【切ない恋愛小説】失くした愛のかたち ~別れと喪失の先にある希望~

雨音|言葉を紡ぐ人

第1話 あの日から

拓海が死んだのは、十二月の雪の降る夜だった。


仕事帰りの車での事故。相手の車が信号無視をして、拓海の車に突っ込んできたという。即死だった。痛みを感じる間もなく、一瞬で終わったらしい。


警察から電話がかかってきた時、私は何が起きているのか理解できなかった。


「お付き合いされている中村拓海さんが、交通事故に遭われまして」


「え...今、どこの病院ですか?」


「いえ、あの...」


警察官の言葉が続かなかった。その沈黙で、全てを悟った。


病院で対面した拓海は、まるで眠っているようだった。傷も少なくて、今にも目を覚ましそうで。でも、冷たかった。触れた手は、もう温もりを失っていた。


「嘘だよね」


何度も呼びかけた。でも、彼は目を覚まさなかった。


葬儀は、あっという間に終わった。たくさんの人が来てくれた。拓海は人望があったから。でも、誰の言葉も心に届かなかった。


「時間が解決してくれるから」


「拓海さんも、そう思ってるよ」


慰めの言葉は、どれも空虚に聞こえた。


それから三ヶ月が経った。春が来て、桜が咲いた。世界は何事もなかったように回っていく。でも、私の時間だけが、あの日で止まっていた。


仕事には行けた。でも、心ここにあらずという感じで、ミスも増えた。友達からの誘いも断るようになった。休日は一日中、部屋で過ごした。


拓海との写真を見て、メッセージを読み返して、彼の声を思い出そうとして。でも、だんだん記憶が曖昧になっていくことが怖かった。


「忘れたくない」


そう思えば思うほど、記憶は薄れていく気がした。


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