第6話 第五・六・七の仲間? 賢者と武士と暗殺者

俺が振り返ると、そこには――


「ほほう!これは実に興味深いのぅ!」


――長い白髭を蓄え、青い法衣に身を包んだ老人が興奮気味にガチャ召喚の魔法陣を調べていた


いかにも大賢者といった風貌で、素朴だが高級感のあふれる木の杖を持っている




名前:なし(大魔導士)


基本ステータス 

STR:C(一般級)

VIT:S(超人級)

AGI:A(強者級)

INT:SSS(英雄級)

DEX:SS(王者級)

LUK:C(一般級)


HP:8,000 MP:25,000

身長:156cm 体重:65kg

年齢:70歳

属性:全属性対応可能


スキル

 重力魔法: MAX - 重力概念の操作、使用時INT1段階上昇

 魔法学: Lv10 - 魔法理論の人類極限級権威

 教育学: Lv8 - 弟子育成の伝説級手腕

 賢者の知恵: Lv9 - 神話級知識量、森羅万象への理解

 杖術: Lv6 - 杖使用近接戦闘

 魔力感知: Lv9 - 敵の魔法事前察知


特殊スキル

 魔法陣展開: 大規模魔法発動速度に大幅補正

 魔力無効化: 下位魔法完全無効

 賢者の助言: 助言をすると相手のひらめきに補正大

 魔法増幅: 味方の魔法威力2倍化



(やっぱり魔法を極めた賢者ポジションか)


大魔導士という二つ名なのに、ファンタジーあるあるの元素魔法的な要素がスキルにないのを不思議におもいながらも次の人物に目を向ける



「......」



そこには紫色のロングヘアを漆黒のローブからのぞかせる女性がいた


顔の大部分はフードで隠されているが、見える目元から美しさが、ボディラインに合わせて誂えられた服装からスタイルの良さが窺える


全身黒ずくめのアサシンスタイルで、影のように存在感を消している



名前 なし(至高の暗殺者)


基本ステータス

STR:A(熟練級)

VIT:C(一般級)

AGI:SSS(英雄級)

INT:C(一般級)

DEX:A(熟練級)

LUK:SS(英雄級)


HP:4,000 MP:6,000

身長:180cm 体重:52kg

年齢:22歳


属性:闇・毒・暗殺


スキル

暗殺術: Lv10 - 暗殺遂行時 全行動に隠密補正

影魔法: Lv9 - 神級の影魔法

毒術: Lv8 - 毒調合時、効果に補正大

隠密: Lv9 - 完全気配遮断

短刀術: Lv9 - 短刀威力補正大


特殊スキル

急所攻撃: Lv10 - 急所攻撃時VIT無視100%

影から生まれし者: 影に潜むとき各種ステータス1段階上昇

毒刃: 武器に毒をストックし任意のタイミングで開放可能

完全隠蔽: 神級気配遮断

必殺の一撃: 認識外攻撃時、即死耐性、耐久を無視

看破: 相手のスキル・ステータス分析



(おぉ...予想通り暗殺者スタイル)


スキルが全部殺しに向かってる


さすがは至高の暗殺者の二つ名を持つ者



(忍者役とかよくやったから、あのスタイルあこがれるんだよなぁ)



ヴァイオレットのスキルに子供心が刺激されるが



(それよりも...)



完全隠蔽と必殺の一撃のコンボもやばすぎる


金卵の英雄級のステータス持ちは、アピサルや雷帝といった虹色レアリティすらも条件次第では屠れるのかもしれない...



(もしそうだとするならば、この世界の英雄クラスと戦う時が来たら、注意しないと足元をすくわれるって事か)



アピサルやマリエルといった超常の力を振るう者たちに主として認められたからと言って、慢心していてはダメ



(スキャンダル一つでどんなトップスターでも凡人に引きずりおろされるように、どんな立場の人間も天から地に堕ちるもの。だからこそ常に気を引き締めて行動する)



この世界で主役になるのであれば、その道はとても険しく繊細な道になるであろうことを予感する



「カッカッカ!なんじゃこりゃあ!派手な戦じゃのう!」



思考に浸っていると、とても活発な声に引き戻された




名前 なし(刀神)


基本ステータス

STR:SSS(英雄級)

VIT:SSS(英雄級)

AGI:C(一般級)

INT:D(新兵級)

DEX:C(一般級)

LUK:B(一般級)


HP:25,000 MP:3,000

身長:200cm 体重:90kg

年齢:25

属性:物理・斬撃・武勇


保有スキル

 大太刀術: Lv10 - 刀技人類極限 一刀両断を使用可能

 武士精神: MAX - 誉を得る為の行動時、自身の最高ステータスが平均値となる

 武術指導: Lv7 - 武術指導時、弟子の成長に補正

 茶道: Lv4 - 美しい作法


特殊スキル


 一刀両断: STR>VIT時確実 太刀が入る者を全て両断

 武者の名乗り: 名乗り口上を行った戦闘に不屈付与

 人外の天敵: 人種族以外からのデバフ無効

 豪傑: 物理攻撃使用時VIT1段階上昇

 真眼: 真理を視る

 相討ち上等: 被弾と同時反撃、STR1段階上昇

 武者震い: 格上戦闘時、全ステータス1段階上昇

 鬼気迫る: 瀕死時STR1段階上昇

 豪快斬り: 刀の威力が障害物で減衰しない

 挑発: 相手を自分に引き寄せる挑発

 妖怪殺し: 超常存在相手に全ステータス1段階上昇

 死に場所見つけたり: 戦闘後死亡、代わりにステータス2段階上昇



(えっぐ!なにこれ!?人外でしかも格上と戦う時だけステータス創成級に届くじゃん!?)



さらには名誉の為の戦いであれば全てが創成級へと引き上げられる



(いや、これ今までで一番主人公っぽい!仲間と共にとかじゃなくて、たった一人で全てを動かす圧倒的主人公!)


ピー助もかなり主人公っぽいステータスをしていたが、この刀神はもう主人公まんまである


刀神はド派手な金色の甲冑に身を包み、左目に眼帯をした豪快な男だ


腰には誂えの立派な大太刀、その威圧感は並大抵ではない


魔法特化・暗殺特化・対人外特化



(特化三人衆だな...)



三者三様な新キャラは各々自由にふるまっていた


老魔導師はアピサルたちの戦闘を見て目を輝かせ――


「雷魔法に深淵魔法、そして神聖魔法!しかもこれほどの規模とは!」


――杖を振りながら空中に魔法陣を展開し、戦闘の分析を始め大興奮


刀神は、眼帯でふさがっていない眼をこれでもかというくらい開いて――


「これほどの妖と早々に出会えるとは!滾るのぅ!」


――遠足に行く子供が大興奮で準備をするように、はしゃぐ気持ちを抑えられずにド派手な甲冑兜の結を締め出す


そんな中、影の女性は――


つんつん


――キョトンとするピー助を指で突ついていた



「ピー?」


つんつん


「ピピー!?」


つんつん


「ピーピー!」



ピー助はどうしたらいいの?と言いたげな顔をこちらに向けてくるが



(すまんピー助俺も混乱してる)



「...可愛い」



無表情のままピー助を突つき続ける彼女からこぼれた声は、とても暗殺なんて似つかわしくないくらい透き通った声だった


彼女は、抵抗をあきらめたピー助を抱きかかえてじーっと見てる



(なんか、ほんと自由だな)



アピサルの登場から、常にガチャキャラの登場には気が張っていた為、少し拍子抜けをしながら三者三様のカオスな状況を眺めていると――



「あぁこれではいかん!!」



老魔導師が突然怒鳴った



「頭に靄がかかっているようで肝心なところがわからんではないか!」



俺の方を振り返り



「小僧!何をぼさっとしておる!はよワシに名をよこせ!」



杖をバンバンと地面に叩きつけながら催促する



「でも、名前を付けたら俺に従うってことになるみたいなんですが...」


「魔法の探求の前になんて下らんことをほざいておる!はよせんと大事な場面を見失って――ああもう!はよせい!」



その剣幕に慌てて答える



「わ、わかりました!ではあなたの名前は――オルトレーンです!」


「それでよい!」


老魔導師改めオルトレーンは名などどうでもよいとばかり、再び戦闘の観察に戻り


「魔法学!賢者の知恵!魔力感知!全て展開じゃぁ!うひひ、さぁて、今度こそその魔法を丸裸に――」


異様なハイテンションでよくわからない文字を宙に書き始めた



(なんというか、プロフェッショナルって、こういう人多いよね)



一つの道を究めた人というのは得てして変態になりがちであると、過去の人生が訴えている


 俺は残る二人を見回す


(喜々として戦支度をする刀神と、ヒヨコと戯れる暗殺者か...)


二人とも個性が強すぎて、どう接したらいいか迷う


しかし、もし従ってくれるなら、アピサル達の助けになるかもしれないと意を決して声をかける


「あの、召喚しておいてなんですけど、俺に無理に俺に従う必要はないです。でももし、従ってくれるっていうなら名前をつけますが、どうしますか?」


「自由?」



暗殺者が俺をまっすぐ見つめ聞いてくる



「はい、皆さんの考えを尊重します」


暗殺者は遠くの空を飛ぶ鳥と、俺と、ピー助を順番に見て、ピー助をぎゅっと抱きしめながら俺の横に立つ


「......ならここが良い」


(俺を取ったというよりピー助を取ったってことかな?)


「わかった、君はヴァイオレットだ」


「了解ボス。あたしはヴァイオレット...よろしくピー助」


(やっぱりピー助かい!)


「ピー...」



ピー助は完全にヴァイオレットのお気に入りになってしまったようだ



「カッカッカ!」



戦支度の終わった刀神が豪快に笑いながらあ歩き出す



「小難しいことはええじゃろう!我ゃまず務めを果たさにゃならんじゃゼ!」



戦場に向かって歩き始め、大声で叫ぶ



「遠からんものは音にも聞け、近からんものは目にも見よ!我ゃこそは――」



そこまで叫んで、急に止まった



「......」



しばらく固まった後、俺の元に戻ってくる



「名が無きゃ名乗れん!名乗りを上げん戦じゃ武士の誉は得られんじゃゼ!」


「え?いや、でも...」



刀神の男が膝を突く



「我ゃ武士として誉の無い戦をするわけにはいかん!ちゅうことで、おんしに忠誠を誓うことはまだできんが、我の誉のために名をくれんか!」


(栄誉の為の名か...)


確かに何をなすにしても名前は大事だ



俺の竜将という名前だって、少しでも覚えてもらえるよにつけた芸名だし、刀神の決戦を前に名にこだわる気持ちがすこしだけわかる



「事が済み、ヌシの道に誉があると分かれば、そん時に我ゃの忠義をヌシに捧げると誓おう」



どんな状況だろうが自分の信念を曲げない迷いのない姿


それは「才能がない」「諦めたほうがいい」とさんざん言われながらも頑固に夢にしがみつきながらも、日々自問自答してしまっていた俺にはまぶしく映る



(ホント、皆が主役過ぎて自分が嫌になるな)


「解った、君に名前を授けるが、俺に忠誠を誓う必要はない。」


(でも俺もだっていつか…)


「だけど俺は君の忠誠を諦めない、だからまずは君の誉を見せてほしい」


「ほほぅ、ヌシに我ゃの誉がわかるちゅうか?」


「あぁ、絶対に理解して見せるさ、武王丸」


「武王丸?」


「未来の君の主から送る君への名前さ」


「おう!武王丸か!よか名じゃゼ!」



武王丸が雷帝に向かって歩き始める その堂々とした歩き方は、まさに武神の風格


戦場では雷帝がアピサルとマリエルを相手に激闘を繰り広げていた


あたりには戦闘の余波で色々な魔法や土片が飛ぶが、武王丸はかけらも気にしない



「カッカッカ、戦場まで身体を温められるよか風じゃゼ」



多少の被弾があったにしてもそよ風を受けたかのようにぶれない歩みを続ける


そしてついに雷帝の足元にたどり着く



「やいやい!鬼と雷の帝よ!」



武王丸の声に雷帝が視線を送る



「我ゃ武王丸!物の怪・妖怪退治の功績にて刀神の名を賜った武士じゃゼ」


「また増えたか!木っ端がいくら増えようが余には無意味と知れ!」



雷帝が電撃を放ち武王丸の兜がはじけ飛び、鎧や衣服が焦が去れるが武王丸はかけらも気にもしない。それどころか体からほとばしるオーラ―を増加させていく


「我ゃが木っ端か...」



そしてゆっくりと腰を落とし、大太刀の柄にゆっくりと手を這わせ



「...無意味ちゅうがのぅ、物の怪・妖怪の類を相手にするときの我ゃの刀は――」





キンッ





美しい金属音が響いた次の瞬間





雷帝の巨大な足が宙に舞った



「――神すら斬るじゃゼ」




雷帝が驚愕の表情を浮かべ悲鳴を上げる



「ぐああああ!」



あの雷帝がバランスを崩して倒れる



「嘘だろ…」



その景色には俺は勿論の事、アピサルでさえ衝撃を受たようだ


どれだけ攻撃を浴びようともびくともしなかった、あの雷帝の足を人間が斬り飛ばすなんて



(カッコよすぎだろ!!どんだけ主人公なんだよ!武王丸!!)



武王丸のSSSだったSTRは自身のスキル


妖怪殺し: 超常存在相手に全ステータス1段階上昇


武者震い:格上戦闘時、全ステータス1段階上昇


によってXXSの神話級へと到達し、被弾しながら攻撃することで


相討ち上等:被弾と同時に反撃、STR1段階上昇


創成級へと到達


そしてこれが誉を得るための戦いであるため


武士精神: MAX - 誉を得る為の行動時、自身の最高ステータスが平均値となる


によって全ステータスが創成級へと到達することで神を超える防御力と速度を得る。さらにそこに


一刀両断:STR>VIT時確実 太刀が入る者を全て両断


豪快斬り:刀の威力が障害物によって減衰しない


が発動し神話級の雷帝の防御を突破し、家程に太い雷帝の足を断ち切ったのだ



(武王丸!!!お前凄すぎるぞおおお!!)



被弾からあちこちから出血しているにもかかわらず、瀕死からは程遠い武王丸にはまだ


鬼気迫る:瀕死時STR1段階上昇


死に場所見つけたり:戦闘後死亡、代わりにステータス2段階上昇


の特性が残されており、もう3段階STRが上がる余地がある



(創成級の3段階上ってなに!?物語なら裏ボス戦で覚醒するやつじゃん!もうほんと根っからの主人公すぎるぞ武王丸!)



誰もが無しえぬ快挙を一人の武士が成し遂げた


普通ならそこで満足し止まる。だがしかし武王丸は止まらない



「もう一匹じゃゼ」


「え?」


武王丸がアピサルを見た瞬間――


ッキン!


――再びの金属と共にアピサルの巨大な尻尾が両断された



「きゃああ!」



アピサルが苦痛の声を上げる


雷帝すら突破できなかった、斬撃耐性があるアピサルの尻尾を斬る理不尽過ぎる攻撃力



「武王丸!何をしてる!」



俺が叫ぶが、武王丸は満面の笑みで振り返って答える



「我ゃの前で物の怪・妖怪の類が生きのびることはまかり通らんじゃゼ!」



武王丸が刀を構え直し、突進の姿勢を取る



「刀神・武王丸。新たな誉を求め、推して参る!」



戦場は一瞬で混乱の極みと化した

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