第15話
部活動が終わり各々解散となった午後、お昼時ということで僕とカタコちゃんはせっかくなので早苗さんを交えてファミレスにいくことになった
「ファミリーレストランとやらはあまり来ませんが、日本食も豊富ですな……拙者は焼き鮭定食にいたしましょう」
「うーん、私チーズインハンバーグにしようかな〜」
「じゃあ僕も」
「ギロリ」
※僕は過去にお店でチーズインハンバーグを頼んで口に合わなかったからカタコちゃんに押し付けた過去があるのでカタコちゃんの前でチーズインハンバーグを頼もうとするとこのように睨まれてしまうぞっ
「じ、冗談じゃん……僕はナポリタンにしようかな!故郷のイタリアを感じたいし」
「ナポリタンは日本発祥ですけどね」
「ハハハ!オウカどのはまっこと愉快な御仁でござるなあ!後輩の拙者らに気を遣わせないよう自ら道化役を買って出られるとは、見習いたい精神でござるよ」
「???……あ、うんそうそう分かってるなぁ早苗さんは」
「調子に乗らないのっ」
「あっ、二人ともドリンクバーつけます?いらなくても付けますよはい3つ」
「こらーごまかすな!」
………
……
…
料理も出揃って各々が食べ始め、談笑も増えてくる
話題に関しては自ずと共通の話題である今回の試合の話になるのだけど
「いやー、それにしても凄かったねカタコちゃんは。20人抜き?」
「うーむ、驚きにござる。彼らも皆が全国大会常連クラス、烏合の衆ではないのでござるが……」
「ユキちゃんだってあれくらいならできるでしょ!私が異常みたいなのやめてよー!」
「ハハハ、確かに可能ではありますな!15人あたりからは少々骨が折れそうでござるが……」
「不可能とまでならないならそれは凄いと思うけどね???」
「うーむ……少々ズルいとは思っておりますが、先に多くの試合をさせ疲弊したところであればカタコどのに勝てる見込みがあるかと画策したのでござるがなあ」
「ううん、別にいいよ〜。でもあれくらいじゃ全然疲れないと思う、ユキちゃんと普通に試合したほうが体力使うかな〜」
「うぅ……拙者が実力を上げることもさることながら真面目にあと100人単位で兵を用意することを考えるでござるよ……」
(合戦かな?)
本当にカタコちゃん、どこまで強いんだろうか
早苗さんだってあの様子を見ると十分に常軌を逸している強さのはずだろうというのは容易に分かる。
「そもそもユキちゃんは槍や薙刀が専門でしょ?それで私と剣で張り合うのが間違ってると思うなあ……」
「それはそうでござるがぁ……あいにくと拙者の学校には槍道も薙刀道も部活がないので、こうした場でカタコどのと張り合えるのは剣道しかないのです。我が家系は武芸百般を謳っておりますし……それに!そもそもカタコどのは剣で拙者の槍に勝ってしまうではないですか!」
「それはしょうがないよ、私強いもん」
互いの武道の話が膨らむ中、僕は邪魔しないようちょくちょく口を挟みながらなんとなく店を見渡す
(武道の話が分からないから疎外感を感じたとか、そんなんじゃないやい)
ファミレスというのは休日の昼間、結構小さな子供連れの家族が多い
そしてそんな中で、子供から目を離して好き勝手させている親も少なくはない
通路をフラフラしてる小さな女の子がいて、それに親は気づいていない
通路には当然料理を運んでくる店員さんが通るわけで、休日の混んでいる余裕のない中……熱々の料理を運んでいる店員さんが通路の小さい女の子に気づかなかったのは決して責められることじゃなくて
「っ!」
「えっ、センパイ!?」
「いかん、子供が!」
「危なーーーーい!!!!!!」
その場にいる誰よりも先に身体が動き出し、女の子とぶつかった店員さんが落とすであろう熱々の料理から守るように女の子に覆いかぶさる
「ッッッ!」
「えっ、えっ?」
「えっ、あっ、お客様?」
どうやら間に合った、女の子は何が起こったか分からずポカンとして店員さんも困惑している
「……っぶなあ〜〜〜!無事ですよね、センパイ?」
「ナイスですよ、カタコちゃん」
女の子に被さる僕の背の数センチ上で、カタコちゃんが落ちる料理を安全に受け止めていた。
背中に火傷くらい負う覚悟だったのだが、カタコちゃんが直ぐ側にいたのは運が良かった。
「あ、あぁ〜〜〜!すいませんお客様!お怪我はありませんか!」
「ちょっとアンタ何してんの!?あ〜〜〜もうおにいさんにごめんなさいして!!!」
数秒遅れて周りが今起きたことを認識したようで、店員さんと今の騒動に気がついた女の子の親がやってくる
「子供から目を離さないようにお願いしますよ、正義の僕とのお約束!」
「申し訳ありません本当に……」
「ありがとーおにいちゃん!」
「料理、崩さないように受け止めましたけど大丈夫でした?」
「お客様、重ね重ね申し訳ありません……なんとお詫びしたら良いか……」
「センパイに怪我がなかったので私は別に気にしてませんから、忙しくて大変でしょうが頑張ってくださいね〜」
女の子が無事なのと、店員さんが頭を下げながら戻るのを見て僕らは元の席に着くとそこでは早苗さんがポカーンと口を開けて待っていた
「いやー、騒がせてしまったごめんごめん」
「全く、本当ですよ!あんなのセンパイが出なくても良かったのに……」
「正義とは身体が勝手に動くものさ、大いなる神の意思によってね!」
「それヤバいタイプの神様じゃないですか?」
「……っ……い」
「ん?早苗さん?」
「ユキちゃん?」
「……すっっっっごい!あれが、オウカどのの申していた正義とやらでござるか!?」
「えっ!?」
「カタコどのや拙者のような武を修めたツワモノが身を張るのは当然…そう驚くことではござらぬ!しかし、そうではない者が躊躇無く危険な場に身を張るなどそうそうできることではありませぬ……オウカどの、貴方こそまっことの"正義"にござる!」
「……早苗さん!君は僕の理解者のようだね!」
「いやぁ、まぁ確かに今のだけ見たらカッコいいと思うけどさあ……何このノリ」
「正義!」
「正義にござる!」
「あーもうユキちゃん!センパイが調子に乗るからやめてー!」
「おっと失敬、興奮しすぎたでござるな。」
「も〜〜〜……勘弁してよ、恥ずかしい……」
正義だから恥ずかしくないもん
「うむ、拙者感服でござる……その心意気、カタコどのが惚れ込むのも無理はないでござるな」
「ほ、惚れ!?い、いいいいいや、そんなコト……ぁ、る……かもだけど……」
「とはいうけどねぇ早苗さん、僕が正義の行いをしようとするとカタコちゃんは危ないからってよく止めるんだよ。僕のこと幼稚園児か何かかと思ってるのさ」
(精神年齢ほとんどそーでしょ)
「あいや、それはカタコどのの気持ちも汲んでくだされ。拙者も心意気に感服はすれども、ああいう場面危ないと思う気持ちは同じでござる……あの瞬間はヒヤッとしましたぞ?」
「ユキちゃん……!ちゃんと私の気持ちわかってくれるんだ!ほら〜センパイ?わかりますか?ふつーはこうなんですよ?」
「ははは、まるで僕が普通じゃないみたいじゃないか!」
「「……」」
「否定して!」
そんな騒動もありながら、ファミレスで食事を終える
あの騒動のお礼か、店員さんが少し割引してくれたので良かったと思いつつ僕は会計を済ました
「良かったのでござるか?割引いてもらったとはいえオウカどのに出していただいて……」
「まぁ先輩ですから、こういう場は奢らせてくださいよ。可愛い後輩には奢るのが正義と決まっているんです」
「そんなセンパイっ……可愛い後輩だなんて、ホントのことを!ごちそうさまですっ」
「ハハハ!カタコどののように器量の良く愛らしい方であれば無理もありませんな、拙者もご同伴いただけて恐縮にござる!」
「いやいや、当然早苗さんも可愛い後輩だよ?」
「ハハハ、オウカどのは…その、お世辞が達者でいらっしゃる……」
「ははは、僕がお世辞なんかできると思うかい!?」
(無理)
「うぇっ!?お、お……ぉ……拙者のような男女を捕まえて、そういうことはカタコどのだけに伝えてあげるでござるよ…?」
「そうだよ!ユキちゃんは確かに可愛いと思うけど……!センパイが私以外にそういうこと言っちゃダメですよね!?」
「そんなコトないと思うけど!?」
「だってセンパイは私だけの先輩ですよね!?!!?」
「違うよ!?下級生にとっては皆の先輩だよ!?」
「だーめー!センパイは私だけのセンパイなのー!」
(あぁ……これはカタコどの、苦労されているでござるなぁ)
………
……
…
「いいですかセンパイ!センパイは私以外の女の子とあんまり関わりないからわからないと思いますけど、ああいうのダメなんですからねっ!私以外にはっ!」
ファミレスで早苗さんとは別れ、僕とカタコちゃんは帰路についているのだがずっとカタコちゃんがご機嫌ななめでプリプリしている
「まぁまぁ、これあげるからあんまりプリプリしないで」
「……なんですか」
「ファミレスのカウンターにあった網に入ってるみかんのガム」
「へー、見かけはするけど食べたことないかも……って!釣られませんよこんなんじゃ!センパイじゃないんですから!」
「おいしいのに……」
「センパイはホントーーーに!女の子の扱い方が分かってません!」
「はいあ〜ん」
「あ〜ん♡」
「おいしいでしょ?」
「ん〜〜〜まぁまぁ……って!だーかーらー!」
「機嫌直しておくれよ、僕は笑ってるカタコちゃんのほうが可愛いと思う」
「〜〜〜〜〜っ!だ、から……なんでこういうときだけぇ……!仕方ないセンパイなんだから……!ほら、帰りましょっ!」
おっ、ちょっと機嫌直ったかな?
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