婚約破棄されましたが、隣国で愛されすぎて困っています

第13話 名誉の回復

アルヴィンとクラリスの陰謀を暴露したフェリシアの言葉は、舞踏会に集まったすべての貴族の心を揺るがした。これまで「嫉妬深い悪女」とされていた彼女の真実が明らかになり、彼女の名誉は一瞬にして回復されつつあった。しかし、それだけでは終わらなかった。この暴露は、王太子アルヴィンの地位を揺るがし、王国全体を巻き込む波紋を広げていく。

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非難の嵐

舞踏会で真実が明らかにされた直後、貴族たちは次々とアルヴィンとクラリスを非難し始めた。

「王太子がこんな卑劣な行為に関わるとは…。国の未来が心配ですわ！」

「クラリス嬢も、平民から王太子妃になれると思っていたのでしょうが、これではその立場も失墜ですな。」

「これはただの醜聞では済まされない。王国の信頼そのものを揺るがす問題だ。」

フェリシアはその場で非難に加わることなく、静かに立っていた。彼女はすでに自分の役割を果たし、あとは貴族たち自身が正しい判断を下すことを信じていた。

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王の決断

その翌日、舞踏会での出来事が王宮全体に広まり、国王の耳にも届いた。アルヴィンは父である国王に呼び出され、今回の件について厳しく問い詰められることとなった。

「アルヴィン、お前が本当にクラリス嬢と共謀し、フェリシア嬢を陥れたのか？」

王の声には失望と怒りが込められていた。

「父上、それは誤解です！私はただ、クラリスを守りたかっただけで…」

アルヴィンは必死に弁解しようとしたが、王はその言葉を遮った。

「黙れ！お前の行動は王族として恥ずべきものであり、許されることではない！」

国王は厳然とした態度でアルヴィンを叱責し、彼を王太子の座から退ける決断を下した。

「お前にはもはや王太子の資格はない。第二王子を正式に次期国王とする。」

その宣言は、王宮内で大きな波紋を呼び起こした。

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フェリシアの呼び出し

その後、国王はフェリシアを宮廷に招き、改めて彼女に謝罪を申し入れた。宮廷の大広間で、フェリシアは国王と面会した。

「フェリシア嬢、まずは今回の件であなたに深くお詫び申し上げます。私の息子がこのような醜聞を引き起こしたこと、王として責任を痛感しております。」

国王の言葉には誠意が感じられた。

「陛下、私に謝罪をしていただけることは光栄ですが、私はそれを求めてここに来たわけではありません。」

フェリシアは毅然とした態度で答えた。

「私が望むのは、ただ真実が明らかになること。そして、私自身の未来を切り開くことです。」

国王はその言葉に深く頷き、彼女に感謝の意を示した。

「あなたのような方がこの国にいてくれることを誇りに思います。何か望むことがあれば、遠慮なく申し出てください。」

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貴族社会での反響

フェリシアの名誉が回復されただけでなく、彼女は再び貴族社会の中心人物となった。かつて彼女を冷たく見ていた貴族たちも、今回の出来事を通じて彼女の誠実さと知性を認めるようになった。

「フェリシア様、本当に申し訳ありませんでした。当時は真実を見抜くことができませんでした。」

かつて彼女を非難していた貴族たちが次々と謝罪を申し出た。

「私のことを信じていただけなかったのは残念ですが、もう過去のことですわ。今は未来のことを考えたいと思っています。」

フェリシアは微笑みながら、過去を水に流すような態度を取った。その姿に、貴族たちはさらに感銘を受けた。

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フェリシアの選択

しかし、フェリシアは過去の地位に戻るつもりはなかった。舞踏会の後、彼女はリヒトとともに王宮のバルコニーで話をしていた。

「フェリシア、君の名誉は完全に回復された。これからはまた、王国の中心で活躍することができるはずだ。」

リヒトはそう言ったが、フェリシアは静かに首を振った。

「いいえ、リヒト。私はもう王国の中だけで生きるつもりはありません。隣国で築いた道をこれからも歩みたいの。」

彼女の言葉には揺るぎない決意が感じられた。

「私は自分の力で未来を切り開くと決めたの。そして、あなたがそばにいてくれることが、私にとって何よりも大きな支えです。」

リヒトはその言葉に微笑み、彼女の手を取った。

「僕はこれからも君のそばにいる。君がどんな道を選んでも、僕が支えることを約束する。」

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新たな未来へ

フェリシアはこうして、名誉を完全に回復し、過去を清算することができた。しかし、それは彼女の旅の終わりではなく、新しい始まりだった。

アルヴィンとクラリスの凋落を目の当たりにしながら、彼女は自分の選んだ道に自信を深めていった。彼女が選ぶ未来には、隣国で築いた自分の道、そしてリヒトとともに歩む新たな人生が待っている。

フェリシアは再び輝きを取り戻し、かつての悲しみを力に変えて、堂々と未来へ向かって歩き出したのだった。