二人の新しい家族が猛烈アプローチをかけてきます

のんびり

第1話 新しい家族が増える

 とうさんは○○商事の部長。家庭ではすごいところを見せないだけに、二面性を持っているのを感じさせる。息子の知らないところで、すさまじい才能を持っているようだ。


 かあさんは三歳のときに他界。声をかすかに覚えているくらいで、記憶にはほとんど残っていなかった。とうさんから聞いた話だと、要領のいい、優しい女性だったようだ。


 若宮正は現役の男子高校生。


 とうさんが結婚記念日に、別の女性と籍を入れる。相手は数年前に、交通事故で旦那を失っていた。一人で二人の娘を支え続けることも視野に入れたようだが、再婚する道を選んだ。


 再婚相手は二人の娘。2人で生活していた我が家は、今日から5人と2.5倍に急増することとなった。女性は0→3なので、数字で表現するのは不可能だ。


「若宮さん、今日からよろしくお願いします」


 静香さんはおかあさんとは思えないほど、水分を含んだ肌をしている。


「若宮君、今日から家族だね」


 ほのかは同じ高校のクラスメイトなので、毎日のように顔を合わせている。仲良くしているわけではなく、知人レベルといったところ。私語を交わした記憶は、ほとんど残っていない。


「若宮さん、今日からお世話になります」


 ゆとりは丁寧なお辞儀。 同じお腹から誕生したのに、ここまで違うものなのかなと思った。


 ほのか、ゆとりと生活すると伝えられたのは、二週間前である。クラスメイトとその妹と同じ場所で過ごすなんて、一ミリも想定していなかった。


 ゆとりは妹ではあるものの、発育に関しては完全逆転現象が起きている。ほのかは小学生くらいの成長で、身長は140㎝くらい。胸がほとんど育っておらず、同級生でなかったら、ランドセルを被っている姿がしっくりとくる。


 ゆとりは身長165cmくらいで、胸はかなりの成長を遂げている。中学生にもかかわらず、Dカップはあろうかという豊潤さ。ぺったんこの姉にちょっとくらいは、わけてあげればいいのに。


 新しい家族なるとはいえ、ほのか、ゆとりは完全なる赤の他人。必要以上にプライベートに介入するのは、まだまだ先になりそうな気がする。

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