第11話 極秘の核計画と、チートが告げる「最終兵器」




首相特別補佐官室。





黒木圭介くろきけいすけは、頭を抱えていた。イーロン・マーズいーろんまーずが告げた「核兵器計画」の情報は、未来の知識にも極めて曖昧な部分だった。





(未来では、この計画は、統一朝鮮共和国とういつちょうせんきょうわこくの属国化を確定させる「最後の引き金」となった。だが、阻止の確実な方法は、記憶にない)





彼は、すぐに田中翔たなかしょうを招集し、極秘の核計画に関する情報収集を指示した。





田中たなか。統一朝鮮共和国の裏側で、観星会かんせいかいが『核兵器開発』を進めている。『極秘研究施設の座標』と『計画の実行日時』を、あらゆる手段で特定しろ」





「核兵器、ですか!?」





田中たなかは、顔面蒼白になった。**彼の頭には、広島、長崎の惨状が、一瞬でフラッシュバックしていた。** 彼らが相手にしている闇の深さを、改めて実感した瞬間だ。





「これは、君たちの命を賭ける、最も危険な使命だ。失敗は、日本の国益の喪失に直結する」





圭介けいすけは、左腕の紋様を強く握りしめた。**「CONFIDENCE LEVELコンフィデンスレベル:78%」**という数値が脳内にグリッチする。この低い信頼度では、確実な作戦は組めない。





**(78%。つまり、計画の3分の1は、すでに僕の知らない未来だ。狂気の選択をするしかない)**





圭介けいすけは、端末から、一つの極秘ルートにメッセージを送信した。それは、元内閣総理大臣、官義偉かんよしひでの「闇の人脈」を動かすための、最後の依頼だった。






**数時間後**。






かんからの簡潔な返信が届いた。それは、統一朝鮮共和国の「裏社会の主要人物」のリストと、その人物を動かすための「致命的な弱み」が記載された、闇の情報だった。**この情報には、かんが数十年かけて築いた、闇社会の倫理と、彼の人生の裏側が凝縮されていた。**





「流石だ、かん元総理。貴方あなたの敗北は、日本の切り札になる」





「時間がない。チートが告げている。この計画は、観星会かんせいかいが『調和のくさび』という最終兵器を完成させるための、最後の『ピース』となる」





**室内の壁にかかった時計の秒針の音だけが、異常なほど大きく響いていた。その秒針の音が、まるで圭介けいすけの命を削るカウントダウンのように聞こえた。**





田中たなか高橋たかはし。この裏社会のリストを使って、統一朝鮮共和国の『極秘研究施設の資金ルート』を、国際送金システムから一瞬で凍結させろ」





(核兵器計画を公にすることはできない。世界が混乱する。観星会かんせいかいの手先を裏社会から叩き、計画そのものを**『事故』**に見せかけて潰すしかない)





(外交官としての倫理を完全に超越した、極めて冷徹な「殺処分」の選択だった。)





**その判断を下した直後、腕の紋様がチリチリと皮膚を焼くのを感じた。**

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