カミサマスレイヤー

調理済みのこういち

第1話 過去の記憶

もし、神様なんて存在がいたとするならば、きっとそいつは人の気なんて考えず、平気で俺たちの幸せを壊すやつだ。

 俺、如月きさらぎ のぞみはそう信じている。3年前、全てを奪われたあの日から……。

 

 バサッと何かが落ちる音で目が覚める。

 視界に映るのは規則正しく並んだたくさんの本。

 そこは高校の図書室の一角。

 周囲に散らばる紙を見る。どうやら音の正体はこれのようだ。

『原因不明!大量殺人か、大量誘拐か。神隠し事件解決ならず。』

 俺は散らばっているとある事件に関する資料たちを拾い集める。

 3年前のことだ。日本各地でたくさんの人々が突然、家族ごと消えるという未解決事件があった。俺にとっては因縁の事件。これはその事件に関する資料たちだ。

 外を見るとあたりは夕焼けに染っていた。

 俺はポケットからスマホを取りだして時間を確認する。そこでスマホにつけているキーホルダーが目に入る。ハートの右半分のみの金属製のキーホルダー。

 俺には幼馴染の女の子がいた。

神奈かんなみお

 3年前の神隠し事件に巻き込まれ、行方不明となった幼馴染だ。

「カップルじゃないんだから。」

 もうそんな笑い話をしたのも昔の話。

 このキーホルダーは、澪が俺の誕生日に、作って送ってくれたものだ。

 澪はいつもこの相方のキーホルダーを嬉しそうにスマホにつけていた。

 しかし、当時の俺は気恥しさからか身につけることはしなかった。

 キーホルダーをつけてない俺を見て、澪は悲しそうな顔をしていたのを思い出す。今では、後悔しかない。

「澪、お前は今どこにいるんだ?」

 外ががやがやし始めたかと思うとキーンコーンと下校時刻を告げるチャイムが鳴り響く。

「やべっ、もうそんな時間か!?……」

 俺は急いで荷物をカバンに詰め込みそのまま抱えて図書室を出た。

 

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