第9話【ルーキールーキー】
放課後の廊下。
真衣は数人の上級生と同級生に囲まれていた。
「一年なのにどうやって出たの?」
「顧問に気に入られたんじゃないの?」
「ずるいよね、私たちだって入りたくても入れないのに。」
笑い混じりの言葉なのに、
どれも棘のように胸に刺さった。
「ち、違っ……私は——」
喉が震えて声にならない。
冷たい視線が集まる中、空気が重く沈む。
その時——
「——おい。」
低く響いた声が、廊下の奥から聞こえた。
振り返ると、そこには
佑汰、透、田島、涼真の4人が立っていた。
「お前ら、何やってんだ。」
佑汰の声は落ち着いているのに、
不思議と誰も逆らえない迫力があった。
「な、なんでもないって。ただ話してただけ。」
佑汰は真衣の前に立ち、
一歩、相手に詰め寄る。
「園田をステージに出したのは、俺たちだ。
顧問の許可もある。
文句があるなら、俺たちに言え。」
言い返そうとした上級生も、
その一言で口を閉じた。
透が静かに言う。
「こいつは、俺たちの仲間だ。
だから、軽い気持ちで言葉をぶつけるなら——俺らが許さない。」
その言葉に誰も動けなかった。
沈黙のあと、
気まずそうに目を逸らして人が散っていく。
⸻
廊下に残ったのは、5人だけ。
「……ごめんなさい。迷惑かけて。」
真衣が小さく言うと、田島が笑った。
「迷惑なんて思ってないよ。
困ってる仲間を助けるのは、俺たちの仕事だから。」
「そうそう。しかもウチのボーカルだし。」
涼真がにやっと笑う。
胸の奥がじんわり熱くなる。
(……仲間。私、仲間なんだ。)
⸻
その時、後ろから足音。
「お前ら、また廊下で人集めてるかと思ったら……」
滝先生が呆れたように言いながら現れる。
その隣には澤村先生。
「まぁ、今回はしょうがねぇか。」
澤村先生が真衣を見て微笑む。
「怖かったろ。でも、よく逃げなかったな。」
真衣は小さく頷いた。
「……みんなが来てくれたから。」
滝先生が軽く息を吐く。
「なら、次はお前の番だな。」
「え?」
澤村先生が懐から一枚の封筒を取り出した。
「新しい依頼が来てる。
生徒会からの相談だ。」
「……依頼?」
真衣がぽかんとする。
滝先生が口角を上げる。
「そう。これが——うちの本当の部活なんだよ。」
「…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
部室中に、真衣の叫びが響いた。
透たちはニヤニヤしながら見ている。
「説明は、また後でだな。」
「え、え!? どういう意味ですか!?」
「さぁ、明日から忙しくなるぞ、園田。」
滝先生が笑いながら出ていく。
(い、いまの何!? 本当の部活って……どういうこと!?)
放課後のチャイムが鳴る。
真衣の頭の中は、混乱と驚きでいっぱいだった。
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