小学生男子にみられる、一人称「オレ」における上昇イントネーションの社会言語学的考察

課長

　日本語話者の児童、特に小学生男子に特有の一人称「オレ」に見られる上昇イントネーション（以下、「オ↗レ」と表記）について、言語的、社会的、心理的側面から分析することを目的とする。

　観察される「オ↗レ」は、単なる音韻的な特徴ではなく、自己同一性の形成期における発話行動の表出であると仮定する。先行研究において「オレ」の地域差や世代差は指摘されていると推察するが、児童期特有の一種特殊なイントネーションを対象とした研究や考察は乏しい。既存の社会言語学的理論及び筆者の記憶をもとに、その起源と社会的機能を考察する。