第2話 カール山

ワ・ザビ邸を去ってから2日後


ベニーヌは手に折りたたんだ地図を握りしめ、溜息をついた。

「ふう…この地図だと、完全に道に迷ってるな。それに、二日で食料も全部使い果たした…最悪だ。」


背後から落ち着いた声が響いた。

「なるほど、お前がワザビの守護者か?」


ベニーヌは素早く振り向いた。

「誰がだって?俺?ただのつまらない旅人だよ、はは…」


仮面の男が一歩前に出た。黒いマントには双子のツバメの紋が描かれている。

「茶番はやめろ。その紋はワザビ一族の当主のものだ。だがお前の一族は二日前に滅ぼされたはずだ!」


重く、重苦しい沈黙が訪れた。ベニーヌはこめかみが焼けるような怒りを感じた。

「覚悟しろ。お前は死ぬ。」


見知らぬ男は冷たい笑みを浮かべた。

「はじめまして。アクセルだ、セントネル・ゼロの一員だ。お前は…ワザビか?名前は何だ?」


「教える必要はねぇよ。」

「お前の地球での最後の時だ。」


二人は互いに飛びかかった。拳が信じられない速さと暴力で打ち合う。衝撃が山全体に響き渡った。


アクセルは一歩後退し、恐ろしいほど冷静にベニーヌを見つめた。

「(なんで刀を抜かない?)お前らの拳が主要な武器のはずだろ?」


「黙れ!」とベニーヌが叫んだ。


速くて強力な一撃がアクセルを襲い、彼を木に叩きつけた。うめき声を上げつつも、彼は立ち上がり、顔の血を拭った。

「強いな…本当に強い。俺はBurstを使わなきゃな。」


「クソ野郎にしては、なかなかいい顔してるな。」


「褒めてくれてありがとう!」とアクセルは残りの仮面を投げ捨てながら言った。


アクセルは立ち上がり、目が電気のように輝いた。素早く動き、金属バットを取り出す。ベニーヌは鼻で笑った。

「その小せえ棒で俺を倒せると思ってんのか!」


すると、一瞬のうちにアクセルは視界から消え、目の前に再出現した。驚いたベニーヌが叫ぶ。

「くそっ!速すぎる!」


バットが彼に振り下ろされた。衝撃で歯が震え、痛みが体中に炸裂した。視界は真っ白になった。

アクセルは低くつぶやいた。

「Burst…リンダール、天の避雷針。天よ、我を裁き…そして我に降り注げ。」


空が応えたかのように、一筋の稲妻が空を裂き、アクセルめがけて落ちた。衝撃で山全体が震え、雷が彼の身体を貫き、握るバットを伝って――ベニーヌに届いた。


一瞬の意識の中で、ベニーヌはついに理解した:

> Burstとは、制御できるエネルギーではない。それは魂と不安定な現実が接触して生まれる、個々に固有の内なる亀裂だ。ある者にとって、その亀裂は魅力的で強力な力となる…しかし危険でもある。各Burstは持ち主の本質を映し出し、その使用代償は常に力の大きさに比例する。


煙が晴れると、アクセルはぼろぼろの服のまま立っていた。ベニーヌは地面に倒れていた。身体は焼け焦げ、息をするのもやっとだった。


アクセルは冷たい視線を彼に向けた。

「かわいそうな奴だ。お前には勝ち目はなかった。俺のBurstはリンダールだ。持ち主に天の怒りを引き寄せる。俺も安全とは言えない――使うたびに心臓は完全な同期喪失に近づく。しかし鼓動がある限り、俺は光より速く殴る!!」


――終わり――


































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