ストーリー
今日も授業が終わり、もう学校にいたくないと思っている。
何故かと言えば、体育の時間にソフトボールをやっていたのだが、キャッチしようとした球が自分の顔面にあたってしまったのだ。それで笑われるわで…今日ほど尊厳がなくなったなと思う日が来ることはないだろう。
そして、今日は絹川の部活動の様子を見に来て、がんばれ!と心の奥底から思っているのはこの俺、有村翔なのである。
それにしても身長が…高いな絹川、そういえば最近身長がまた伸びたって言ってたな…確か176cmピッタシだって言ってたような…俺、実はあの時から伸びず153.9cmなんですよ。泣いていいですか?
すると、俺が見学しに来ているのを見たバレー部の部員が俺に話しかけて来た。
「あ、もしかして噂になってる有村さんっすか?」
「そ、そうだが…」
何だこのザ・スポーツ系女子!!!的な見た目をしてる部員は…褐色系やし…それに、一年生の間で俺の名前って知れ渡っとるん?まあ身長が小さいからやろうけど。
「最近同じ部員の絹川っていう巨人が有村さんのことを話してばっかで…」
「え…?もしかして悪口…?」
「いえ、全然そういうのじゃなくて…彼女から見れば有村さんは…”面白い人”らしいんっすよ」
「面白い…?」
「何が面白いとかまでは分かってないんすけど、とにかく面白いと言ってたのは確かでしたっす」
面白い…というのは俺の低身長いじりの事だろうか…
すると、活発スポーツ系女子の後ろから絹川が顔をのぞかせていた。
「浦田ちゃ~ん、誰と話してるの~?」
絹川は俺がいる事には気づいていないようだ。
…あ、こっち見た。
「あ、せんぱ~い。来てたんですね!」
「まあな、暇だったし」
「それ、試合を見に来てくれた時も言ってましたね」
「気のせいだ気のせい」
すると、後ろから活発スポーツ系女子ちゃんが絹川に耳打ちした。
「…あ、ごめんなさいせんぱい、自分は戻らなきゃなので…」
「あ、じゃあ俺はこれで帰るわ。じゃあな~」
「はい!また明日学校で!」
こうして、俺と絹川の些細なひと時はこれで終わった。
バレー部のユニフォーム姿で練習する絹川は、どこか見慣れない姿があった。
――――――――――
俺は家に帰ってきてから一人、スマートフォンをいじっていた。最近はイ〇スタのストーリーとかを上げ始めたりしているのだが、他の人の投稿を見ていると、突然バレー部に入ってる女子高生のアカウントが目に入った。
「…見たことあるな」
何を隠そう、そこに写っていたのは、顔にモザイクはかかっているものの、完全に絹川本人であったからだ。そして過去の投稿をも振り返ると、絹川張本人であることは確証づいた。
「…フォローしといたるか」
早速俺は、フォローリクエストする事にした。そして数時間もすれば、フォローバックもされるようになった。俺だって言う事に気づいたのだろうね、きっと。
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