、意識を失っていく孤独な感覚がまだ身体に残っていて……それが、この温もりに今は心が救われていくようだった。

 ――そう思うと彼女には感謝しかない。



 視線をそらして周囲を見る。

 ベッドは毛布1枚。

 金属の壁にはランプが点滅し、機械の鼓動のような低い振動が身体へ伝わってくる。


 確かに戦艦の中みたいだ。

 でも問題はそこじゃない。抱きしめられてる事のほうが大問題だ。


「こうしてると、君のぬくもりが伝わってくる。……少し安心した」


 そんなこと耳元でささやかないでください。死んでしまいます。


 彼女は変わらず平然としているが、頬はうっすらと赤い。

 少しは恥ずかしいと思ってる……よな? ……だとしたら余計にドキドキする。


「体調はどうだ? 痛いところはないか?」


「いや……ないな。大丈夫だ」


 まあ、体調は大丈夫でも女の子になってる時点で大問題なんですけどね。


「良かった……本当に……」


 彼女は心底安堵したような笑みを浮かべる。


「私はカサネという。この戦艦の艦長だ。――君の名を聞いてもいいか?」


天城あまぎつばさだ……。

 年も言っとくと17歳だ」


「良い名だな。ツバサと呼んでいいか?」


「……あ、ああ」


 スムーズな名前交換。

 でも――


 普通こういうのってもっと別のタイミングでやるよな?


 状況としては、毛布の中で抱き合ったまま初対面自己紹介なんですけど!?

 順番、絶対間違ってるだろ!?


「私も君と同じ17歳だ。よろしく頼む」


「……うん、よろしく」


 密着したままの挨拶がこんなに動揺を生むとは……。

 恥ずかしさと、謎の安心感で心臓が疾走中だ。


「まだ寒いだろう?

 ずっとこうしているから安心してくれ」


「あ、ああ……」


 どもりつつも即答してしまった。


「どうした? 顔が赤くなっているが?」


「カサネも少し赤くなってるけど……」


「……恥ずかしいから当然だ」


 視線を逸らし、もじもじと指先をいじりながら、彼女はほんの少しだけ目を伏せた。

 平然そうなのに、やっぱり恥ずかしかったのか。


「君を暖めるために触れているだけ――。それなのに、変に落ち着いてしまうな……」



 ……なんだよこの子。可愛いな……。

 カサネは見た目はクールな銀髪美少女。声も落ち着いてて知的っぽい。

 なのに、言動がちょっとズレてるところが余計に可愛い。


 でも、他人の為に動いてくれてるのはちゃんと伝わってくる。

 真っすぐすぎて、ちょっと危なっかしいくらい優しい子だ。


「眩暈はないか? 昨日、君を助けてからまだ時間が経ってない」


「えっと、助けたって……どういう……」


 その言葉で、脳の奥に引っかかっていた違和感が急に浮かび上がってくる。



 昨日、俺は死にかけた時、カサネが何かをしてくれて、恐らくそれで――俺は女の子になってしまった。


 ――俺は昨日の記憶を辿ることにした。

 あの時、カサネが俺に何をしたのか。

 そして――あれが“女の子になった”原因なのだろう。




   ◇ ◇ ◇



 このときの俺はまだ知らなかった。

 この戦艦で女体化した俺が、カサネを含む美少女たちに振り回されて、その全員に本気で恋されるなんて――。


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