エンジェル・ナイト

モーリスの壁画

「夢」

君を眠らせてからいくつか時針が回るのをみた。

膝の上で眠る君は、僕のお腹側に顔を寄せてすやすやと目を閉じている。

さよならをいうには早すぎるから、もう少しここにいることにする。

彼は私を回す電動力であり、同時に壊れさせるためのしんしんと降り積もる埃でもあった。

つまり私は彼のために動くことができるが、彼はいつでも私を止めるほどの緊迫した力を持っているわけだった。

彼の髪を撫でて、ふと、時計を見る。短針が動かず、ガクガクと震えるようにその場に括り付けられているみたいだ。

彼は起きない。絶対に起きない。

私は夢の中で彼と泳いでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る