僕と未来と大好きな人と
かんないひなた
ワシと日常と学園生活
ワシと朝焼けとプロローグ
早起きは三文の徳、という言葉がある。確かにその通りじゃ。いつも登校前に発声練習とランニングをするのはもう日課となっておるが、毎朝終える度にやり切った感じがして気持ちがよい。
「しかし、今朝はいかんせん早く起きすぎたのう……」
時計を見るとまだ朝の五時を指しており、普段起きる時間より一時間ほど早い。二度寝をしてもよいのじゃがどうにも目覚めてしまったし、早く行くにも半端な時間じゃな。
「まだ外も暗いし……たまには勉強でもするかのう?」
そう思い立ち、しずしずとリビングで茶を入れてから参考書とノートを取り出しペンを取ってみる。よし、誰も起こさずに済んでよかったのじゃ。さあ、勉強を――そういえば、Cクラス戦の時のワシはなぜあんなに取り乱してしまったのじゃろう。明久が雄二を恋愛的な意味で好きだと思ったからじゃろうか? まあ、あれは衝撃を受けたのじゃ……。あやつはいつも、同性のワシでもそういう対象で見れると言っておったがあくまでも冗談じゃと思っていたからのう。
「はっ! こんなことを考えている場合ではない。勉強をするのじゃ。勉強、勉強……」
窓辺の朝焼けに奪われていた視線を慌てて参考書に戻す。何を考えていたのじゃ。明久の恋愛対象が広いことなどとっくに分かっていたじゃろう……。
にしても、ワシがあやつを好きという噂が真実とは関係ないと言われた時、なぜ即答できなかったのかは自分の中でも引っかかるのじゃ。あの時は友人としては好きじゃから嘘になるか迷ったといった趣旨で答えおったが、本当にそうじゃろうか? 自分のことなのになぜか分からぬ……。
「って、また気が逸れてしまったのう……。なぜこんなに気になってしまうのじゃろうか……」
諦めてペンを投げ出し、日が登りつつある朝の澄んだ空を見ながら茶を飲みつつ考える。
うーむ……明久が一番、ワシに対して女扱いをしたうえで、バカで紛らわしい発言をするからじゃろうか。雄二は男として扱ってくれるし、ムッツリーニは写真を撮って同じく女扱いをしてくるが……寡黙で、そこまでバカな発言はせぬ。
あやつはお化け屋敷の時は異性に興味があると言っただけで遠回しな告白と捉えるし、風呂や着替えはやたら拒否するし、そもそも出会った時から女扱いをしてきて、胸を触らせても信じなかったのう……。
そんな扱いをしてくるから外見だけを見てるのかと思ったら、こちらが恥ずかしくなるぐらい中身をストレートに褒めてきおって、でも可愛ければ誰でもいいのか、ワシだけでなくムッツリーニの女装も良いと言っておったし……あの時は、なぜ手が出てしまったのじゃろうか。
今までも散々女扱いされおったが高校に入ってからも尚のことじゃし、特に明久には振り回されている気がするのう……。まああれでも周りから愛されとるから、姫路か島田とそのうち付き合えばワシの女扱いを辞めてくれるはずじゃ。
――キュッ
? なぜ心臓が今一瞬締め付けられたのじゃろう。何かを寂しがっているわけじゃあるまいし。不思議なものじゃな。
ともかく、いろいろ考えておったらもういつもの起床時間に差し掛かっているようじゃな。普段通りトレーニングをして登校するかのう。
今日も平穏に……できれば誰にも振り回されることなく一日を過ごしたいものじゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます