退屈な日常

「あぁ、暇だなー 都会とか行ってみたいなー」

雄大に広がる青空を見ながら呟く。


私は「都会」というものに憧れがあった。

生まれも育ちもこの島だから、いかんせん都会について何も知らない。

ただ、図書館や写真で得た知識を基に頭の中で「都会」を作る。

そしてその中を歩く。 イメージだから上手くはいかない。でもそれが楽しい。


これをいつも空を見てしている。

この退屈から逃れたいから。


麗菜れいな〜‼︎ 何してんの〜」


由佳ゆかが後ろから走ってきている。

そうだ。私は今登校してる最中だった。


「なに空見てたの〜? もしかして、また想像してたの?」

ギクっ

「いや、そ、そんな事ないよ。 それより早く行かないと!」


「まぁそうだね。 ここからガンダすればまだ間に合うかも!」

とただでさえ走ってきて息切れしてる由佳は、息を整えながら走り出した。

「ちょっと早いって! 待ってよぉ」

私も後を追う様に走った。


私たちの学校は小学と中学が一緒になっていて、そんなに大きくもない。

この島にはあまり子供がいないから、実際に通ってる人数は十何人ほど。

島の中央にあり、少し高いところだから坂道を登る必要がある。

しかも、私や由佳は学校から遠いところに住んでいる。


私たちは時間ギリギリで何とか学校に着いた。

殆どの人はもう登校済みだった。

また今日も始まる。  いつもの日常が。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る