第4話 混乱
仲田は非常に混乱していた。吉川尚輝が犯人だと思い、アリバイ崩しに全力を注いでいたが、伊藤が犯人だという説も出てきた。今まで、伊藤は被害者の死亡推定時刻より前にマンションに入っていく姿が防犯カメラに写っており、その次に写っていたのは朝なので殺害は不可能だと考えられていたが、部屋の裏側に階段があってそこのチェーンが外されていたことがあるということが分かったので伊藤が防犯カメラに映らないように階段を使ってマンションの外に出たと考えることもできる。その場合、動機がない。アリバイ崩しができても凶器や動機がないと断定が難しい。
吉川は動機、凶器はあるがアリバイが成立してしまっている。伊藤はアリバイは崩れたが、動機、凶器がない。
仲田は学校の机の上で頭を抱えて悩んでいた。すると、捜査員の1人から電話がかかってきた。
「仲田さん、伊藤を追っている〇〇ですけど、伊藤が女とホテルに入っていきました。また、ホテルに行くまでは街中を歩いており、愛人のようです。」仲田は喜んだ。動機があったからだ。仲田の予想はこうだ。
伊藤は吉川美南と不倫をしており、関係までもった。しかし、他に好きな人ができてしまったため、どうすればいいか悩んでいた。そこに美南が妊娠してしまった、と打ち明けた。それで、結婚しようと言ってきたのだろう。だが、伊藤は新しくできた彼女の方が好きだった。そこで、仕方なしに殺害することにした。
これで、動機は完璧だ。しかし、問題は凶器。凶器が発見された場所は、吉川の家なためもしも伊藤が犯人なら吉川の家に侵入して凶器を隠したと考えられる。だが、吉川の家はセキュリティが強く家の周りには監視カメラがつけられており、最初に確認したが誰も侵入したりはしていなかった。
そこで仲田は考えた。吉川と伊藤がグルなのではないかと、思った。しかし、吉川から見れば伊藤は妻と不倫していた当事者なため、協力するという案はすぐに散っていった。
仲田は吉川に探りを入れてみるため、電話をしてみた。
「こんにちは、ここのところどうですか?奥さんが亡くなって5日ほど経ちますけど心の整理はつきましたか?」
「まぁ、少しは。ところで、犯人はまだ捕まらないんですか?」
「今全力を尽くしています。もうしばらく待ってください。必ず犯人を捕まえてみせます。」
「ありがとうございます。仲田さん、私は校長をやめようと思います。昨日、妻にかけていた保険金が貰えて、そのお金と元からあった貯金で今後はひっそりと過ごしていきます。」
「そうなんですね。また進展があったらお伝えします。では、失礼します。」
仲田は吉川と電話して、妻が亡くなったにも関わらず、保険金が貰えて他ことがすごく嬉しそうに話していた。やはり、おかしいと思った。いくら偶然だとしても事件の1ヶ月前に高額の保険に入るのは、不自然でしかない。仲田は再び吉川について調べ始めた。
仲田は吉川に執着しているが、何かがおかしいと感じ始めてきた。
上原はやはり、伊藤が怪しいと思っていた。伊藤のアリバイが崩れ、動機もでき、後は凶器の問題だけを解決すればこの事件を終わる。
上原は仲田とペアになって非常に良かったと思っている。何故なら、今までペアになってきた刑事たちは調べること以外はやるな、と言ってきたため何もできなかった。しかし仲田に最初自分でも捜査をしていいか聞くと、
「全然いいよ!その方が助かるし、それで解決できたら、調べ物もできるし事件も解決できる、めっちゃすごいじゃん。」と言ってくれた。上原は泣き出ししまった。仲田は驚いていたが、上原のそれまでの過去を聞くと、
「そんなこと気にしなくていんだよ。」
そう言ってくれた。だから、仲田のために活躍したかった。
上原はどうにかして防犯カメラに映らないようにして吉川の家に入ることができないのか考えていた。吉川に協力してもらって防犯カメラの動画のデータを上原のパソコンにダウンロードして何回も繰り返し繰り返しみたすると上原は気づく、吉川の家の車庫の屋根の上についている防犯カメラから見た車庫の屋根は曇って見えるという点だ。吉川の家に行ったとき確認したが、特に曇っていなかった。なので死角になっているとは思わなかったが、防犯カメラを確認すると曇っていた。上原はこの事実仲田に伝えた、
「仲田さん、吉川さんの家で見た車庫の屋根なんですが、防犯カメラで確認すると曇っていました。なので、そこが死角になっておりそこを通ってみる実験をしたところ映りませんんでした。」わかったことを伝える
「ありがとう、でもその情報は必要ないかもしれない。事件は解決した。上原、吉川、伊藤を学校の校長室に呼んでくれ。推理を本人に伝える。証拠がたくさん揃っているから言い逃れすることはないだろう。」
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