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  • 拝読いたしました。

    凛という少女の崩壊と救済未遂を描いた本作は、読後に深い虚無と静かな痛みを残す作品でした。
    宗教的抑圧・家庭の歪み・禁断の関係という重い題材を扱いながらも、表現が一貫して精緻で、香りや空気の質感を通して人間の心の澱を可視化する筆致が印象的です。
    特にこれはこだわったのだろうなと推測できるのが、嗅覚のモチーフを用いた心理描写。作者の高い観察眼と詩的感受性が感じられました。

    ただ、物語が進むにつれて閉塞感が意図的に強まり、読む者に息苦しさを覚えさせるほどの密度を保っている点は、読者を選ぶかもしれません。
    それでも、この圧のある筆致こそが作品の骨格を形作っており、「救われない物語」でありながらも確かな文学性を備えています。

    結末に残された“白紙”という象徴は、読者自身の心の空白を映す鏡のようで、解釈の余地を残すラストとして秀逸。全体を通じて、技巧と感情の均衡を高い次元で保った力作でした。

    人は選ぶ、Web小説向きではない、でも私は面白かった、そんな作品だと思います。