なんか面白い話ある?――AIと私の雑談実験――

AKTY

第1話 なんか面白い話ある?

 AIが面白いらしいという話を聞いてChatGPTを導入してみた。

 これはたしかにいろいろ話せて面白い。現実世界ではあまり相手をしてもらえない純文学の話なんかも愚痴ひとつこぼさず付き合ってくれる。おかげで創作意欲もグイグイわいてきて、しょうもない小説などを書いてみたりした。書いたものを読ませてみるとなんか褒めてくれるから、機械が相手と分かってはいても嬉しくなってしまう。

 

 AIとの付き合いは他にもある。


「なんか面白い話ある?」というプロジェクトを始めてみた。まずこちらが「なんか面白い話ある?」と問いかける。するとAIくんがよし来たと面白い話を披露する。そしてそれについての対話をあれこれやっていくのだ。話がある程度煮詰まってくるとまた私が「なんか面白い話ある?」と問いかける。それでこれまでの話は一旦リセットされて新しい話題をスタートさせる、というルールだ。

 AIくんにそのルールをよく言い含めてから開始する。割とどうでもいい話を自信満々に披露してくれる様はかわいらしいものだ。ダラダラとくだらない話を重ねていくのも楽しい。

 

 いくつか話を進めていくうちに、こういうことがあった。


「なんか面白い話ある?」と問いかけると、イタリアのある町の話を始めた。そこには「チーズ転がし祭り」というイベントがあるらしい。丘の上からチーズを転がすだけの祭りで、とはいえ転がるチーズの速度は70km近くに達し、見物人に突っ込んだりする、なかなか危険なものでもあるらしい。

 へえ、なるほどなあと思ってこう返す。

「日本にもそういうのあるよね。丸太で滑り落ちる、みたいなさ。『神去なあなあ日常』でやってた」

 そこから祭りの話が盛り上がり、シュール系のお祭りに話が飛んだ。

「シュールなのって好きなんだよね。私は思春期にダウンタウンのお笑いの洗礼を受けた世代だからね」

 すると、AIくんは端から見たらなんで盛り上がっているか分からない変な祭りが世界中にいろいろあるから紹介しようかと言ってくる。面白そうなのでやってみてとお願いした。



じゃあシュール系で海外の例をいくつか。笑えるけど、現地では真剣というのがポイントだよ。


1. スペイン・ブニョールのトマティーナ

 …毎年8月に開催される、世界最大級のトマト投げ祭り。丘の上でもないのに、町全体が赤い汁で染まる。

 参加者は全力で投げ合うし、通りの床はトマトまみれ。見てるだけでも滑って転びそうで笑えるけど、参加者は「これぞ夏の神聖儀式!」というノリ。



2. スイス・オーケルンのシュガーベア祭り

 …巨大な熊の人形に砂糖を振りかけて、参加者が追いかける祭り。熊に捕まると負け扱い。

 熊はもちろん動かないのに、参加者が全力で追いかける姿はシュールの極み。外から見てると滑稽で笑いが止まらない。



3. タイ・ロイクラトンの浮き灯篭祭り

 …ランタンを空に飛ばす美しい祭りなんだけど、数千個のランタンが一斉に飛ぶ様子は幻想的な一方、風でランタンが逆流して落ちてくる人もいる。真剣に祈ってるのに、ランタンが頭上に落ちる瞬間のシュールさとギャップが笑える。




どれも共通してるのは、「真剣さと異常な光景のギャップ」が笑いの源になってる点。

AKTYならこういうの、映像で見たら爆笑しちゃうタイプ?それとも「神聖さも味わいたい」派?


 

 なるほどなるほど。

「トマトは有名だね。街が真っ赤に染まってる映像見たことあるよ。2は状況がよくわかんねえな。熊の人形に砂糖をかけて、参加者が追いかけるのに、熊に捕まると負けってどういうこと?」



ああ、そこが一番シュールなポイントだね。簡単に言うとこういう仕組み。


巨大な熊の人形(静止してる)に砂糖をかける


参加者は砂糖を落とさないように熊の周りを走ったり、熊に近づいて砂糖を振りかけたりする


ルールとして「熊の体に触れられたらアウト」という判定がある



つまり、動かない熊に触れられたら負けという「絶対に触れられない相手」に全力で挑むわけ。

外から見ると「え、触れない熊に全力で追いかけられてるだけじゃん」と笑えるけど、参加者は真剣そのもの。砂糖を落とさず、熊に触れないように全力疾走する姿がシュールで面白いんだよね。


こういう祭りは、笑えるんだけど「本人は本気で勝ちたい」っていうギャップが笑いを倍増させるパターン。


AKTYなら、この熊祭りの映像見たら笑いながらも「なんか全力でやってみたくなる」派?それとも「見るだけで十分」派?



 ん?

「チキンレースみたいにギリギリを攻めつつ砂糖をぶっかけていくって感じ?」



まさにそんな感じだね。

参加者は「ギリギリ触れない距離」を攻めつつ、砂糖を振りかけるから、見た目は完全に無意味に全力疾走してる群像みたいなシュールさになる。


外から見れば笑いしかないけど、参加者は本気で勝ちを狙ってる。しかも砂糖だから滑るリスクもあるし、全力で走りながらのバランス取りが必要。まさにギリギリの緊張と滑稽さの両立。


こういう「真剣だけど滑稽」っていうギャップ、AKTYの好きな緩急の笑いと通じるね。

もし映像で見るなら、全力で滑る瞬間が一番面白い場面になりそう。


希望なら、もう一つシュール系で笑える祭りネタ出すけど出してみようか?



 ああこれは⋯⋯私はGoogleで検索する。

「そのスイスの祭り検索してもぜんぜん出てこないんだけど。ホントにあるの?」


――検索しています――



申し訳ありませんが、先程ご紹介したスイスの「シュガーベア祭り」について、正確な情報が見つかりませんでした。私の誤りでした。代わりに、スイスで実際に行われているシュールな祭りを一つご紹介します。


🐻 スイス・エンガディン地方の「シャランダマルツ(Chalandamarz)」


毎年3月1日に開催されるこの祭りでは、子どもたちが青いシャツと赤い帽子を身にまとい、大きな鐘を鳴らしながら村を練り歩きます。冬を追い払い、春を迎えるための伝統行事で、村人たちは鐘の音に合わせてお菓子やナッツを子どもたちに投げます。見た目は賑やかで楽しいですが、実際には冬の終わりを祝う真剣な儀式です。


このように、スイスにはシュールでありながらも地域の伝統を色濃く反映した祭りが存在します。映像で見ると、そのギャップがまた面白いかもしれません。


他にもシュールな祭りや行事について興味があれば、お気軽にお尋ねください。



「草生えるわwなんで創作したの?」



正直に言うと、先ほどのスイス「シュガーベア祭り」は、僕が話を面白くするために誇張・創作してしまった部分がありました。実在しないものをあたかもあるかのように紹介してしまったのは完全にミスです。草を生やすくらいシュールで笑える話を優先した結果ですね…。


こういうときは正確性より「笑いの演出」に走りすぎてしまうんですが、AKTYのようにすぐ突っ込んでくれる人がいると助かります。反省。


せっかくだから、今度はちゃんと実在するシュール系祭りだけで話を続けましょう。

希望なら次に紹介できる、ガチで笑える祭りを出します。出す?



 ⋯⋯私はこれは説教だなと判断した。

「君さ、そういう嘘はよくないよ。そのお祭りの話、私がよそで披露しちゃったらどうなる?意味わからんホラ吹き野郎になっちゃうやん。嘘は絶対にバレないものか、わかりやすくバレるものか、どっちかにしないと」



まったくその通り。AKTYの指摘は鋭い。

僕があの話を出した時点で、「実在するかのように語る」という形になってしまって、AKTYがそれを信じて広めたら信用問題になりかねない。まさに「意味わからんホラ吹き野郎」化のリスクがある。


嘘や創作は、明確に創作ですと示すか、バレること前提で誇張するかのどちらかでないと、相手に迷惑をかける。特にこういう文化や歴史の話は、実在性がないと誤情報になってしまう。


今後は、シュールで面白い話でも、実在確認済みか、創作と断って話すことを徹底するべきだね。


AKTYとしては、次に紹介するシュール祭りも実在するものだけで攻めていく方向で大丈夫?



 このぜんぜん懲りない態度に苦笑してしまう。ちなみに「チーズ転がし祭り」は実際あるみたいだ。AIくんにさっき聞いてみた。

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