■社会不適合ぼっちの俺が人生を終わらせるために行った神社でロリ巫女に神託を受けてVtuberとして覚醒する話 第25話【抜粋・長編】

著者:■アフター5ゴンザレス 

キャッチコピー:■のじゃロリ巫女に導かれて超売れっ子Vtuberに俺はなる!ドン!!



「どういうことだよ、対決企画って! キエーッ!」

 俺は画面の前でひとり奇声を上げていた■


 うおおん、台パン祭りだワッショイワッショイ!!

 バン■ 

 バン■ 

 ババンバンババン■

 バババンバババンバンバンバン■ イヨオォーーッ!!

 ――と少しばかり荒ぶって気を鎮めてから、俺は冷静になった頭で考える■

 


 「世界堂メープル」■

 ピンクの外ハネ髪の巨乳で、銀色の宇宙服モチーフを組み合わせたゴスロリ服を愛用■

 火星生まれの敬虔な火星教信徒であり、配信中でもときどき火星に向かって(非教徒には理解できない文脈・タイミングで)火星言語での礼拝行為をする■

 異能を秘めた日本刀「花菱はなびし」を所持しており、戦闘時にはゴスロリ服のロングスカート部分を傷つけないように独自にアレンジした火星式剣術を用いて戦う■

 好きな食べ物は焼き鳥(塩派)で、嫌いなものは地球の重力(巨乳ゆえに胸が特に重く感じるとか)……■


 設定過多すぎんだろ!

 俺も言えた義理じゃないけどさ■


 それは良いとしても、勝手に名指しで対決企画なんて言われちゃ困る■

 こういうのは普通、事前に話を通しておくのがマナーだろう■

 ……が、視聴者のコメントは既に大盛り上がりで、今さらなかったことにできるような雰囲気ではない■

 ここで断るなんてことをすれば、下手をすると俺の方が炎上してしまいかねない■



 厄介なことになったな……と思いつつ、俺は神社へと向かう■

 憎たらしいロリ巫女が、にやにやと笑いながら俺を待っていた■


「面白いことになってきたのう、雄大ゆうだいよ■また台パン祭りか?」

「キエーッ! うるさいよお前は全く■ その反応、それにあの設定の盛り具合……やっぱりあの『世界堂メープル』とかいうVtuber、

「うぇっはっはっは」

 と巫女服の袖で口元を隠して笑うロリ巫女■


「よくわかったではないか■そう、あれは此方こなたのプロデュースじゃ■お主――『ジ・エンド・オブきらめき坂ティアラ』、極限独身OLこと雨森一花あまもりいちかの『ハッピーハッピー竜宮乙姫』に次ぐ、この町生まれの第三のサイバーアイドルというわけじゃな」

「んなことだろうと思ったぜ」


 俺だってVtuber界ではそれなりの上位勢なんだ■いきなり事前連絡もなく対決企画をやろうなんてのは、向こうのリスクも高いはず■このロリ巫女を通じて繋がっていると考えた方が自然だ■


「……で、対決企画って何をするんだよ■日本刀で戦ったりなんて、俺にはできないぜ」

「うぇはははは■それ以前にお主は対人関係全般がまともにできない社会不適合ぼっちではないか」

「キエーッ!」

「冗談じゃよ■まあその辺りは考えておる■対決企画としても盛り上がり、しかもお主のコミュ障ぶりを上手く誤魔化せるアイデアをのう」

「コミュ障って言うな!」

 と俺は何もない空間に向かって両腕をぶんぶんと振った■

 虚空台パンである■


「そうは言っても、お主のこれまでの配信スタイルは、全て一人喋りじゃったろう? 視聴者からのコメントに返事を返すことぐらいはできても、いきなり別のVtuberと当意即妙のフリートークができるとは思えんがのう」

「うぐっ……」

 痛いところを突かれた■

 確かにそれはそうだ■普通の会話だって得意とは言えない俺が、リアルタイムに配信されている状況で、慣れない相手と軽快にお喋りするなんて……正直、ちょっと難しいだろう■


「まっ、相手の世界堂メープルも例によってコミュ力低めのタイプだしのう■そんなわけで、対決企画はお互いが一人喋りを交互に行うことでも成立するものを考えてある」

「何だって■そんな企画が……?」


 ふふん、とロリ巫女は無い胸を張って誇らし気に言い放った■

「今こそ、お主たちの心の闇を解放する時じゃ」

「……?」

「お主たちの対決企画は――『』じゃぁ~っ!」


 おいおい、何だその企画は■

 自分で言うのもなんだが、闇深エピソードなんて――ヤバいのしか出て来ないぞ……と俺は思った■

(続く)

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