2:「やまぐれ商店の奇妙な事件簿(著:飛梅ヒロ)」読む人:ルイズ・K・ケプラー

 ふう、仕事疲れたわ。パパから継いだ会社ものとはいえ、妙齢な少女に激務をさせすぎるわ。


 ルックは今頃どうしてるのかしら。またパパの無茶ぶりに付き合わされてないのかしら。久しぶりに話がしたいわね。


 そう思っていると、私はつい連絡用のタブレットを手にする。でもすぐに我に返って、直接にかけようとするのを我慢した。ルックのスケジュールを知らないから。

 私はソファに身体を沈めた。


「声が聴きたいわ。これも天才少女の辛さね。……ん?」


 会社からの連絡が入る前に、開けかけたサイトがそのままになっていた。何を押したか分からないけど、読み物のサイトらしい。


「ふーん、開けちゃったからなんか読むわ。おすすめは……と。『やまぐれ商店の奇妙な事件簿』ね。ミステリーはちょうどいいわ。犯人を当ててやるわよ」


 私は――幾分の気まぐれで――おすすめ作品の一つをタップすると、データベースから文字がずらりと羅列していく。


 主人公はあやかしが見える女。

 待って、あやかしってなんなの。霊感とこの世にいないもの。なるほど。幽霊なんているわけないけど、ファンタジーだしね、言わないでおくわ。


「何このタグ……おねショタ……?」


 馴染みのないタグに、私は直感的に危機を感じた。

 おね……ショタ……。いいえ、今は物語に集中しましょう。


 ……てまりって何かしら? 何か物語に関わってくるの? 事件簿なんだから、この子が事件を持ってくるのかしらね。でも、ミステリーは人が死んでなんぼだから、この子が犯人だったりするの?


 あ、いい子が出てきたわ。みなとくんね。大人しいところは昔のルックとそっくり。性格は全く違うけど。

 と、思ったら。大人しそうな子なのに、やっちゃいけないことをやったのね。全くルックと違うわ。


 うん、こっくりさんやってお友達が祟りに遭って、その子を助けるために見える女店主に会いに来たわけね。大人しそうなのにあんたがやばいゲームに誘ったの? 大人しそうなのに?


 でも、友達のために身を顧みずに知らない世界に足を踏み入れようとする勇気は認めるわ。ルックを見てきたから分かる。こういう子は大成する。将来うちで働いてほしいわね。


 それで神様に謝りにいくと。あらら? 展開が予想と違うわね。一転して、犯人は分からなくなった。でもヒントがないから、犯人当てできないわ。いつものミステリーなら登場人物の誰かが犯人、ということはここはてまりって子が。


 と、ここで終わり。まだ連載中ってマークがあるから、書き出したってところかしら。やれやれ。


 序盤はちょっと長いけど、導入は嫌いじゃないわ。てまりって子もちゃんと役割があったし、もしかしたら犯人だもんね。みなとくんはルックに似てたり似てなかったりするのがもやもやするから、早く完結してちょうだい。


★こちらが読んだ作品だわ。


まやぐれ商店の奇妙な事件簿(飛梅ヒロ):https://kakuyomu.jp/works/16818792438955534091

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