セブンディーズ~破滅の未来を回避するために、男子中学生がスーパーロボットに乗って戦う話~

XX

第1章:未来からやってくる災厄とお嫁さん

第1話 格闘ゲーム「セブンディース」

『さあ、SWT決勝! 試合開始1分が経過しましたが、圧倒的強さ! 王者ティガー!』


 SWTはSevendies World Tourの略だ。

 ティガーというのは俺のプレイヤーネームだ。


 本当は俺の名前の張間はりま虎一こいちから、タイガーにしようと思ったんだけど。

 入力時に打ち間違って「チガー」になったんだ。


 無論、訂正はできた。


 だけど、プレイヤーネームから万一俺の本名に辿り着かれたら何か嫌だなって。

 そのときふと思ってさ。

 少し変えて「ティガー」で登録したんだよな。


 登録するときはまさかここまで勝ち上がれるとは思って無くて。

 今更変えられないから、実は軽く後悔している。


 ティガーって何だよ。

 ティガーって。


 ウルトラマンかよ。




 Sevendies World Tourはセブンディーズという格闘ゲームの世界大会の名前。


 セブンディーズは世界的に熱狂の渦を呼んでいる対戦格闘ゲームの名前だ。


 セブンディーズは簡単に言うとロボットの格闘ゲームで。

 プレイヤーはロボットのパイロットになり、対戦相手の駆るロボットと1対1のバトルをするんだ。


 このゲームのすごいところはそのリアルさ。

 プレイヤーはレバーとボタンという一般的なコントローラーでプレイするのではなく、本物のロボットのパイロットの乗り込むコクピットを模した筐体に入り込んで、選択した愛機を操縦してプレイするんだよ。


 その際の視点はロボのカメラ目線。

 まるっきりロボパイロットの気分が味わえる。


 で。


 筐体の外にいるギャラリーは、そんな戦いを三人称視点で見ることが出来る。

 ロボアニメの視聴者の視点だな。


 ギャラリーも楽しいし、プレイヤーも大興奮。

 そのせいで、世界的に流行った。


 俺は今、それの世界大会の決勝戦を戦っている。


『ティガー選手のスーリアは変わらず神懸かっている! ここまで、被弾はただの1度も無い! 絶対の王者に立ち向かうストーン選手どうする!?』


 実況の人の音声で、俺のテンションも上がる。

 筐体内の操縦桿風コントローラーを握る力が強くなる。



 俺が選んでいる愛機はスーリア。

 白銀の鷹をイメージした鎧騎士という感じの外観のロボで。

 機体のコンセプトは「紙装甲、高機動、最大火力」


 装甲が紙に等しいくらい薄い代わりに、最大級のスピードと、最高の攻撃力を併せ持つ機体だ。

 玄人向けの機体で、俺はそこが好きでずっと使っているんだ。


 当たらなければどうということはない、ってかっこいいじゃん。


 そして今、俺の対戦相手が駆っている機体はシャンドラ。

 相手の機体のコンセプトは「平均的な装甲、平均的な機動力、平均以上の火力」


 尖った部分があまり無い初心者向けの機体。

 だけど、それは扱いやすいってだけで、機体として弱いわけじゃない。


 実際、この決勝で対戦している相手は決して弱くないと思う。


 俺の敵じゃ無いだけで。


 俺の視点映像で、俺の動きを追っている黒い鴉のイメージの死神ロボは、その主力武装である大鎌を振り上げて俺になんとか一撃を加えようとする。

 一撃入れれば逆転できるから、必死だ。


 ……悪いな。


 アンタはヘタクソじゃ絶対に無いけど、俺はこのゲームでは負けたことが今のところ無いんだよ。


 俺は操縦桿を操る。

 その手には迷いはない。


 俺はその一撃を躱し、シャンドラがその一撃を出した隙をつき「極大必殺技アルティメットブラスト」を発動させた。

 今の一撃が、かなり大きな隙が出来る一撃だったからな。


 ちなみにこれは簡略版だからフルパワーでは撃てないが、すでにかなりのダメージをシャンドラには与えてる。

 だからこれで終わるだろう。


 俺のスーリアの胸の装甲が開き、ビーム発射口が出現していく。


 そして大技を出して無防備状態のシャンドラの背中に、フルパワーならこのゲームのラスボスの必殺技に匹敵する威力の一撃を叩き込む。


『スーリアの極大必殺技アルティメットブラストがここで火を噴く!』


 実況の人の興奮した声。

 それに俺も気分を上げながら。

 スーリアの胸から発射された輝くビームがシャンドラを飲み込み、爆散させる様を見つめた。


 ……よし!


『ストーン選手のシャンドラ、大破ー! 決着ダーッ! 2028年度SWT覇者はティガー選手! これで2連覇だぁー!』


 筐体の中で実況の人の称賛の声を聞き、俺は達成感と……


 そして不安を感じたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る