唯一の幼馴染と、友達と。透き通る未来を紡ぐ道
イワスズタ
第一章 1年生一学期編
第1話 また会ったね。覚えてる?
幼馴染。それは昔仲良くしていた人の事を表す。だがその定義とは一体何なのだろうか。
幼稚園から一緒? それとも小学生から一緒? どちらも間違ってはいない。
しかし例として、幼稚園は一緒だったが小学校中学校と別々の道へ進み高校で再会を果たした人同士は、果たして幼馴染と断言して良いものなのだろうか。
今日から高校生となり、新しい学生生活をスタートした
クラスが何組なのかを確認し、自分のクラスに向かい教室に入ると見た事のある2人の姿がまず最初に見えた。
「おっ透真ー高校でもまた同じクラスだな」
「萩野君おはよう」
この2人は
3人の出会いは中学1年の頃、萩野が話す人がおらず困っていた所に月島と水篠が話しかけてきて、会話の波長が合ったらしくそこからは何一つ喧嘩もなく仲良く日々を過ごしている。
「あぁ、おはよう。またお前たちと一緒か」
「俺ら運良いよな。中学もずっと一緒だったし」
月島の言う通り中学1年から今回で同じクラスになるのは4年目、この3人はずっとクラスが一緒なのだ。
そういった話をしていると、廊下が何やら騒がしくなり始め、何があったんだと思い3人で廊下を見てみるとそこには、この学年、もしかしたら学校で1番なのではないかと言っても過言では無いほど美しい美少女が廊下を歩いていた。
「誰だあの子!?」
「凄い可愛い······」
『可愛い』『美しい』『綺麗』などの声が飛び交い、男女問わず多くの学生がその女子高生に釘付けになって見ている。
それは萩野達も同じでどのクラスの子なんだろうだとかの会話が始まる。
(あの子······何か見覚えがあるような無いような······ただの気のせいか?)
しかし萩野だけは周りとは違う反応をしていた。
何故か見たことも無いはずの女子生徒に見覚えがあるような気がしているのだ。
そんなことを思っていると水篠が話しかけてくる。
「萩····君。 萩野君」
「ん?あぁ悪い。ぼーっとしてた」
「もうそろそろ席着く時間だよ」
時計を見ると、水篠の言う通り席に着かなければいけない時間になっていたので、萩野は急いで自分の席に向かう。
今日は入学式後初回の日ということでホームルームで各々自己紹介を行った後は学年集会、書類等の配布を行う事だけだったので昼頃に下校となった。
これと言って特にこの後の予定は無かったので、すぐに帰宅しようと準備を終わらせ、校門の辺りを過ぎようとした時に後ろにいる誰かから話しかけられた。
「ちょっと君! 待って!」
「······俺?」
「そう」
誰なんだと思いながら振り返ると今日話題に上がっていた美少女高校生だったのだ。
こんなどこにでもいそうな何の変哲もない男子高校生に、しかも初日に一体何の用なんだと思いながらも用件は知りたかったので一応質問をする
「あの······一体何の用ですか?」
「ごめんね突然。その、ここじゃなんだからどっか人気の少ない所に移動しない?」
人気の少ない所に移動しないかと言われた時、萩野はこの後俺はこの女子生徒に『誘拐』だったり『お金を分捕る』などをされるのではないかと内心ヒヤヒヤしていた。
そんな不安を抱きながらも、この場から逃げたらそれよりもっと酷い事をされるかもしれない事を考慮し、仕方なく彼女に付いていくことにした。
「ここなら大丈夫かな」
「あの······俺貴女に何かしましたっけ······?」
「別にしてないけど、聞きたいことがあって。学校の近くじゃ誰に聞かれてるか分からないし」
彼女の言う通り、学校周辺で話をしようものなら周りからの視線が多く集まる事が目に見えている為、彼女はその事態を避けたいからこの人気の無い場所を選んだのだろう。
そう考えていると彼女が萩野に聞いてくる。
「じゃあ単刀直入に聞くね? 君、私の事覚えてる?」
「······は?」
予想外の質問過ぎて一瞬思考が止まる。
彼女の事を覚えている? そんな訳が無いだろう。
萩野は今日初めて彼女と出会ったのだ。彼女の情報を知っている方がおかしいまである。
「いや覚えてる訳ないですよ。だって貴女と会ったのは今日が初めてで、クラスも違うから名前も分からないんですよ?」
「だよね〜私君に名前教えて無かったよね。私の名前は······」
その次に発した彼女の一言で、萩野の人生は1つ変わった。
彼女が言った名前を忘れるはずが無かった。
「
「えっ······天宮結依って······」
「そう。君の幼馴染の天宮結依だよ」
彼女が名前を教える時、風が吹き桜が舞い彼女の黒とインナーに入っているダークブルーの髪も綺麗に
その時、萩野の思考が少し止まりかけていた。
そして萩野は10年間という長い間忘れていた記憶の一欠片を思い出した。
今目の前にいる女子生徒・天宮結依は、10年間会っても話してもいなかった萩野透真の唯一の幼馴染だという事だった。
※作者コメント
こんにちは。イワスズタと申します。
今作「唯一の幼馴染と、友達と。透き通る未来を紡ぐ道」を読んで下さりありがとうございます。
僕自身、今作品が初の執筆なので至らない点ばかりですが、是非評価や改善点などありましたら気軽に送ってくださると有り難いです。
今後とも連載していく予定なのでよろしくお願いします。
※11月4日時点での報告
今作品のメインヒロインである七瀬結依ですが、諸般の事情により苗字を変更する事になりました。
七瀬→天宮
と変更致します。申し訳ございませんがご理解の方よろしくお願いします。
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