共通点

 前川は金が欲しかった。今はこの学校で校長をしているが、今の給料では物足りておらずまだまだ金が欲しかった。そんな時に花上市の教員らが匿名で入っている知る人ぞ知るグループLINEで『太郎』という人物が

「学校関係者の方限定 一回の報酬が高いです。先着2人」と送ってきた。

前川は"これはチャンスだ"と思いすぐにその『太郎』に連絡をして高収入の仕事をさせてもらえることになった。


 高収入の仕事が決定してから、約3日ほど経った時に『太郎』から連絡が来た。

「こちらはあなたのことを理解したいので、名前、電話番号、住所が載った身分証明書を写真にとって送ってください。また、現在所属している学校、その学校での階級を教えてください。」

前川は一瞬迷ったが、このチャンスはもうないと思い情報を送った。するとすぐに、『太郎』から連絡が返ってきた。

「すみません、2名の枠だったんですがまだあなたしか応募していないため、まだお仕事依頼できません。」ときたので、

「大丈夫ですよ、待ちます。」


 前川が応募してから約1ヶ月経った時にグループに新しく『奈美』という人物が入ってきた。『奈美』が入ってきてから、『太郎』が

「『前川』、『奈美』さんあなたたちには宝石店に強盗していただきます。」

前川は驚いたと同時にこの仕事は[闇バイト]というものだということがわかった。

「そんなことできません。」前川が抵抗すると、

「今更何言っているんですか?あなたがたの個人情報はこちらが全て握っています。バラされたくなかったら、今更ぐずぐず言わないでください。」

前川は今気づいた。もう引くことができない状況まで来てしまっているということを。



 村野は日に日に秋宮への憎悪が増していた。しかし、その感情は物にしか当たることができなかった。村野はまだ勉強ができる方で成績は悪くは無かったが、良い方でも無かった。そんな村野は今悩んでることがあった。それは最近の授業について行けなくなってきており、成績がだんだん悪化してきているということだった。


 村野は不良グループに所属しているが成績は良いため、学校の先生たちはどうにか村野を不良グループから引き抜こうとしてきた。しかし、村野は今の生活に満足いっておりグループに入っているからといって支障が出てはいなかった。そんな時に村野が出会ったのは、●●だった。村野は最初断っていたが、相手の熱意に負けて会って話をすることにした。


「君はあの不良グループに入っているんだろう?そんなグループからは抜けなさい。君には勉強の才能がある。これから勉強をすればどんどん賢くなるだろう。」●●はもちろん

「そんなことするわけないだろう。勉強の才能があるって言ったけど、どうせ今考えた嘘だろ?」

「そんなことはない。君は今成績が落ちてきているんだろう?」

「そうだけどなんだよ。お前には関係ないだろ。」

「君は成績を上げたいかい?」

「まぁな。上げれたら良いよな。」

「ある仕事をしてくれたら、成績を上げてあげられるんだけどなぁ。するかい?」

「そんな仕事あるんですか?します。」

「このことは外部に話さないでね。じゃあ、この紙に書かれていることをやってね。」


 村野はとても嬉しかった。仕事をするだけで成績が上がる。簡単なことだ。村野はもらった紙を開いて中に書いてあった内容を見ると、腰を抜かした。

「無理だ。そんなこと。」しかし、日頃の恨みもあるため、実行に移すことにした。



 吉川は金欲しかった。通帳を見てみると残りが少ない。最近●●さんに金を送ったばかりだったので、だいぶ少なくなっている。毎月の支払いが、家のローンと車のローン、そして●●へ送る金のせいで大体200万円くらいだった。なかなかの高額だったが吉川が●●に頼んで裏で色々してもらっているため、年収は高額だった。


 しかし、やはり毎月●●に金を送っていると、生活が少しずつ苦しくなってきた。そのことを●●に伝えると、

「奥さんに保険金をかけて殺害したら?」と返ってきた。

吉川は自分の妻を殺すなんて考えられないことだった。


 約2ヶ月経った時に、吉川は妻の不倫を知る。この時、●●の言葉が脳内に再生された。そのことがきっかけで吉川は妻を『殺す』という方向に舵を切った。しかし、妻は自殺をした。吉川は保険金を受け取るために殺害されたように偽装することにした。そして、もらった保険金の中の3000万円を●●に送ったことで2年分を許してもらえることになった。



 坂見はどうしても大学へ行きたかった。しかし、坂見の学力では圧倒的に到達できないところだった。そんな時だった。●●と会ったのは。簡単な仕事をしてくれれば大学へ推薦を書いてあげるという話だった。最初は疑っていたが、先に推薦状を見せてもらえたことにより引き受けることにした。


 簡単な仕事、なんだろうと思ったが流石に高校生にできるくらい仕事だろうと思った。当日、紙を貰った。その紙に書いてあったのは

「名藤を殺せ」だった。絶望でしか無かったが、やるしか無かった。



 仲田はこの共通点に気づいていた。そしてその共通する黒幕の正体も。仲田はその人物に会いに行くことにした。

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