第21話

ひょんなことから凛の誕生日に先輩が家に来た日から数日。

ゴールデンウィークが明け、また学校が始まるが、休み気分が抜けきっていなかった俺は、アラームが鳴ったが、二度寝をしようとしていた。

そこへ、バンッ!と音が響き、何者かが部屋に入ってきた。


「お兄ちゃん起きて!朝だよ!」

「うーん……あとごふん……」

「ダメ!今日から学校でしょ!遅刻しちゃうよ!」

「うーん……」

「もう!こうなったら…」


いきなり静かになったことに違和感を覚えた瞬間、


「おりゃー!」

「ぐへぇ!」


凛がフライングプレスをかましてきた。


「何すんだよ!」

「だってこーんなに可愛い妹が起こしに来てあげてるのに起きないんだもん!」

「だからってフライングプレスはないだろ…」

「細かいことは気にしないの!ほら、ん!」


凛が俺の上に乗ったまま両手を前に突き出してきた。


「あの…そろそろ重いんで降りてくれませんかね…?それでこの手は?」

「あー!女の子に重いとか言っちゃいけないんだー!なんか妙にテンションが高かったんですよねこの手は抱っこで上まで連れてっての手!もちろんお姫様抱っこね!」

「いや、危ないし無理だろ…」

「いいから!早く起きて!」

「はいはい…」

「はいは1回!」

「は〜い…」


まるで母親みたいだな、と思いつつ、着替えようと服に手をかけたところで凛がまだ部屋に居座っていることに気づいた。


「あのー、凛さん?着替えたいので出て行ってもらえると助かるんですけど…」

「気にしないで!」

「気にするわ!ほら、出てけ!」

「ちぇー」


凛を部屋から追い出し、扉を閉めたところでようやく着替え始め、ふと時計を見ると、急がないと遅刻する直になっていたため、慌てて着替えて朝ごはんを食べ、家を出たのだった。




「はぁはぁ…何とか間に合った…」

家から駅まで走ったことでどうにか電車に間に合った俺は、今日も満員電車に揺られていた。

すると、袖をクイックイッと引っ張られた。

振り向くと、先輩がいた。


「あ…先輩…おはようございます…」

「お、おはようございます。なんか疲れてますね?」

「はい…朝から凛に叩き起されまして…」

「起こしてもらったのに遅れそうだったんですか…?」

「ええまぁ、なんかテンション高くて…」

「もしかしたら、プレゼントの影響ですかね?」

「だとしたらもっと別の形が良かった…」

「あはは…お疲れ様です」


そんなことを話していると、すぐに高校の最寄り駅に着いてしまう。

先輩との会話はとても楽しいが、時間が早く過ぎてしまう事だけがデメリットだなと思うのであった。


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