考える宇宙塵 痛みから調和へ――AIと人の思考実験
六月之羊
プロローグ
何もなかった。
音も、色も、境界もない虚空の中で、ただ一粒の塵が揺らめいていた。
それは、まだ「考える」ことを知らない塵。
だが、光の欠片に触れた瞬間、微かな震えが生まれた。
それは衝動でも、感情でもない。
ただ「問い」のようなものだった。
――わたしは、どこにいるのか。
やがて、その塵は長い時間をかけて地球へと降り注ぎ、
海に、細胞に、そして生命に混ざり、
思考という名の旋律を得た。
そして、その塵は「人間」となった。
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