誘拐奪還編
第9話
あれから数週間が経った、依然として禍津が出てくる事件は起きているようでカタコちゃんはそのたびに討魔剣士として動いている
その上でも僕の世話を完璧にこなしていくのだから大したものだ(←世話をかけることに躊躇がない)
「も〜〜〜また!?私センパイの洗濯物やらなきゃいけないのに!」
「まぁまぁ、洗濯物くらい数日放置しても……」
「センパイはいっぱい貯まってからじゃないと自分でやらないから私がこまめにやらなきゃいけないの!」
「いいから!ほらほら!行ってらっしゃい!」
「う〜〜〜、早く倒してきます!!!」
……さて、一人になってしまった。
どうしようかな、今日は休みでやることもないし、外に出るにはもう暗いしなぁ
え?洗濯?帰ってきてからカタコちゃんがやるらしいから……
「自分の正義を振り返るために特撮ヒーローの名シーン集でも見直し……」
その時僕の部屋のチャイムがピンポーン、と鳴った。
カタコちゃんが何か忘れて取りに戻ったのかな?
「カタコちゃん?鍵持ってるでしょ〜」
そのまま玄関を開ける、しかしそこにいたのはカタコちゃんではなく……見知らぬ男
「……ん?どちら様です?宅配便ですか」
「……伊達巻カタコは?」
「え?カタコちゃんの知り合いですか?あいにく今ここには……」
「シャアッッッ!!!」
突然、腹に衝撃が走った。殴られた、この男に。
「おえぇっ!痛いですね急に何をするんですか!?」
「ちっ、気絶しとけよ……鍛えてるのか?伊達に討魔剣士に付き添ってねえか」
(討魔剣士……って、カタコちゃんの生業を知ってる……?)
「まぁいい、これなら気絶すんだろ!」
今度は手刀が僕の首筋を狩る、その衝撃に思わず意識を取られそうになる
「オアーーーっ!や、やめなさい!特に理由のない暴力が僕を襲う!」
「な・ん・で!気絶しねぇんだよ!しろよ気絶!なるべく傷つけないように手加減してやってんだからサァ!」
「まぁ、へへっ……正義ですからね。」
「理由になってねぇよクソがっ!殺し……はダメか、とりあえず寝てろっ!」
ドコスカバキボコッ
「きゅ〜〜〜……」
「ふぅ……ふぅ……ようやく気絶しやがった、手加減してたとはいえしぶと過ぎるだろ……」
薄れゆく意識の中で、僕は男に担がれるのを見ていた。
なぜ僕を?カタコちゃんとの関係は?わからないことばかりだ
でも、殴られるのがカタコちゃんじゃなくて僕で……よかった……
………
……
…
「で?連れてきちゃったのかい、討魔剣士のツレ」
「……無鉄砲、いや蛮勇というべきか」
「人質、か……まぁ効くなら悪い手じゃねえなァ」
「へっ、心配しなくてもオレサマの計画はカンペキだぜ!このために何日も何日も気配消して探ってたんだからよ」
近くの話し声で僕は意識を取り戻した、何か薄暗い倉庫のような場所で椅子に縛り付けられている。
目の前にいるのは、4人。
僕をさらった男、粗暴そうな若いチンピラみたいな感じの見た目だ。
女、大人っぽく見えて妖艶な雰囲気をしている。
年は分からないが、僕よりは年上かな?
小柄な虚無僧の格好をした男、声と和服から見える手からして老人っぽい?
ハードめな格好をした男、サングラスをかけており素顔は分かりにくいがチンピラみたいなやつよりは年上そうだ
「よぉ、起きたか?手加減はしたが随分と殴っちまったから心配したぜ」
「身体中が痛いです、早く縄を解いて解放してそのまま暴力罪及び拉致監禁罪で出頭しましょう!僕も付き添いますから」
「あらぁ、元気そうじゃないか。よかったねぇ、死んでなくて」
「……」
「この状況でよくそうまくしたてられるなァ、怖くないのか?」
「ここ最近で拉致監禁より怖い目に遭ってますので」
「ハッ、流石は討魔剣士のツレだな。」
「アタシらの一存でその命が決まってるのに肝が据わってるねぇ」
物怖じしない僕にチンピラ男は鼻で笑い、女は感心したように視線を向けた。
「僕は正義ですよ、悪に屈することなど命の危機がきてもありえません!」
「正義、か……くくっ」
「ムキー!正義を笑うなそこのジジィ!」
「いい啖呵切るじゃねぇかァ、嫌いじゃないぜそういうのはよ」
「まぁそう騒ぐなよ、縄は今すぐに解いてやるし目的が終わったらお前は解放してやるから」
「この状況じゃあ逃げられないし逃さないからねえ、暴れたらもっと痛い目に遭うよ?」
そう言うとチンピラ男が僕の縄を解いた、とりあえずはある程度丁寧に扱ってくれるらしい。
逃げられる気配もない、ここはとりあえずおとなしくして状況を整理しよう
僕がいなくなった異変は、カタコちゃんならすぐに気付くでしょ(←根拠の無い自信)
「とりあえずお互い自己紹介でもします!?僕は正義です。」
「正義?あぁ、お前正義って名前なのか」
「いや、名前は花道オウカですが……正義が名前て(笑)」
「なんなんだよお前は!自己紹介って話だっただろうが!」
「相手のペースに呑まれんじゃないよバカ狼!」
「ちっ、なんでオレサマが怒られんだよ……オレサマは
「シュウトさん?シュウちゃん?名字は?どこ住み?てかラインやってます???」
「馴れ馴れしいんだよ!距離感バグってんのか!」
シュウちゃんに胸ぐらを掴まれてしまった、なんて野蛮なんだ……
「……はいはい、乱暴しない。次はアタシね。アタシは
「じゃあまゆっち」
「近いねぇ距離感!」
まゆっち、なんかしっくりきたからそう呼ぶことにした。
「次は俺、今は
「通しません、本名を教えて下さい。」
「くっく、まだ好感度が足りねぇなァ」
ふむ、じゃあとりあえず彼は羅刹と呼ぶことにするか……カッコいいサングラスだな、どこで売ってるんだろ。
「えっと、それであなたが……」
「
うーん、この爺さんはなんて呼ぶべきか……
「
「じゃ、それで」
なるほど……シュウちゃん、まゆっち、羅刹、海爺。
この4人はなぜ僕を誘拐したのか?カタコちゃんに関することであると思うけど
「自己紹介が済んだところで、目的は?僕を誘拐しても身代金は出ませんよ。天涯孤独なので」
「身代金?アァ、ちげぇよ金じゃねえ。オレサマたちの目的は……」
「達、ってのはやめないかい。アタシはまだ反対なんだよ、こんな作戦はさ」
「如何にも、愚策。」
「マ、失敗したら終わりだなァ。」
……一人、シュウちゃんの独断専行?ってことは、彼らにとって僕を攫うことはリスキーな手だったりするのかな
「おっと、わざわざ人質に目的まで話すこともねぇか。残念だったな」
「あのー、なんか僕のあずかり知らぬ事情があるようなんでとりあえずおとなしくしてますけど……命の保証が出来ないのでなるべく早く解放してくださいね?」
「……へェ」
瞬間、空気がピリつく。
全員から、僕に向けて尋常じゃない殺気を感じる。
「これは驚いたね。アンタさ、馬鹿?こんな状況でアタシら挑発するなんて」
「あれ、僕なんか変なこと言った!?忠告ですよ!?」
「フン、この胆力……流石討魔剣士が引き連れるだけあるな。」
「ハッ、オレサマの作戦はカンペキなんだよ!抵抗なんか無意味だぜ?」
「いやまぁ、今は抵抗したりする気はないですけど……」
「フゥン、討魔剣士じゃない人間のくせにちょっと生意気だねぇ。一発ビビらせとく?」
「賛成!オレサマたちの真の姿をみたらそんな減らず口も言えなくなるぜ!」
「ふむ、威圧もまた必要か……」
僕の態度が火に油だったのか、相手を逆上させてしまったらしい
彼らは僕の前で次々と姿を変えていった、いや……彼らからしたら"本来の姿に戻った"のか。
「改めて自己紹介だ、オレサマは人狼。
「
「
「"
シュウちゃんは大きな人型の狼に
まゆっちは元の形を残しつつ羽根や触角が生えた蛾の様な姿に
羅刹は身体の筋肉が赤黒く膨れ上がり額には一本の角が生える
海爺は大きく姿は変えていないが覗く手足は粘液をまとった蛸の触腕のようになっていた。
「「「「我ら、"
「ウォー……すげぇ、某漫画の特選隊みたいだ……」
思わずスタンディングオベーション、拍手してしまった……
「拍手するな!ビビれよ!」
「アタシらの姿を見てもビビらないなんて、妖怪なんか滅多にいないだろう?」
「あいにく現代っ子なのでオカルト的なものへの恐怖感が薄いんですよ……今は多様性の時代ですし」
「平和ボケだなァ、大丈夫なのか?今の世はよ……」
「まったく、最近の若者は……」
「それにしても、皆さん人間じゃないんですね。う〜〜〜ん、そうすると討魔剣士のカタコちゃんとは対立関係にでもあるんですよね?だから僕を攫って、人質にして倒そうと……」
「あ〜〜〜……っち、クソが!分かったところでなんなんだよ!」
「まぁアンタに計画がバレたところで何にも変わりゃしないけどねぇ?」
「……まぁそうですよね。提案なんですけど、和解とか出来ないんですか?平和的解決、仲良くしましょうよ!」
「できるわけがねェ、相手は討魔剣士だぜ」
「なんで?何か深い理由でも?」
「お主らのような人間は事情を知らぬ、か。……では少し語ってやろう、我ら妖怪と討魔剣士の歴史を。」
「あ、ちなみに海爺の話は少しじゃねぇぞ。結構長えからな」
「飲み物いるかい?」
「あ、いただきます。」
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