暖かな波と大切な何か

ここはどこだろう

。

芝生の上には小さな花が所々に咲いている。



ペンダントに入っていた紫の花も
ありそうな気がする。


探そうと前に行こうとした時だった。




「ルナ、どうした?」

優しい声がすると後ろから身体を優しく覆われた。

懐かしい声だった。

私の後ろにも誰かが座っていた。
私を足の間に入れるようにして座っているみたいだ。

"私、この人のことを知ってる。この感覚を知ってる。"


顔は分からないのに、不思議なことにそう思った。

聞き覚えのある声、後ろから回された腕から感じる抱きしめる仕草。


果物か花かは分からない。
甘くて優しい香りがする。

初めて会うはずなのに、少しだけ切ない気持ちになる。




このままこの人とずっと一緒にいたい。

溢れる想いがありながら、私はこの人のことを思い出すことができない。





どうしてか急に悲しくなってしまった。涙が溢れると後ろから優しく頭を撫でてくれた。



前には海が広がっていて、波の音が聞こえる。





波が寄せる音に心が落ち着いていく。

この人は誰なのだろう。

振り返ろうと後ろを向く。

白い服を着ていた。




私が幼い頃の記憶なのだろうか、
年齢は現実の私と同じ歳くらいなのに、すごく大きく感じる。


顔を見ようと上を向くと、視界がぼやけてきた。

ああ、夢が終わってしまう。




この人とはもう会えないのだろうか。

切なさで胸がいっぱいになりながら、意識が現実へと引き戻されていく。

「ルナ、またね。」


その言葉を聞くと意識がだんだんと夢から遠のいていった。

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