第23話 台湾の夜

"大家好!我是神崎灯!"


(皆さんこんにちは!神崎灯です!)


秀の中国語に、会場が大歓声に包まれた。


"我是白雪リノ!謝謝大家!"


(私は白雪リノです!皆さんありがとう!)


莉乃も、勇気を出して中国語で挨拶する。


会場が――さらに盛り上がった。


「神崎灯!」


「白雪リノ!」


「我愛你們!」


(愛してる!)


3000人のファンが、一斉に声援を送る。


秀は――その光景を見て、胸が熱くなった。


「こんなに……応援してくれるんだ……」


---


トークショー開始。


秀、莉乃、黒木、ミア、柏木、そしてリンがステージに座った。


司会者が、マイクを握る。


「それでは、トークショーを始めます!」


会場が、拍手に包まれる。


「まず、神崎さんに質問です。台湾に来て、どうですか?」


「最高です。ファンの皆さんの温かい歓迎、美味しい食べ物、綺麗な景色……全てが素晴らしいです」


秀が、笑顔で答える。


「特に、小籠包が美味しかったです」


会場が、笑いに包まれた。


「白雪さんは?」


「私も!小籠包、魯肉飯、タピオカミルクティー……全部美味しかったです!」


莉乃が、興奮した様子で答える。


「もっと食べたい!」


会場が、温かい笑いに包まれた。


---


次の質問。


「神崎さんと白雪さんは、恋人同士だと聞きましたが……」


秀と莉乃――少し照れくさそうに顔を見合わせる。


「はい、そうです」


秀が、答える。


会場が――歓声に包まれた。


「うおおおおお!」


「羨ましい!」


「幸せになってくれ!」


「お2人の馴れ初めを、教えていただけますか?」


司会者が、興味深そうに聞く。


秀は――少し考えてから、答えた。


「実は、高校の同級生だったんです」


「え!?」


会場が、どよめく。


「でも、当時は話したこともなくて……VTuberとして再会しました」


莉乃が、続ける。


「私、高校の時から秀くんのことが好きだったんです。でも、話しかける勇気がなくて……」


「でも、VTuberになって、勇気を出して声をかけてくれました。それが、始まりでした」


秀が、優しく莉乃を見る。


莉乃も――嬉しそうに笑った。


会場が――温かい拍手に包まれた。


「素敵な話ですね……」


司会者も、感動している。


---


トークショーは、1時間続いた。


メンバーそれぞれの話、ゲームの話、今後の展望。


様々な話題で盛り上がった。


そして――


「では、次はゲーム対決です!」


司会者の声に、会場が盛り上がる。


---


ゲーム対決。


ステージに、巨大なスクリーンが設置された。


「ルールは簡単。神崎選手と黒木選手が、FPSで対決します」


司会者が、説明する。


「勝った方には、特別なプレゼントがあります」


「おお、プレゼント!」


黒木が、興奮する。


「神崎、負けねえぞ!」


「こちらこそ」


秀が、笑う。


2人は、コントローラーを握った。


「では、スタート!」


---


試合開始。


秀と黒木、激しく戦い始める。


スクリーンには、2人の視点が映し出されている。


「おお、黒木選手、いい動き!」


「でも、神崎選手も負けていない!」


実況が、盛り上がる。


会場も、固唾を呑んで見守っている。


5分後――


秀が、黒木を倒した。


『WINNER: 神崎灯』


「くそ……また負けた……」


黒木が、悔しそうに言う。


「黒木さん、十分強かったですよ」


秀が、励ます。


会場が、拍手に包まれた。


---


次は――


「神崎選手と白雪選手の、協力プレイです!」


司会者が、発表する。


秀と莉乃が、並んでコントローラーを握る。


「莉乃さん、準備いい?」


「うん!」


2人は――協力プレイのゲームを始めた。


---


30分後。


秀と莉乃の完璧な連携で、ボスを倒した。


『CLEAR!』


会場が――大歓声に包まれた。


「すごい!完璧な連携!」


「さすが恋人同士!」


「息がぴったり!」


秀と莉乃は――笑顔で、ハイタッチした。


---


午後3時。


ファンとの交流会が始まった。


ファンが、一人ずつステージに上がってくる。


「神崎さん、サインください!」


「もちろんです」


秀が、笑顔でサインを書く。


「白雪さん、大好きです!」


「ありがとう!私も、みんなのこと大好き!」


莉乃が、嬉しそうに答える。


一人一人と、握手をして、写真を撮って。


時間をかけて、丁寧に交流していく。


---


ある少女が、ステージに上がってきた。


小学生くらいの女の子だ。


「あの……神崎さん……」


少女が、緊張した様子で言う。


「はい、何でしょう?」


秀が、優しく聞く。


「私……病気で、あまり外に出られなくて……」


少女の目が、潤んでいる。


「でも、神崎さんの配信を見て……元気をもらいました……」


「ありがとう」


秀が、優しく答える。


「これからも、頑張ってくださいね」


少女が、涙を流しながら言う。


秀は――少女の頭を優しく撫でた。


「君も、頑張ってね。応援してるよ」


少女が――泣きながら、頷いた。


会場全体が――温かい拍手に包まれた。


---


交流会が終わり。


イベントの最後。


秀が、マイクを握った。


「皆さん、今日は本当にありがとうございました」


会場が、静かになる。


「俺、三年前にゲームを引退しました。燃え尽きて、ゲームが楽しくなくなって……」


秀の声が、少し震える。


「でも、VTuberとして再スタートを切って、莉乃さんと出会って、テインメイトの仲間たちと出会って……」


秀の目が、潤んでいる。


「もう一度、ゲームが楽しいって思えるようになりました」


会場が、静かに聞き入っている。


「そして、今日……こうして、台湾の皆さんの前に立てている」


秀が、涙を拭う。


「これは、全て皆さんのおかげです。本当に、ありがとうございます」


秀が、深々と頭を下げる。


会場が――大歓声と拍手に包まれた。


「神崎灯!」


「我們愛你!」


(私たち、あなたを愛してる!)


「謝謝!」


(ありがとう!)


莉乃も、涙を流しながら――ファンに手を振った。


---


イベント終了。


バックステージで、メンバーたちが抱き合っていた。


「やった……やったな……」


黒木が、涙を流している。


「成功した……」


ミアも、泣いている。


「皆さん、お疲れ様でした」


秀が、笑顔で言った。


「最高のイベントでしたね」


「ああ……最高だった……」


柏木も、満足そうに笑っている。


桜井代表が――拍手をした。


「皆さん、本当にお疲れ様でした。大成功です」


「ありがとうございます」


全員が、頭を下げた。


---


その夜。


秀たちは、リンの案内で台湾の夜を満喫していた。


「今日は、お疲れ様でした。夜の台湾を、案内させてください」


リンが、笑顔で言う。


一行は、タクシーで夜市へ向かった。


---


饒河街夜市。


色とりどりの屋台が立ち並び、人々で賑わっている。


「わあ……綺麗……」


莉乃が、キラキラした目で見ている。


「夜市は、夜の方が雰囲気がありますね」


リンが、案内する。


「何食べますか?」


「全部!」


ミアが、即答する。


一同、笑った。


---


胡椒餅、蚵仔煎(牡蠣オムレツ)、烤魷魚(イカ焼き)……


様々な屋台料理を堪能した。


「美味しい……」


秀が、満足そうに食べている。


「台湾、最高だな……」


黒木も、幸せそうだ。


「もう、お腹いっぱい……」


莉乃が、お腹を撫でる。


「でも、デザートは別腹だよね!」


ミアが、笑う。


---


最後に、マンゴーかき氷を食べた。


巨大なかき氷に、新鮮なマンゴーがたっぷり。


「これ、めちゃくちゃ美味しい……」


秀が、感動している。


「台湾のマンゴー、最高ですよね」


リンが、嬉しそうに言う。


「リンさん、今日は本当にありがとうございました」


莉乃が、感謝を伝える。


「いえ、こちらこそ。素晴らしいイベントを見せていただきました」


リンが、笑顔で答えた。


---


夜11時。


ホテルに戻った秀たちは、ラウンジで打ち上げをしていた。


「今日は、本当にお疲れ様!」


黒木が、ノンアルコールビールを掲げる。


「乾杯!」


全員が、グラスを合わせた。


「今日のイベント、最高だったな」


「ああ。3000人のファンの前で、あんなに盛り上がるなんて……」


「夢みたいだった……」


みんな、感慨深そうに語り合う。


秀は――その様子を見ながら、心から思った。


「ここまで来れたんだな……」


---


打ち上げが終わり。


秀と莉乃は、ホテルの屋上にいた。


台湾の夜景が、一望できる。


「秀くん」


「はい?」


「今日……すごく幸せだった」


莉乃が、しみじみと言う。


「3000人のファンの前で、秀くんと一緒にステージに立てて……」


莉乃の目が、潤んでいる。


「夢みたいだった……」


秀は――莉乃の手を握った。


「莉乃さん、これは夢じゃないです。現実です」


「うん……」


「これからも、一緒に色んなところへ行きましょう」


「うん……ずっと一緒だよ……」


2人は――台湾の夜景を見つめた。


---


秀は、静かに呟いた。


「俺、今……本当に幸せだ」


「私も」


莉乃が、秀の肩に頭を乗せる。


「秀くんと一緒にいられて、幸せ」


秀は――莉乃を優しく抱きしめた。


「これからも、ずっと一緒です」


「うん……」


2人は――満天の星の下で、寄り添っていた。


---


翌日。


帰国の日。


空港には、またファンが見送りに来てくれていた。


「神崎灯!」


「白雪リノ!」


「また来てね!」


ファンたちが、声援を送る。


秀は――笑顔で手を振った。


"謝謝大家!我們一定會再來!"


(皆さんありがとう!必ずまた来ます!)


会場が――歓声に包まれた。


---


飛行機の中。


秀は、窓の外を見つめていた。


台湾の街が、小さくなっていく。


「また来たいな……」


莉乃が、隣で呟く。


「ああ。絶対、また来よう」


秀が、答える。


「約束だよ」


「ああ、約束」


2人は――手を繋いで、笑い合った。


---


数時間後。


飛行機は、日本に着陸した。


「帰ってきた……」


秀が、呟く。


「うん。でも……また新しい旅が、始まるんだよね」


莉乃が、笑顔で言う。


「ああ。これからも、色んなところへ行こう」


「うん!」


2人は――新しい未来へ向かって、歩き出した。


---


翌日の配信。


「おはようございます、神崎灯です」


「白雪リノです!」


同接:342,891人。


台湾イベント後、視聴者数はさらに増えていた。


「台湾から、帰ってきました!」


「イベント、大成功でした!」


チャット欄が、祝福のコメントで溢れる。


『おめでとう!』

『配信で見てた!最高だった!』

『また海外行ってほしい!』


「皆さん、応援ありがとうございました」


秀が、深々と頭を下げる。


「これからも、色んなことに挑戦していきます」


「一緒に、楽しみましょう!」


莉乃も、笑顔で言った。


---


配信終了後。


秀は、テインメイトのラウンジにいた。


「神崎、台湾お疲れ!」


黒木が、声をかける。


「お疲れ様です」


「次は、どこ行くんだ?」


「さあ……まだ決まってないですけど」


秀が、笑う。


その時――


桜井代表が入ってきた。


「神崎さん、少しよろしいですか」


「はい」


秀は、桜井についていった。


---


会議室。


桜井が、資料を取り出した。


「実は……新しいオファーが来ています」


「どこからですか?」


「韓国です。ソウルで、大規模なeスポーツイベントが開催されるのですが……神崎さんに、ゲストとして出演してほしいとのことです」


秀は――少し驚いた。


「韓国……ですか」


「はい。興味はありますか?」


秀は――少し考えた。


そして――笑顔で答えた。


「やります。新しい挑戦、したいです」


桜井が、嬉しそうに笑った。


「わかりました。では、準備を進めましょう」


---


その夜。


秀は、自室で窓の外を見上げていた。


満天の星。


「台湾の次は、韓国か……」


秀は、ワクワクしていた。


新しい国。


新しい出会い。


新しい挑戦。


「楽しみだな……」


秀は、そう思った。


矢代秀の冒険は――これからも、続いていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る