1章-幼馴染の恋の行方
1.1. ある幼馴染の中学時代の話
【side 藤原直人】
何の変わり映えも無い朝。僕は今日も隣に住む幼馴染の美咲と一緒に登校するために、眠い目をこすりながらタイミングを見計らって家を出る。
「あ!おはよう 直人君!」
「おはよう美咲!」
「今日も相変わらず眠そうだね。私はまだ部活あるけど、直人君はもう朝練ないんだからもうちょっと寝てたら良いのに」
「眠いんだけどなかなか朝練あった頃の習慣が抜けなくてさ」
「そりゃまた難儀だ」
本当のところはギリギリまで寝ていたい。
わざわざ早起きしてる理由なんて、美咲を独占できる時間を少しでも多くとりたいだけだ。
でもそんなことは本人に言えるはずもなく、今日も他愛ない話をしながら二人で登校している。
美咲は可愛く、とにかくモテる。
よく告白されているらしいが、部活が忙しいからと断り続けており、彼氏が出来たことはない。
そんなみんなが憧れる女の子と一緒に登校も出来るのは幼馴染の特権だ。
でも、幼馴染だから一緒に居られると思うと、行動を起こせないという呪縛も付きまとう。
小学生のころ好きになって、何度告白しようと思ったか数えきれない。
それでも、今のままの関係でも僕が一番仲の良い男子なことに変わりはないからと、行動に起こせてはいない。
「でも、そろそろ本気ださなきゃな~」
「受験勉強?」
「えっ? うんまあそんなとこ」
自然と声に出ていたことに焦る。
「志望校同じだし、頑張ろうね!」
「うん、美咲も部活に熱中してて落ちないようにね」
「私はコツコツタイプだから計画的にやってるし大丈夫だよ!」
「真面目だな~」
僕は、かなり自分のランクより高い高校を受験しようとしている。
もちろん高校も美咲と一緒のところに行きたいから。
違う学校に行って僕より長い時間を一緒に過ごす男子が出来て、そいつに先を越されてしまったら、、。なんて、そんなことは考えたくもなかった。
なんとかして受かって、高校では恋人として美咲と過ごすんだ!
こうして僕はここから数か月、人生で一番勉強し受験に臨んだ。
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