第7話:連鎖、加速する(悲劇率20%)

美咲カップルの感動から一週間、小説投稿カフェ「ストーリー・ハート」は連日満席で、予約待ちの行列ができていた。


「シェイクスピアさん、今日も大盛況ね!」


タケシ店長が笑顔で言う。そこに美咲と健太郎が結婚指輪をつけて登場した。


「シェイクスピアさん、結婚式の招待状です!」


カフェ内が拍手に包まれた。


「あの感動カップルだ!」「本当に結婚するんだ!」


シェイクスピアは感動しながら答えた。


「君たちの愛が、我の道しるべじゃ」


ユキが横でニヤリと笑いながら言った。


「私のラブコメ、完全に負けちゃった。でも、悔しいから一緒に書かない? あなたと書いたら、700組レベルになるかも」


シェイクスピアは赤面した。


「700組……?」


ケンタがクスクス笑いながら言った。


「ユキさん、嫉妬が加速してるぞ」



そんな中、美咲の友達のエミが3人の友達を連れてきた。


「シェイクスピアさん、友達3組目も連れてきたよ! あなたのおかげで、私の先輩と付き合い始めたの。もっと連鎖加速させて!」


エミの友達1人目は、20代女性のサキだった。


「元カレのSNS、毎晩チェックして寝不足です。私みたいなアホ、助けて!」


シェイクスピアは原稿を睨みながら答えた。


「未練の影が……バシッ!」


紅茶がこぼれ、ユキの指に触れた。ユキはドキドキしながら拭いた。


「またドジ。でも、そんなあなたが……」


頰を赤らめながら言葉が途切れる。


「君の心のバルコニーを開くのじゃ。『あの笑顔が月光のように忘れられぬ』と伝えよ」


2人目は30代男性のヒロキだった。


「仕事男の俺、彼女の『新しいスタート』投稿で心折れそう……」


「それは君への愛のサインじゃ。花束で『君なしの人生は、冬の嵐のように冷たく空しい』と!」


3人目は大学生のミキだった。


「ゲーム分からない私、でも彼の笑顔守りたいんです」


「ゲームで彼の心を攻略せよ。『一緒に遊ぼう、君との時間が私の最高スコア』と!」


3組は目を輝かせて帰っていった。


「復縁の魔法使い!」「#詩人作家復縁術 #ハッピー祭りライブ」でシェア爆発が始まった。



翌日、カフェが「胸キュン劇場」と化した。サキが元カレと手を繋いで同時に入店してきた。


「シェイクスピアさんの言葉で、心のバルコニーが開いたんです!」


感動のハグをする。続いてヒロキが彼女と一緒に来た。


「花束持ったら、彼女の涙が俺の冬を溶かしました!」


さらにミキがゲーム好きの彼と一緒に現れた。


「デュエットゲームで、彼の『君最高!』が私の勝利でした!」


カフェ内がフラッシュモブ風の拍手嵐に包まれた。


「私も相談したい!」「ライブで復縁見た!」


客がスマホで興奮して投稿する。


「#詩人作家復縁術 #ハッピー祭りライブ」「サキのハグ動画がバズ!リポスト1000!」「今すぐ復縁したくなった!」


シェイクスピアは感動で涙ぐんだ。


「3組同時ハッピー……我の詩が現実に」


ユキはシェイクスピアの手を握りながら言った。


「私も感動で泣きそう。あなたって本当に愛の詩人なのね。私のラブコメ、完全に負けちゃった。でも……」


シェイクスピアは握られた手にドキドキしていた。


「でも?」


「私たちなら、愛の700組革命ができるわ。あなたと私で、究極のラブコメを」


二人は見つめ合い、キス寸前になった——


ケンタが乱入してきた。


「おお、ついに告白タイム?」


二人は慌てて手を離した。



その夜、動画投稿をした。タイトル:「炎上から7組逆転! 次は書籍化? #心の喜劇」


「皆の者、ついに7組のハッピーを達成した! 美咲カップルの結婚式も控え、連鎖は頂点へ!」


コメントが爆発した。


「書籍化希望!」「復縁術まとめて!」「ユキ×詩人CP最高!」「今すぐ元カレに連絡したくなった!」


SNSで拡散された。


「#詩人作家復縁術」がトレンド入りした。「炎上→感動→復縁術→書籍化?」の流れで話題が沸騰した。


ユキは動画を見ながら妄想していた。


「コラボ動画で、私たちの恋愛指南……」


頰を赤らめる。カフェは予約3ヶ月待ちになった。シェイクスピアの評判は天井知らずだった。



その夜、シェイクスピアは一人で考えていた。


「なぜこんなに連鎖するのじゃ?」


ユキが答えた。


「詩的表現を控えて、相手の気持ちに寄り添うようになったからよ。悲劇じゃなくて、ハッピーを書くようになった。あなたみたいな人が書くと、キュン死レベル♡」


「ハッピーを書く……」


シェイクスピアは何かを悟った。


「そうか……詩の極意は『人の心を知る』。ラブコメも同じ。相手の心を知り、自分の心を知る……」


「それよ!」


シェイクスピアは羽根ペンを開いて宣言した。


「よし! これからは『心の喜劇』で行くぞ! 悲劇ではなく喜劇、それがラブコメの極意じゃ!」



翌日、出版社からの電話がかかってきた。


「シェイクスピアさんですか? 恋愛指南書の出版オファーがあります」


シェイクスピアは驚愕した。


「書籍化……?」


電話中、ユキの横顔を見つめてドキドキしていた。(美しい……)


ユキは目を輝かせて手を握った。


「ついに来たのね! でも、一人で書くの? 私と共同執筆したら、もっとすごいものができるわ。あなたの詩的表現と私の現代感覚で、究極のラブコメ指南書を」


シェイクスピアは握られた手に心臓がバクバクしていた。


「ユキと……共同執筆……」


「そうよ。7組から700組へ。私たちなら、日本中のカップルを幸せにできる。愛の革命よ」


シェイクスピアはユキの瞳に見とれていた。(君との共同作業……それは我の夢じゃ)


シェイクスピアの作家人生に、そして恋愛にも、新たな転機が訪れようとしていた。



その夜、シェイクスピアは一人静かにつぶやいた。


「ユキよ、君との喜劇が、この連鎖の頂点じゃ……共同執筆という名の、我らの愛の物語が始まる。7組から700組へ……そして、我と君の愛も、ついに開花するのか」


(第7話 終わり。次話へ続く。)




🎭 次話予告

第8話「頂点の幕開け(悲劇率10%)」

書籍化オファーが決定し、ユキとの共同執筆が本格化。しかし最終試練として、ライバル作家との競作が提案される。果たして二人の愛は……?

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