第11話 宝の山2

「ほんまですか?」

億田も驚いた。いつも冷静な彼も、この時ばかりは

スマホを持つ手に力が入る。

「関中王の知り合いの、

 千利休が、反乱を起こしたようで。」

「そうですか。」

億田は反乱の理由を考えてみたが、わからなかった。怨恨?なぜ?仲違いでもしたのか?

「それで銅さん。」

「はい。」

「私と一緒に、出陣して欲しいんですわ。」

「わかりました。」

沢森組にはいつもお世話になっている。その忠勝の

ためなら、命をかけたっていい。

「よかった。

 助かりますわ。」

「では、用事をすませて、

 そちらに合流しますわ。」

「わかりました。

 おおきに。」


「たくやぁ、行くでぇ。」

「どこでっか?」

「戦や。

 大坂城が乗っ取られた。」

「えっ!?」

「銅さん……。」

律子は不安にとらわれた。

億田に何かあったら……。もう自分には、生きる

理由などない。どうせ死ぬのなら、

二人一緒に……。

「大丈夫や、律子。

 無理はせぇへん。」

「うん……。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る