第7話
「伊達巻家の源流は武家の分家……その歴史は深く戦国の時代にまで遡ることになりますが、本家は数多の名武将を輩出してきた英傑であり歴史書に記されることも多いと思います。」
カタコちゃんの家について話を聞かされる。
そうか……なんとなく武将っぽい名前だとは思っていたし、カタコちゃん自身が強いからなんか納得だ。
「教科書に載ってる有名なおサムライさんの親戚筋って思ってください、センパイ」
「それくらい理解できてますよっ」
「……コホン、しかし分家である伊達巻家が表に出ている歴史は殆どありません。それもそのはず、時代の闇に隠された伊達巻家の本当の姿は……古来より人知れず悪しき闇を討つ、討魔剣士なのです。」
討魔……剣士?
あの、カタコちゃんが……そんな存在だというのか
「伊達巻家……に限った話ではありませんが古来から続く武家の血筋は国に仕え、悪しき存在……妖などと戦ってきた歴史と力があるのです。それが討魔剣士と呼ばれる存在です。」
「わかりやすく言えば国が抱える霊能力者?みたいな感じですよ、オバケとかを破ァ!ってする……」
「なるほど、それでカタコちゃんは討魔剣士で……僕らを襲ったアイツを退治したわけですか。」
「えぇ、はい……まぁそういうことになります」
「ここ最近の街の事件もああいうのが関わってて、カタコちゃんは夜な夜な戦っていたんだね」
「……そうですね、特にここ最近の禍津などによる事件が頻発していたので」
「……」
「先輩、荒唐無稽かもしれないのですぐに受け入れてくれなくても大丈夫ですよ。なんなら忘れてくれても……」
討魔剣士、人知れず妖や魔の存在と戦う者。
そんなの……まさに、正義の味方そのものじゃないか!
「……ぇ……っ」
「センパイ?」
「すっげぇじゃないですかっ!古来から裏で人々を守ってきた討魔剣士!まるで正義のヒーローだ!握手してもらっても!?」
「えっ?あぁ、はい……」
「やった〜!そうかそうか、カタコちゃんってば人並外れた強さがあるとは思ってましたがある意味で納得ですよ!」
興奮のあまり、僕は握手したカタコちゃんの腕を寄せ身体を近づける
この、一見して可愛らしい女の子の身体に、悪を蹴散らす正義のパワーが秘められているのか!
「わっ!わっ!せ、センパイ!近いですっ!(うれしいけど)」
「も〜〜〜カタコちゃんったらそういうことしてるなら言ってくださいよ〜〜〜!僕がそういうの好きなの知ってるでしょ!?うりうり〜〜〜」
「う、うぅ……重要な機密なんですよっ!もう!」
「ほほほ、理解あるいい殿方じゃありませんか。こんな荒唐無稽な話も受け入れて討魔剣士の誉れも理解してくれて」
「お母さん!もう……こうなるのが分かってたから言いたくなかったのに」
「おっと失礼、興奮しすぎてしまいました。それで、討魔剣士カタコ殿は……」
「センパイ?明日から一週間野菜のみの献立にしますよ?」
「ごめんなさいカタコちゃん」
「……もう、そもそも恥ずかしいんですからね!自分が妖と戦ってるとか、この現代でそういうこと言うの!」
「何を恥ずかしがるのですかカタコ、討魔剣士は我が家の誉れですよ。隠す必要はあれど恥じるところなんてありませんよ」
「若い子は恥ずかしいの!お母さんには分かんないよ!」
「ガーン……」
カタコの言葉にカタコちゃんママがショックを受けていた、いや結構お若そうに見えるけど……
「……センパイ、説明は以上です!さ、身体が平気ならもう帰りましょっ!平気じゃなくても私が運びますから帰りましょっ!」
「あっ、カタコまだ全部を話しては……」
「いいからっ!これ以上センパイを巻き込んじゃダメなの!センパイはこれからも変わらず、普通の生活を送るんだから!」
…
半ば無理やり僕のアパートに帰ってくる(カタコちゃんママがタクシーを呼んでくれた)
多少痛みは残っていたけど、動けないというほどではなかったので僕はカタコちゃんに付き添われ帰ることになったのだが……
「センパイ、今日は私泊まりで看病しますから!」
カタコちゃんが泊まりで僕の看病をすると言い出したのだ。
「えっ!?そんな女の子が男の家に泊まりなんて……」
「なんでそういうところの倫理観ちゃんとあるんですか……」
「正義の紳士ですよ僕は」
「……正義の紳士は、こんな時間に女の子を外に追い出すんですか?」
意識を失っていたこともあり、既に深夜0時を回っている
まぁ……こんな夜中に女の子一人帰すのもいけないか。
明日は週末で学校も休みだ、カタコちゃんが良ければ……まぁ問題もないだろう
「……まぁいいですけど。でも看病までしなくても平気だよ、まだちょっと痛いですがそこまで重症じゃないみたいだし」
「ダメ!手当はしてますけど交通事故にあったようなものなんですよ、今は平気でもムチ打ちとかあとから来るかもしれないんですから!」
たしかに、カタコちゃんの言う通りかもしれない。
一応気を失うような状況だった、今は特に身体に大きな問題はなさそうだけど…
「てゆーか、逆になんでそんなピンピンしてるんですか……」
「え?なんか、こう……カタコちゃん家秘伝の治療のおかげじゃなくて?」
「えっ?知らない……それは単純にセンパイの回復力が高いだけでは……?普通動けませんよ、マジで」
「そっか……」
「……オホン、ともかくですよ!身体に違和感があったらすぐに教えてくださいね!」
「身体に違和感……あ、そうだ実は」
「!? どうしたんですか!大丈夫ですか!?」
「……お腹、空きました」
夜ご飯を食べていないため、僕はいま物凄くお腹が空いていたのだ。
「そういえば、食べてなかったですね……フフ、分かりました。すぐに作りますから待っててくださいねっ♪」
カタコちゃんはすぐにご飯を用意し始めてくれた。
その間に僕は起こった状況を僕なりに整理しよう
討魔剣士、なんか人に悪さする怪物と戦う所謂陰陽師的な存在?
(……こんな世界が、あったんだ)
最近起こっていた事件は、これらが関わっていて……僕も巻き込まれてしまった(自業自得だけど)
まるで漫画やアニメの世界だ。
普通なら怯えたりするところなのかもしれないけど、僕はこの状況に興奮を抑えられずにいた。
それは一番身近にいるカタコちゃんが、討魔剣士という……僕が憧れた正義のヒーローに近い存在なのだからなのかもしれない。
「センパーイ、ご飯できましたよ〜」
「ん……あぁ、食べましょうか!お腹ぺこちゃんですよ」
「すっかり遅くなっちゃいましたからね〜、さぁ中華三昧です!」
「ハフッ!ハフッ!餃子を齧って白米を頬張るッ!そしてよく噛まずに飲み込むッ!これが最高ってワケ」
「あ〜〜〜!もう!ちゃんと噛むの!」
相変わらず、カタコちゃんの作る料理は美味しかった。
非日常を体感して気持ちが昂っていたが、いつもの日常を感じて少しだけ気持ちが落ち着いたのだった。
「あ、センパイお風呂借りますね」
「どうぞどうぞ好きなだけ」
「センパイはお風呂入ります……?一応怪我の手当の時に体拭いてあげましたけど」
「あぁ、だからやけに身体がさっぱりしてるんですか。だったら今日は……えっ?身体拭いた?カタコちゃんが???」
「え、えぇ……母と……ですけど」
カタコちゃんと、カタコちゃんママが……僕の身体を拭いた?
「そ、それはつまり……僕の身体は……親子でくまなく見られて……?」
「……あ、ははっ」
カタコちゃんがその時の様子を思い出したのか照れている
み、見られたんだっ僕の裸がっ!
「アアアアアア」
「き、緊急事態だったんだもん!それに、私はセンパイの着替え手伝ったりしてるんだし今更ですよね!?」
「パンツ以上は話が違うと思いますがね!?」
「……(ぽっ)」
カタコちゃんの頬が赤くなった、ナニを!ナニを想像したんだい!?
「だ、大丈夫ですよ!そこは母じゃなくて私がやりましたもん!」
「むしろカタコちゃんママの方がダメージ少なかったかもしれないよ!?」
「あーもう!いいじゃないですかチンチンくらい!」
「あー!とうとう言っちゃいましたね!?この僕ですら口にするのを躊躇していたワードを言っちゃいましたね!?」
「センパイの、立派でしたから!」
「ギャーーー!!!」
恥ずかしい褒められ方をされてしまった、こんなんもうお嫁に行けないじゃないか!
「あ、あの!わ、私……センパイの……見ちゃったし……ちょっとくらい覗いても怒りませんから!」
「何を言っているんだい!?カタコちゃんさては興奮してるね!?はやくお風呂に入りなさい!!!」
この僕がツッコミに回されるなんて、とんだデンジャラスガールだぜ……
「……ふぅ」
さて、今カタコちゃんはお風呂に入っている。
つまりは扉一枚を隔てただけの場所にあられもない姿のカタコちゃんがいるわけだが
=====
覗く
→覗かない
=====
まぁ覗くわけないでしょう、僕は正義で紳士ですよ。
─────
(勢いでああ言っちゃったけど、本当に覗かれちゃったら……!で、でも仕方ないよね……!お互い様だもん!の、覗かれて一番魅力的な位置はここで……ポーズは……こう、かな?)ドキドキ
─────
……2時間後、カタコちゃんがお風呂を上がってきた
流石、女の子は長風呂だなぁ
「……上がりました。」
「あぁ……お風呂長かったですね、ちょっと逆上せてます?」
「なんで覗かないんですかー!?」
「理不尽!」
理不尽に怒られてしまった、おかしい…僕は何も間違ったことはしていないはずだが……
「……はぁ。まぁそういうところがセンパイだよね……。さ!明日は休みとはいえもう寝ますよセンパイ!」
「えーーーせっかくだし夜通しで金太郎電鉄99年とかやらないかい!?」
「セ・ン・パ・イ?」
「ごめん、寝よっか」
「はぁ……もう、あんなことがあったのに元気なんだから……順応するのが早いのがセンパイの数少ない良いところなんだけどね……」
「えへん」
「褒めてない!明日は一応大事を取って病院いきますからね、早く寝てください。」
そういってカタコちゃんは布団を一組、僕の布団の隣に敷き始めた。
「分かってますって、だから布団そんなくっつけ、ちょっ、くっつけるっていうかもう重なってません!?」
「えっ!?あぅ……か、看病!看病のためだから!」
「やだこの子、実はお泊りでテンション上がってるの!?さっきからボケ担当の僕が押されているぞ!?」
「それに!センパイが抜け出してコンビニとか行ったりするかもしれないので、監視しなくちゃいけませんから」
「それは本当に、誠に申し訳ありませんでした。」
………
……
…
「ぅ……あ、あの……センパイ……寝ちゃいました……?」
「グォ〜〜〜……グガッ……プシュー……」
「……もう、女の子が隣の布団にいるっていうのに」
ドキドキして眠れない私がバカみたいじゃないですか……!
「センパイ……」
いびきをかいて、鼻提灯を膨らませて、隣で寝ているセンパイ。
討魔剣士という、この現代であり得ない存在の私を……躊躇なく受け入れてくれたセンパイ。
普通だったら、引いたり畏怖したり……するはずなのに。
(私を……拒絶しないでくれて、ありがとうございます。)
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