2.0


 

 5月7日、1限が始まる4分前の8時56分。



 おそらく走ってきたのであろう辻村柚が肩を上下させながら隣の席に座った。



 茶色のロングヘアーを無造作に束ね、トートバッグからペンポーチ、テキスト、ノートをリズムよく取り出す。


 机の上に置くと同時に「ふうー」とため息をつき、それを合図に少しピンクがかっていた頬が元の肌色に戻っていった。


 まったく、柚は相変わらず慌ただしいなと自然と口角が上がる。


 「おはよう。遅刻しそうになっちゃったよー。課題やってきた??」


 「もちろんやったよ。意外と量あったよね。」


 「だよね。問2、結構難しくなかった?何て書いた?」


 私のノートを見ようと柚の肩が私の肩にぴたっとくっ付く。



 この子はきっと良い子だ。



 まだ1ヶ月の仲で直感的な部分もあるが現にこうやって親しげに話しかけてくれる。



 正直、私のことを本当に好きで一緒にいてくれてるのか心配だった。



しかし、それは杞憂なのかもしれない。




“あれ”はやっぱり誰かのイタズラなのかもしれないと信じたい自分がいた。

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