エルフの受付嬢ですがドワーフが嫌いです

沙羅双樹

『受付嬢エルフとドワーフ禁止令』

 王都ギルドの受付には、いつも長い列ができる。

 その一番奥、真銀の髪をまとめた受付嬢リアナは、いつも完璧な笑顔で冒険者を迎えていた。


 ただし――ドワーフだけは例外だ。


「次の方、どうぞ」

「おう嬢ちゃん! この依頼、報酬上げといてくれや!」

「はい、規定報酬です」

「いやいや、命がけだぜ?」

「それは毎回おっしゃいますね。命がけじゃない冒険があれば教えてください」

「ぐぬぬ……!」


 リアナの笑顔は凍っている。理由は簡単。

 ドワーフの客は、酒臭い。うるさい。字が読めない。

 ついでに、なぜか毎回口説いてくる。

 エルフの美学的感性からすれば、耐え難い生態系だった。

 だがある日、ギルドの掲示板に貼り紙が出た。


【重要:ドワーフ系冒険者の登録禁止(受付嬢リアナ発案)】


 当然、ギルド長が慌てて駆け込む。


「リアナ、こんな勝手な通達を誰が許可した!?」

「ギルドの秩序のためです」

「秩序!? 彼らがいないと酒場の経済が死ぬぞ!」

「酒場が死んでも、私の神経が生き残ります」


 その夜。

 リアナは閉館後のカウンターに座り、静かにワインを注いだ。

 窓の外では、例のドワーフがしょんぼりと帰っていく。

 手には小さな花束。

 リアナはグラスを傾けて、ため息まじりに呟いた。


「……まったく。ああいうのが、一番しぶといのよね。」

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