おようさん

BOA-ヴォア

   おようさん  

 わたしは坂楽集落さからくしゅうらく庄屋筋しょうやすじの末で、名を増尾清一ますお きおかずと申す。十二年の春、田の畦はまだ黒く冷え、川べりの葦は色を取り戻す気配もなかった。けれど、村の年寄りたちはこの季節になると、決まって同じ話を口にした。


「水ん中には、おようさんが居はる。見初められたら、腹に子が宿る。男でも婆でも関わりない。人の子やないから、やがて用分を吸われて死ぬんじゃ」


 その夜話は、囲炉裏火の煤に練り込まれ、わたしの耳の奥にへばりついたまま離れなかった。

 春起こしの支度を終えたころから、集落の空気が微かに変わった。隣の山岸の婆さまが、腹を撫でながら「重い、重い」と笑って見せたのだ。七十を越えてなお、そんな冗談を言うものかと、女房たちは肩をすくめた。

 けれど、婆さまは三日もせぬうちに床に臥し、腹を抱えて呻くようになった。井戸端で覗いたその腹は、水を張った鉢のように張り出し、皮は薄く透けて、静脈の青い線が蜘蛛の足のように伸びていた。


「おようさんに、見初められましてん」


 囁くように婆さまが言った。わたしは草履の緒を踏み外したまま、彼女のわき腹に浮かぶ影の脈を見つめていた。畳の目が、そこだけ水に濡れたように黒く光っていた。

 河は冬の痩せた底を晒し、浅瀬に白い小石が上がっていた。あの石の間から春になると、目に見えぬ糸のようなものが立つ——そう幼いころに聞いた。日の差す角度でだけ光り、皮膚に触れるとひやりとして、すぐに消える糸。母はそれを「おようさんの髪」と呼んだ。


四月の末、わたしの家でも異変が起こった。

 妻の志乃が、腹を押さえて座り込んだ。まだ二十七。子はひとり。冬からの咳が抜け切らず、やせた肩にいつも布を重ねていた。


「重いの。腹が、あの婆さまと同じふうに……」


 志乃の眼は、乾いた光を湛えていた。わたしが手を当てると、皮膚の下からぬるい波が手のひらを押し返した。自分の鼓動が吸い取られ、耳の後ろで脈打つような感覚があった。

 志乃は笑って言った。


「神さまの子やから、堕ろしたら祟りが来る」


 わたしは笑えなかった。

 庄屋の倉を探ると、古い文書が出てきた。その中に「ようを吸う」という文字が幾度も見えた。

 講中の札にはこう書かれていた——「田植えの前に社の石に塩を盛り、川に向けて盃を三つ流すこと」。

 酒屋の源六は、盃を四つ流した年に、続けて二人の身内を亡くしたという。盃は三つ、と書かれているなら三つなのだ。


 祭りの日、わたしたちは神前で手を合わせ、盃を流した。

 川面は淡い泡をふくふくと立て、盃がゆっくりと回る。

 下流に消えるころ、志乃が膝から崩れた。畦に顔を伏せ、土を噛んだまま「むこうに、犬がおる」と言った。


 誰の犬かを問う暇もなく、志乃はしがみつくようにわたしの腕を引き、流れの黒い溝を覗き込んだ。

 そこには何もいない。

 けれど、水の中の石の影が四本足に見え、尾のような黒い筋がゆっくり揺れていた。


 その夜、志乃は熱を出した。子どもも腹を下し、夜具に血の筋をつけた。父もまた、床の上で腹をさすって唸りはじめた。

 家の空気は濡れた草の匂いで満ちていった。

 湿った布団から立つ薄い湯気は、、鉄のような匂いがした。


 坂楽の下手に、軍の者が出入りしはじめた。

 新しく敷かれた線路の先、山奥の渓流に、彼らは小屋を建てた。陸軍の軍属だという。

 白い布を巻いた男たちが、腰まで水に入り、何かをすくい上げて瓶に入れていた。瓶の口からは細い霧が上がり、男たちの顔を蒼白に照らすランプが灯っていた。


 村の子が、こっそり見に行って戻らぬことがあった。

 二日目に見つかったその子は、裸足のまま渓流の石に腰をかけ、口を開けて笑っていた。

 唇には薄い泥がこびりつき、舌がゆっくりと川の方へ伸びていくように見えた。

 呼ぶと立ち上がったが、足跡が深く、いつまでも濡れていた。


「研究やそうな」

 と、源六が言った。「川の虫じゃ。虫の卵が、人の腹で孵るんやと」


「おようさんのことか」

「さあな。軍の人は“虫”としか言わんかった。

 けど、わしらには昔から“神言(かみことば)”がある。

 虫と言われるより、神の方がまだ筋が通る」


 わたしは軍の小屋へ向かった。

 白い三角旗がひらひらと揺れていた。入り口には金網が張られ、硝子戸を引きずる音がした。

 中にはガラス皿がいくつも並び、白い小さな殻ばかりが置かれていた。

 殻は巻貝のように見えたが、口が不自然に大きく、そこから細い糸の束が伸びて、水の中でぷるぷると震えていた。

 皿の脇には、薄い切符のような紙が差してあり、「坂楽/北支流/取水年三四/宿主殻」と墨で書かれていた。


「庶民には伝承があるそうだな」


 白衣の男が言った。

 声は静かだったが、どこか遠くで響いているように聞こえた。


「神の子を宿す、という」


「おようさんの子です。田の神の子じゃ」


「田の神が、腹を破るのか」


 男の肌は白すぎるほど白く、瞼の血管が透けていた。

 その目の奥には、冬の川の色が宿っていた。

 彼は皿の上でらせんを描く糸を、顕微鏡につまみ上げるように視ていた。

 わたしには、その糸が、志乃の腹の皮の下でぬるぬると回っていたものと同じに思えてならなかった。


「あなたの家は、川の何番目の取水から水を引いている」


 わたしは答えられなかった。

 番号など考えたこともない。

 家々は古くからの順で水を分け合い、たまに順番を違えれば喧嘩になるだけだった。


「あなたがたの言う神は、水路だ」

「水そのものだ。わたしたちは、その神を瓶に入れ、切り分けて見ているだけだ」


「瓶に入れられる神など、神ではない」


「そうかもしれない。けれど、死ぬのは人間だ」


 わたしは黙った。志乃の腹の重みが、掌に蘇った。

 白衣の男は、手袋を外し、指を瓶の水に浸してみせた。

 白い水の表面が破れ、波紋が静かに走った。

 その指先には何もまとわりつかぬように見えた。

 だが、男は指を上げ、灯りに透かした。


「ほら」


 指の腹の細い皺が一本、別の皺のように浮かび上がった。

 一本だけ、塗り直したような新しい皺。

 それが、ぐっと内側に沈んで消えた。

 わたしの背中を冷たいものが這い上がった。


「これは神ではない。けれど、神のように振る舞うことはできる」


 志乃は痩せ、父は夜に口から血を吐くようになった。

 子どももまた、熱の夜をいくつもやり過ごし、そのたびに、わたしの肩で眠り、朝には河原の石のように冷たい目で天井を見つめた。


 村の祠の前に、古い紙札がいくつも貼られた。

「盃三」「米ひと握り」「川の女を怒らすな」――誰が書いたのか、わからない。

 夜、畦道を歩くと、足元の泥が吸いつき、血の気が引く。

 わたしは祠に行き、塩を盛って盃を三つ流した。

 けれど、その夜は盃が上流へ向かって戻ってきた。

 まるで水の面が逆さに傾いているようだった。


 わたしは、川底から何かの気配を感じた。

 目を凝らしても何も見えない。だが、視界の隅で白い骨の脚が水を踏むのが見える。

 目をそらせば消え、視界の外では確かに音がした。骨と骨の、乾いた音。

 遠くで犬の首輪の鈴が鳴った。


 志乃が布団の上で微笑み、「連れていかれないように、角を三つ曲がりなさい」と囁いた。

 村の婆さまたちが昔語りに添える言い草が、よみがえった。


「おようさんに見初められたら、真っ直ぐ帰ったらあかん。角を三つ、わざと曲がって、後ろを見ずに帰るんじゃ」


 わたしは角を三つ曲がって帰った。

 角を曲がるたびに、背中の影が前に回り込み、足音が自分のものでなくなる。

 曲がり角ごとに、家々の格子戸がほんのわずかに開閉し、目のない顔がこちらを向いた。


 家に戻ると、志乃の腹はさらに張っていた。

 皮膚の下で、何かがささくれ立った指で畳を引っかくように動く。

 わたしが手を当てると、その動きは手のひらの線に合わせて動いた。

 まるで、わたしの生きる線を探るようだった。


「おようさんの子は、道をよう知ってはる」


「どこへの道だ」


「帰る道やない」


 志乃は笑い、目を閉じた。

 その呼吸は浅く、胸の奥で別の鼓動が動いていた。


 軍の小屋の男は、わたしに一枚の紙片を渡した。

 日付は昭和十二年五月。墨で短く書かれていた。


「坂楽北支流 宿主殻密度 昨年比十倍」


 さらに小さな字で、こうもあった。


「軍、渓流上流域にて動物実験。近く封鎖の可能性あり」


 わたしは“封鎖”という字の黒さを見つめ、胃の底が冷えるのを感じた。


「封鎖など、できるものか。山は道で塞げても、水は止まらぬ」


 白衣の男は目を伏せて言った。


「止めるのは、水ではない。人だ」


 その朝、村の鐘が鳴った。

 庄屋が村人を集め、「軍の命令により、田の取水口を組み直す」と告げた。

 男たちはざわめいた。


「田はどうするんや」「苗はどうする」「腹をすかせて死ぬんか」


 誰かが「神が怒る」と叫び、空気が裂けた。

 源六がわたしを見た。わたしは白衣の男を見た。

 男は無言で頷いた。


 その日の午後、志乃がひどく汗をかいた。

 額に冷たい布を当てると、布がすぐ温まる。

 腹の中で音がした。水の中で桶を返すような、鈍い音。

 志乃は笑いながら、わたしの手を捕まえた。


「清一さん。あそこに犬が居はる」


「居らん」


「居はる。ほら、白い線。ほら、音」


 わたしには何も見えなかった。

 けれど、志乃には見えているようだった。

 わたしが手を強く握ると、彼女はやんわりと指を解き、胸元の紐をほどいた。

 喉の脈が見えた。


「この脈、あの子と同じ拍や。聞こえるやろ」


 わたしは耳を当てた。

 志乃の胸の奥で、わたしの脈とは少しずれた柔らかい拍動が続いていた。

 わたしの心臓が一拍打つ間に、志乃の中のそれは半拍遅れて打つ。

 やがて二つの拍は重なり、また離れた。

 重なる瞬間、家の柱が微かにきしんだ。


 外で、犬が一度だけ吠えた。


 六月、田は水を取り戻した。

 軍の命によって上流の取水口が組み直され、古い用水は閉じられた。

 けれど、田の上には曇った銀の膜が張り、苗の影がゆらゆらと揺れていた。

 子どもが二人、川で遊び、翌日に腹を抱えた。

 山岸の婆さまは三度目の熱で静かに息を引き取った。

 腹は小さくなっていた。

 まるで、見えない子がどこかへ移っただけのようだった。


 夜、わたしは夢を見た。

 川の底、石の間から細い白い線が立ち上がる。

 線はわたしの手首に絡み、脈に合わせて震えた。

 やがて線は太くなり、骨になる。

 四本の骨が揃い、石の上で音を立てた。

 骨は皮を求め、皮は光でできていて、触れるたび粉のように崩れた。

 骨は光を踏み、こちらを振り返らないまま川上へ向かって歩いていく。

 わたしはその後ろをついていった。


 川は角を曲がらない。

 真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに、消失点へ向かって延びていた。

 どこにも曲がり角がない。

 わたしの足音だけが、わたしのものではない拍で響いた。


 目を覚ますと、枕元に白い盃が三つ置かれていた。

 誰が置いたのか、知らない。

 盃の底には、細い線が一本ずつ、針で引いたように刻まれていた。

 一本は長く、一本は短く、一本は途中で切れている。

 志乃がその盃を手に取り、縁を指で撫でた。

 指先が線をなぞると、その線が指に移ったように見えた。

 志乃はその指をわたしの額に押し当て、「曲がりなさい」と言った。


雨が続いた。

 村は湿り、柱は膨らみ、襖は重くなった。

 軍の小屋の白衣は、二度、わたしの家を訪れた。

 志乃の腹に耳を当て、家の隅の水溜まりを覗き、畳の目を数えるように見ていた。

 やがて「上にあがらせてください」と言い、屋根に登った。

 瓦の間の泥を指先でつまみ、匂いを嗅いだ。

 そして静かに言った。


「これは水の祟りではない。水は祟らない。人が祟るのだ」


「人が?」


「水の道を曲げ、石の並びを崩し、流れの速さを変える。

 遅く、温く、浅くする。そこに“殻”が増える。殻の口が開く。

 口から子が出る。子が陽に光り、皮膚に入る。

 あなたの村は、あなたがたの手で神を造った」


 わたしは黙った。

 けれど、その言葉の筋は通っていた。

 わたしたちは便利のために水を曲げ、田を広げ、川底の石をさらい、泥を溜め、流れを遅くした。

 神の居場所を器用にこさえ、そこに米を植えた。

 米のために神が宿る場所を増やしたのだ。


 その夜、志乃がほそい声で言った。


「清一さん。おようさんは、怒ってはらへんのやろか」


「怒ってはらへん。怒ってたら、もっと早く連れていかはる」


「じゃあ、なんで連れていきはる」


「……理由があらへんからや」


 口から出たことばは、自分のものではないようだった。

 理由がない。だから連れて行く。

 存在に理由を与えるために、理由のないものを削ぎ落とす。

 おようさんは、理由の形をしてやって来る。


 村の古い札は、もう意味を失っていた。

 祈りも、呪いも、盃も。

 ただ、水だけが、同じ速さで流れつづけていた。



八月、軍の小屋は渓流のさらに奥へ移った。

 封鎖は布告されたが、山は杉の匂いを濃くして、谷の風は相変わらず冷たかった。

 白衣の男は一度だけわたしの前で帽子を取った。


「ここから先は君たちの道だ」


 と、彼は言った。


「わたしたちは瓶の中の神を見ている。

 君たちは、神そのものを見る」


 志乃は秋を見ずに逝った。

 枕元に盃が三つ、また置かれていた。

 今度は線が一本、盃の外へ伸び、縁で途切れていた。


 わたしはその盃を手に取り、縁の切れ目を舌で湿らせた。

 味はしなかった。

 志乃の顔は静かで、薄い皮膚の向こうには、もう何も残っていないように見えた。

 腹は小さく、音はしなかった。


 葬列が村を出るとき、犬が一度だけ吠えた。

 誰の犬でもない声だった。

 山の、谷の、川底の、あの白い骨が鳴らす声。


 村の子が空を見上げ、目を細めた。


「白い線」


 と、小さく言った。

 その線は、太陽の端から伸びていた。

 村の者たちはそれを見上げたまま、誰もが自分の腹を撫でた。

 風が稲を渡り、稲の青が波のように崩れた。

 その波が、どこまで続いているのか、わたしには見えなかった


 冬が来るまでに、わたしは三度、角を三つ曲がって帰った。

 三度とも、曲がり角はわたしの足を新しい泥に引き込み、

 わたしは家の前で奇妙な位置から現れた。

 どこにも繋がらない路地から。家の影から。雨戸の隙間から。


 角を三つ曲がっているのに、道は真っ直ぐのままだ。

 角は角でなく、曲がるほど、世界は平らになっていく。

 わたしの足が、わたしの足ではない拍で地を打った。

 その音は、どこかで骨の鳴る音に似ていた。


 夜、盃の線は増えた。

 縁を越えて床に伸び、畳の目に織り込まれ、柱を登り、梁へと消えた。

 線は白く、冷たく、指でなぞると指に移った。

 指先の皺が一本、新しくなり、また消えた。

 わたしは笑ったのかもしれない。

 笑い声は自分のものではなく、床下の鼠の鳴き声のように響いた。


 わたしは筆を取った。

 庄屋筋の倉から古い帳面を持ち出し、余白にこう書いた。


「おようさんは神ではない。けれど、神のように振る舞う。

 ゆえに、われらは神として扱うほかない。

 扱うとは、曲がることだ。角を三つ、曲がることだ」


 筆の先が乾き、紙を擦る音がした。

 紙に開いた細い傷から、白い線がもう一本、にじみ出た。

 それは息をするように震え、すぐに消えた。

 あたりには、墨と湿った土の匂いが満ちていた。

 冬の初め、山から一人、軍の白衣が降りてきた。

 以前の男ではなかった。

 若く、痩せて、眼鏡が曇っていた。

 彼は村の入口で足を止め、わたしを見つけて頭を下げた。


「報せがある。山の上で、犬がたくさん見つかった」


 わたしは笑った。


「犬か。誰の犬だ」


「骨だ。骨だけだ。

 流木に絡み、石に引っかかり、みな同じ向きに並んでいた。

 川上へ、川上へ。どれも首の骨が少し伸びていた」


 彼は顔を上げ、口の端から白い息を出した。


「あなた方の、水の神の方を向いていた」


 わたしは、盃の線の冷たさを思い出した。

 志乃の腹のぬるい波の押し返し。

 山岸の婆さまの、薄い皮に浮かぶ青い線。

 子どもの夜の目の冷たさ。

 軍の男の指の皺の一本。

 瓶の中で震える糸。

 渓流の石の影の四本足。

 骨の音。

 角のない道。


 わたしは、笑うことも泣くこともできずに、冬の空を見上げた。

 雲は薄く、白い線が幾筋も走っていた。

 線は皆、同じ消失点へ向かっていた。


 わたしはその消失点に向かって、胸の中で盃を三つ重ねて倒した。

 盃は音もなく転がった。

 転がりながら、縁から細い白いものを引きずり、

 それがわたしの足首に絡み、脈に合わせて震えた。


 わたしは角を三つ曲がった。

 曲がっても、曲がっても、道は真っ直ぐだった。

 真っ直ぐの道が、うしろに回って前になった。

 前とうしろの区別が消えた。


 足音が、骨の音になった。

 耳の後ろで、犬が一度だけ吠えた。


 わたしは知っている。

 誰に教わったわけでもないのに、知っている。

 曲がり角のない川で、曲がるためには、身体の中を曲げなければならない。

 脈を、拍を、理由を。


 わたしは胸の中で盃をもう一つ、逆さに置いた。

 盃の底から、白い線が一本、立ち上がった。

 線はまっすぐ、冬の空へ伸びていった。


 おようさんは、神ではない。

 けれど、神のように振る舞う。

 人は、神に合わせて振る舞う。

 曲がるふりをして、真っ直ぐに食われる。


 坂楽の冬は、そうして静かに始まった。



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