不思議なホテル(コメディ要素あり)

うみ色の炭酸水🫧

2つの記憶

2つの記憶について

私には両親がいない。


物心ついた時から施設にいた。


いないと言うよりは、会ったことがないだけなのかもしれない。

私は血が繋がった家族と言うものを知らなかった。



でも、施設での暮らしは楽しかった。


気の合う子も多かったし、施設の人は私を大切に育ててくれた。


だから両親がいない環境下でも幸せだった。

そして、私には2つの記憶がある。


1つは幼い頃、この施設に初めて連れられて来た時の記憶。


一緒に来てくれてたその人の顔は覚えていないが、隣にいるととても安心した。



また会えると思っていたけれど、その人がそれ以降施設に来てくれることはなかった。


そしてもう1つ。

もっと大きくなったときのことだろうか、少し記憶がはっきりしている。

今とは違う仲間がいて、その人たちとよく笑いあっていた。

そして、それを遠くから優しく見守ってくれていた人がいた。

その場所はどこだったか分からないが、とても広い場所で外の景色が綺麗だった。

その記憶に出てくる2人は両親か、誰なのかは分からない。

だけど、その2つの記憶を思い出す度に温さと懐かしさでいっぱいになる。
でも、それと同時にどこか胸が締め付けられるような切なさを感じる。


私はいつか必ず、その2つの記憶が私にとって何かを確かめるため、そこへ行きたい。

そして、その人達が誰なのか知りたい。

もしも会うことが出来たなら、聞きたいことがある。

どうして、私を施設に預けたのか。

その理由と意図が知りたい 。


そして、もう1つ。

その人は今でも私のことを愛してくれているのだろうか。

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