140文字短編集『酒の肴』

水野酒魚。

第1話 お題「桜吹雪」

 桜の古木に花は盛り。

 闇夜に浮かぶ白の洪水。

 降り積もれ、降り積もれ、花びらの記憶よ。

 私がかつて葬った過去の罪科に降り積もれ。

 いつしか花は地を塗り潰す。願いも、歓喜も、思い出も。何もかもを染めて、埋めて、平らかに。

 もう二度と、貴方の叫びは何処にも行けない。

 ずっとずっと愛していました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る