この顔には見覚えがある

Yukl.ta

前編

ある日。

知り合いから奇妙な写真を見せられた。

山中の山奥で撮ったという写真に、変なものが写っているというのだ。


その写真を見て、

僕は顔を曇らせる。


それは、地面から女性の顔が覗いている写真だった。


「これ、心霊写真だよな、絶対!」

無邪気に知り合いはそう口にする。

しかし僕はそれどころではない。


ああ。なんてことだ…

僕はこの顔を知っている。

これは彼女だ。

あの時の彼女だ。


その見開かれた瞳は色を失い。

その長い髪には土塊がこびり付き。

その顔面は蒼白を通り越して土気色に。

その口元からは蛞蝓のような舌が垂れ下がる。


まさか。

そんな。

なんでこんな事に!


…彼女との記憶が僕の脳裏を過ぎる。


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