第十三章
第十三章 親子の誓い
「兄ちゃん!」
気を失っていて 鎖で吊られていた アウルは 意識が戻ると 嬉しそうに 満面の笑みでかけたきた
「来てくれたんだね!」
ノットの手をとると ギュッと握る
そして 周りを見渡した
「あれ?姉ちゃんは?」
「クゥルかい?」
「そう」
あそこさ……
ノットが 指さす先に 赤き眼の 団員数名と クゥルが 穴を掘っていた
そして クゥルは その穴に カークの服と革手袋 外套を埋めてやる
そしてハーミットの 依代として 銀の髪飾りを一緒に埋めた
その髪飾りは 魔法具の店でクゥルが貰ったものだったが その依代が1番 魂の宿りやすいものであった
が……ざ……
古いスコップで 土をかけ終えると 木の杭をたてる
「2人のお墓よ」
駆け戻ってきたクゥルが 薔薇の花の様に笑う
「それくらいしか出来ないけどね」
パチンとウインク……
「あとは……」
クゥルは いきなり回転をかけると平手を見舞った
……バチーーン!……
景気の良い炸裂音がする
その平手は ノットの 頬に 激烈な 痛みと 真紅の 手形を残した
あちゃー!
アウルが 顔を覆う
「クゥル……」
ノットは 怒るでもなく 黙って受け入れた
そして 頭を下げる
「すまなかった」
「許すとおもうの?」
クゥルの声が泣いている
強い震えが 声をゆらしていた
「バカノット!死んだら……どうするつもりだったのよ」
ぶるぶる……
クゥルの 細い肩が震えている
ノットはぐ……と その肩を包み込んだ
そして 抱きしめる!
ギュゥ……クゥルの体がノットの身体に溶け込むように包まれる
そしてノットは ただ静かに クゥルの 目を覗き
その上まぶたに キスをした
「そんなんじゃ許さない!」
「ああ……」
ノットは クゥルの 頬を伝う涙を吸った
「それでもダメ……」
クゥルの声は 甘えにも似ていた
「キスしなさい……!みんなの前で!」
最終宣告は 子猫の甘え声だった
ノットは ふ……と 唇を 緩めると グイッと クゥルの 唇を 割る
そして角度をかえると 強く吸った
「ん……」
クゥルが 切なく呻く
そして手でノットの 胸元を さすった
「ん……」
「あ……」
甘酸っぱい吐息を 繰り返す
「おーい……」
アウルは 手で目を覆う
だが 指の隙間から チラと 見ていた
「おい……こら!クゥル!」
クーリーの呆れ声
それからグイッと 2人を引き離した
「お前らなあ!この進軍の時に 何イチャついてやがる!士気が下がるだろうが!」
それからクーリーは 自分の金髪頭を ワシワシと混ぜた
「ノット……お前には後で とっくりと話しを聞かせて貰う!愛娘を 泣かせるたァ男の風上にも置けねぇ!覚悟しとけ」
「パパ!」
クゥルがクーリーの 外套を 引く
「何だクゥル?」
「私ね!ノットと 夫婦になったの」
躊躇いはしたが クゥルは キリッと目を上げる
「夫婦だと?恥ずかしいような夫婦なんじゃねぇだろな?」
クーリーは 少し大きくなったかと 愛娘を見下ろした
「恥ずかしい様なことは無いわ神殿で式も挙げたし覚悟も出来てる!立派な 夫婦よ!」
クゥルの声にクーリーは 目を 細めた
「そうか……そうか……ならいい!だがな俺の目の前でクゥルを泣かせたらわかってんな?ノット」
「ああ!クーリー!」
「誓えるか?若造?」
「誓えるさクーリー」
2人の静かな視線の火花は ジリリと 音を立てた
「それからな……ノット!クーリーじゃねぇ!」
「?」
ノットが 顔を上げた
「親父だ!」
言い切ってクーリーは 豪快に 笑った
「お前だけは特別だ!ぶん殴らないで 呼ばせてやるよ!良くぞクゥルを守ってくれたな」
ニッカリと 歯を見せる
「親父……」
ノットは 呼んで涙を拭った
「男が泣くな!」
クーリーの岩のような手がノットの 胸板を グーで押す
親子の誓いだ!俺をおいて逝くな!
わかったな!
さとすようにいわれて ノットが 頷く
「親父……親父もだ!老けてから逝くのはいいが戦場で逝くな!クゥルを 泣かせたら親父だろうがなんだろうが!タダじゃおかない!」
毅然と 言い放ってノットは ニヤリ!
男の笑いを顔にはった
「お互い様だな!」
2人して ははは……と 笑って 2人はクゥルに誓った
「こいつを俺の息子と認める!」
「最高の親父だよ!」
「パパ!」
クゥルは クーリーの 首根っこに ガバァっと 飛びついた!
「愛してる!」
「ああ!俺の子猫!わかってるさ!」
激甘親父!ここに爆誕!
クーリーは 目を細めながら
クゥルの 背を撫でたのである
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