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「ーーと、言う…話だ……。ホ村の諸君、『召喚獣』の話は、今回は、ここまで。と、言う事で」

 ライファス大陸の、辺境の地にある、ホ村に来ていた行商人は、その、行商人の話を聴く為に、集まった、数人の、ホ村の村人達の前で、話終えた。

 その、行商人の話を聴く為に集まった、村人達の中で、一人の青年が、言った。

「すごい……。『召喚獣』……世界には、そういう存在も、いるのか……。召喚獣か……。『召喚獣』の話を聴かせてくれて、ありがとう。行商人のおっちゃん」

「あいよ」

 そして、青年は、つぶやいた……。


「召喚獣か……」


 その光景を見た、一緒に集まっていた、ホ村の女の娘は言った。

「ランプ……?」



 冒険にでる事を決めた。

 旅立ちのその日は…いかにも冒険日和と言わんばかりに、天高くまで出来た、入道雲があり、その真上から、太陽が、サンサンと照らしている、いい天気だった。

 そんな、冒険への旅立ちを、決意した、青年の住んでいる、辺境の地にある、この村の名前は、ホ村。

 大地からは、草木が、伸びており、寄りそって建てられた、木造の家々よりも高く、その頭上の、日光に向かって、元気よく、伸びていた。

 時折吹く、湿った暖かい風が、川の周りに生い茂った、背の低い草花を、揺らしていた。

 この、ホ村の周辺は、何キロもの距離があり、何百メートルもの高さの、いくつもの、巨大な渓谷が、あったりと……ちょっとした荒野にも、なっている。

 一番近い、隣の村まで行くのにも、歩いて何日も、かかるくらいに……。

 世界には、魔法があって、魔法使いもいる。

 だから、空中に浮かんだりの、高度な魔法が使える魔法使いが、その魔法を使って、空を飛んでいく事も、出来なくはない。

 だけど…村や街からの、外の世界に、一歩踏み出せば……外の世界には、モンスターなどの、危険な獣もいる……。

 それは、陸だけではなく…飛行タイプのモンスターなども、いるのだ……。

 魔法を使うには、魔力も、必要とする。

 その魔力とは、体力などと同じ様に、人それぞれ、個人差があって、限界がある。

 つまり、魔法を使い続けて、魔力を消費し続けていたら、いざ、モンスターなどとの、戦闘になった時に、たたかう事が出来ずに…魔法を使い続けた、と言う…その事が原因で…命取りになってしまうかもしれない……。

 だから、村や街からの、外の世界に出たら……必要時以外は、極力魔法は使わずに…体力や魔力を温存しながら…地道に歩いて行くか、馬などの、どうぶつなどに乗ったりして移動するのが……無難かもしれない……。

 機械による、車などの乗りものがあったら……話は別かもしれないけれど……辺境の地まではまだ……機械の技術が行き届いてない、と言うのが……現状だった……。

 そのホ村の中で、ホ村の女の娘が、その青年を待っていた……。

「……。人をいつもの場所に呼びだしといて……遅いなー……ランプ……」

 そのホ村の女の娘の格好は、薄ピンクの、半袖の上着に、薄いピンク色の、膝上くらいの長さのフレアスカートをはいていて、白いシューズを履いていた。

 それから、ややあって…その女の娘が、向こうからやって来る、自分を呼び出した張本人を見つけると、その人に向かって、声をかけた。

「やっと来たわね、ランプ。人を呼びだしておいて…自分はそのままどこかに行くなんて……どうなのよ?」

 ホ村の女の娘が、女の娘と、同じ歳くらいの青年に対して、少し、ほほをふくらませながら言った。

「あー、わるい、わるい、モカ。ちょっと準備に時間が、かかってしまってな」

 村の青年ーーランプは言った。

「準備……? ……」

 ホ村の女の娘ーーモカは、そう言うと、まじまじと…ランプを観た……。

 ランプは、半袖の、白のVネックのTシャツに、下はインディゴのジーンズをはいていて、スニーカーを履いている。

 腰には、インディゴのGジャンを結んで、巻き付けていた……。

(ランプ……。見た感じ……いつものランプの、軽装スタイルだけど……)

 モカは、ランプを一通り観てから言った。

「だけど、確かにランプ……何か、おおきな、にもつを…持っているわね……」

「ああ……」

 ランプは言いながら…とりあえず、持っていた、にもつを、地面に置いた。

 そして……。

「モカ」

「何よ、ランプ……あらたまって……。「話がある」…って……その事なの……?」

「ああ……。オレは、魔法使いに、なりたいんだ……」

 ランプは言った。

「また言ってる」

 モカは、半ば呆れながら言った。

 そんなモカの態度には、お構いなしに、ランプは話を続けた。

「何度でも言ってやる。この科学が進んだ機械の時代だからこそ、なりたいんだ。魔法使いに……。かっこいいからな」

 モカは、ランプから、何度も、その話を聴いていて…うんざりだった……。

「……。でも、ランプには……年齢が、二桁になる前から、そう言って、魔法の修行をしているけれど……魔法が…全然使えるようにならない……。ランプ……魔法の修行と一緒に稽古してきた、剣の腕ばかり、上達しちゃって……リードおじさんみたいな、剣使いになっちゃって……。ランプは、夢の話をするときには……いつも、そんなふうに…目をキラキラさせながら、話すけど……。才能が……ないんじゃないの……?」

「う……」

 モカが話す、リードおじさんとは、ランプとモカが、幼い頃から、ランプとモカに、剣の稽古をつけてくれている、村人の、元冒険者の剣士である。


 ずーん……。


 モカの、その言葉に…ランプは重く、うつむいた……。

「モカ……あんたの魔法だって……ヴェルおばさんみたい、だよ……」

 ランプの、その言葉に、モカは…しゃがみこんで…声はださずに笑った。

 ランプの言う、ヴェルおばさんとは…ランプとモカが、幼い頃から、ランプとモカに、魔法の使い方を教えてくれている、村人の、元冒険者の魔法使いである。

 それから…ややあって……。

 モカは、たちあがって、話を続けた……。

「はー……。ランプの修行に、付き合わされてきた、魔法に興味がない…わたしのほうが……魔法使いっぽくなっちゃって……」

 モカは、言いながら……右手の手のひらの上に……一口大の、小さな氷の塊を、つくってみせた。

 いくらモカが…氷の塊をつくってみせたのが…湿った空気からだとは言っても……冬でも気温が、十八度以上のある、気温が高い荒野の地帯で、氷の塊をつくる、というのは……魔法使いとしての、かなりの腕が…必要なのでは、ないだろうか……。

 ランプは、モカと一緒に、何年も同じ魔法の修行をしているのに……モカだけ…魔法使いとしてのレベルが上がっている事に……心底、悔しがった……。

「うう~…くやしい~~~……」

 ランプは、悔しがった。

 そんなランプに、モカは言った。

「この氷、たべる?」

「いや……」

「そう……」

 ランプは、気を取り直して、モカに言った。

「だからモカ、オレは考えたのよ」

「何を?」

 モカが、今し方、自分でつくったばかりの氷の塊を、自分の口に含みながら…ランプに、たずねた。

「う~、ちめたい」

 ランプは、右手で拳をつくりながら、モカに言った。

「オレは、これからは……召喚士になる」

 モカは…ランプからの言葉に、驚いた……。

「召喚士!? 魔法使いの…上級クラスの!? ランプが……!?」

「ああ……。オレは召喚士になって……一気に魔法使いとしての格を上げてやる……」

 そんなランプに、モカは言った。

「ランプ……こんなにも、何年も魔法の修行をしていても……いっこうに魔法を使う事ができないのに……。いきなり高レベルの魔法を使う召喚士になるって……どういう事よ……ランプ……?」

 きょとん……としたモカの問いに、ランプが話を続けた。

「他の魔法使いのジョブなら……自分でどうにか魔法をえとくしていかないと……いけないだろ?」

「うん」

「だけど、モカの言うように……オレには…魔法のセンスがないと思う……」

「ランプ……そこは、思う、なのね……。魔法使いになる事を…諦めたくないんだね……。わたしも、何も…ランプに魔法使いになるのを諦めさせようと思って言っているわけでは、ないけど……」

 モカが言った。

 そんなモカに、ランプは話を続けた。

「でもさ、召喚士だったら……この間村に来た、行商人のおっちゃんが『召喚獣』…の話を話してくれたように……召喚獣に認められて、召喚獣と契約する事ができたら……召喚獣を召喚できて、召喚獣とともに、たたかう事ができる……。そしたら……召喚士になる事が、できるんだ……。オレには…幼い頃からモカと一緒に魔法の修行をしてきて……召喚獣を召喚できるだけの魔力は、あるから……」

「召喚士って、それゆえに、上級クラスの魔法使いだから……一気に魔法使いとしての格が上がるってわけね」

「ああ」

 なるほどね、と、モカ。

「それで、わたしにも手伝えって? だけど……わたしにだって…アイスクリーム屋さんになるって夢があるからなー……」

「ああ…わかってる……。召喚獣が世界のどこかにいる、という事以外…召喚獣がどこに存在しているのか…見当もついていないから……世界中を旅して、さがさないといけないから……これ以上モカに、オレの夢に付き合ってもらうわけには……いかない……」

「え」

「今までモカにオレの夢に付き合ってもらっていて言うのもなんだけど……自分の夢は、自分の力で形にしたいから……オレひてりで、いってくるよ……」

「あ……」

「これまで修行をつけてくれた、ヴェルおばさんやリードおじさんにも、これまでのお礼を言って…冒険の旅にでる事の報告も、してきたし……旅支度に時間がかかってしまって…モカを待たせてしまったけど……今からオレは旅人だ」

「あ……そうなんだ……」

 そんな、ランプの言葉に…少し寂しそうに、モカが言った……。

(それで…そんなに、おおきなにもつを……持ってきてたのかー……)

「……」

(モカ……どうしてこんなに寂しそうなんだ……?)

 急に元気がなくなったモカをみながら…ランプは思った……。

「あ……そうか……。モカ……」

「何よ? ランプ……あらたまって……」


 モカ、オレと一緒に冒険の旅へ行こう。


 そう、ランプが言ってきてくれる事を期待しながら…モカは言った。

「オレが村に帰ってくるまで……待っていてくれるか……?」

「あ……」

「ん……?」

「……。いつまでも、というわけには……いかないわね……。わたしの気持ちが続く限りは……。わたしは…どんなときにも……わたしの傍にいてくれて……一緒に時間を共有できる人がいいから……」

 モカはランプを上目遣いにみながら言った。

「……そうか……」

「うん……」

「それじゃあモカ、行ってくる」

「あ、うん……。気をつけてね、ランプ……」

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