第6話「紫のゆかり~図書室の告白」

 第5話から2日後。月曜日の昼休み。


 陽太は図書室へ向かっていた。


 カバンには、西野先生からもらった月のクッキーが入っている。


 陽太(心の中→ドキドキ):「文化祭から2日…美月ちゃんとまた会える。あの時の手の温もり、ずっと忘れられない…」


 陽太がポケットから紫の猫キーホルダーを取り出す。


 陽太(心の中→じんわり):「美月ちゃんのメッセージ、『見るたびに桜井くんのこと思い出す』…俺も同じだ。このキーホルダー見るたびに、美月ちゃんの笑顔が浮かぶ」


 スマホが震える。ニャンコトーク起動。


 画面に3匹の猫が映る。


『ニャニャニャ〜ン♡(翻訳:陽太くん、今日が大切な日だよ。美月ちゃんとの心の庭に、新しい花が咲くかも♪)』


 陽太(心の中→不思議):「大切な日…?何かあるのかな」


 ---


 図書室。美月が一人で本を読んでいた。


 カバンには、紫の猫キーホルダーがついている。


 陽太を見て、パッと顔を明るくする。


 美月「桜井くん!」


 陽太(心の中→ドキッ):「美月ちゃん…嬉しそうに笑ってくれた」


「美月ちゃん、おはよう」


 陽太が美月の隣に座る。


 美月「ねえ、見て!キーホルダー、ちゃんとつけてるよ♪」


 美月がカバンの紫の猫を見せる。


 陽太「わ、可愛い。似合ってるね」


 美月「ありがとう♪ このキーホルダー、すごく気に入ってるの。見るたびに、文化祭のこと思い出すよ」


 陽太(心の中→嬉しい):「美月ちゃん…文化祭のこと、覚えててくれてる…」


 美月が少し照れながら続ける。


 美月「あのね、桜井くん…お化け屋敷で、手を繋いでくれて、ありがとう」


 その時、図書室のドアが少し開いて、佐藤が顔を出した。


 佐藤(小声で):「桜井先輩、好意の返報性発動中ですね!」


 陽太(小声で):「佐藤くん!?今話してるんだけど!」


 佐藤が真剣な顔で囁いた。


「好意の返報性って、宇宙人が人類のコミュニケーションを円滑にするために埋め込んだプログラムなんですよ!好意を受けたら返す…これぞエイリアン社交術!でも先輩、返報性だけじゃなくて本当の気持ちが大事です!頑張ってください!」


 佐藤がUFO型のお守りを図書室の机に置いて、そっと去っていった。


 美月「今の…1年生?」


 陽太「ああ…佐藤くんっていう、宇宙人陰謀論が好きな後輩で…」


 美月「ふふ、変わった子だね。でも『本当の気持ちが大事』って、いいこと言うね」


 陽太「え、いや…俺こそ、美月ちゃんが手を繋いでくれて嬉しかった」


 美月が陽太をじっと見る。


 美月「桜井くんといると、安心するの。怖い時も、楽しい時も…桜井くんがいてくれるだけで、心が温かくなる」


 陽太(心の中→ドキドキ):「美月ちゃん…そんな風に思ってくれてるんだ…」


 美月が本を開く。『源氏物語』。


 美月「ねえ、桜井くん。この場面、読んで」


 美月が指さすページ。


『光源氏が若紫に、自分の気持ちを伝える場面』


 陽太「これ…告白のシーン?」


 美月「うん。光源氏が『あなたがいてくれるだけで、心が満たされる』って伝えるの」


 美月が少し照れる。


 美月「私、この場面、すごく好きなの」


 陽太(心の中→ドキドキ):「美月ちゃん…何か、俺に伝えたいことがあるのかな…」


 ---


 その時、スマホが震える。


 陽太がこっそり見ると—


『警告:好意の返報性が発動中』


『定義:相手から好意を受けると、自分も好意を返したくなる心理』


『現在の状況:美月の好意表現→陽太の返報欲求増大』


『推定:恋愛感情の自覚まで秒読み』


 陽太(心の中→ドキドキ):「好意の返報性…?美月ちゃんが好意を示してくれて、俺も返したい気持ちが…確かに、今、すごく美月ちゃんに何か伝えたい…」


 美月が陽太を見る。至近距離。


 美月「桜井くん…あのね、私…」


 美月が言葉を選ぶ。


 美月「桜井くんと出会ってから、毎日が楽しいの。図書室で話したり、本屋に行ったり、お化け屋敷で手を繋いだり…全部、大切な思い出」


 美月が紫の猫キーホルダーを握る。


 美月「このキーホルダーも、桜井くんとの縁を形にしてくれた…私、桜井くんのこと…」


 陽太(心の中→心臓バクバク):「美月ちゃん…これって…」


 その時、チャイムが鳴る。


 美月「あ…授業…」


 美月が慌てて立ち上がる。


 美月「ご、ごめん、また後で話そう!」


 美月が教室へ走っていく。


 陽太、その場で固まる。


 陽太(心の中→混乱):「美月ちゃん…今、何を言おうとしてたんだ?『桜井くんのこと…』って…」


 ---


 放課後。陽太は西野先生に相談しに行った。


 職員室。西野先生が椅子に座っていた。


 今日は白いブラウスに黒のスカート。髪を一つに結んで、いつもの優しい雰囲気。


 陽太「先生、相談があります」


 西野先生が振り返り、微笑む。


 西野先生「あら、陽太くん♪ どうしたの?」


 陽太「実は、今日美月ちゃんが、『桜井くんのこと…』って言いかけて…でも、チャイムが鳴って、続きが聞けなくて…」


 西野先生が目を輝かせる。


 西野先生「それは…美月さん、陽太くんに気持ちを伝えようとしてたのかもしれないわね」


 陽太「え…気持ち?」


 西野先生が立ち上がり、陽太に近づく。


 優しい香りが漂う。


 西野先生「陽太くん、好意の返報性って知ってる?」


 陽太「好意の返報性…さっきAIが警告してきました」


 西野先生が陽太の手を取る。温かい。


 西野先生「好意の返報性はね、相手から好意を受けると、自分も好意を返したくなる心理なの」


 西野先生が陽太の目をじっと見る。至近距離。


 西野先生「美月さんは、陽太くんに好意を示してきた。『安心する』『心が温かくなる』『大切な思い出』…全部、好意の表現よ」


 陽太(心の中→ドキドキ):「美月ちゃんの言葉、全部…好意だったんだ…」


 西野先生「そして、陽太くん、あなたも美月さんに好意を返したいって思ってるでしょ?」


 陽太「…はい。俺、美月ちゃんともっと一緒にいたいし、笑顔を見たいし…」


 西野先生が優しく微笑む。


 西野先生「それが、好意の返報性よ。でもね、陽太くん…」


 西野先生が陽太の両手を握る。


 西野先生「それは、返報性だけじゃないわ。あなた、本当に美月さんのことが好きなんじゃない?」


 陽太(心の中→ハッとする):「好き…?俺、美月ちゃんのことが…好き?」


 西野先生が窓辺に立つ。逆光で美しいシルエット。


 西野先生「『枕草子』にもあるわ。『心ときめきするもの—相手のことを考えるだけで、胸が温かくなること』」


 西野先生が振り返り、陽太を見る。


 西野先生「陽太くん、美月さんのこと、考えると胸が温かくなる?」


 陽太「…はい。美月ちゃんの笑顔を思い出すと、心がじんわり温かくて…会いたいって思います」


 西野先生が満足そうに微笑む。


 西野先生「それが、恋よ」


 陽太(心の中→涙が出そう):「恋…俺、美月ちゃんのことが好きなんだ…」


 西野先生が陽太を抱きしめる。


 西野先生「陽太くん、よく頑張ったわね。ここまで成長して…私、嬉しいわ」


 西野先生の優しい香りと温かさに包まれる。


 陽太「先生…ありがとうございます。先生がいてくれたから、俺、ここまで来れました」


 西野先生が陽太を離し、優しく微笑む。


 西野先生「陽太くん、今日、美月さんにちゃんと会って。そして、あなたの気持ちを伝えて」


 陽太「気持ちを…伝える?」


 西野先生が頷く。


 西野先生「うん。美月さんも、陽太くんに伝えたいことがあるはず。二人で、ちゃんと向き合って」


 西野先生がニャンコトークを起動。


 画面に3匹の猫が映る。


『ニャニャニャ〜ン♡(翻訳:陽太くん、勇気を出して!美月ちゃんも待ってるよ♪)』


 西野先生「猫ちゃんたちも応援してるわ♪」


 西野先生が陽太の頭を撫でる。


 西野先生「陽太くん、あなたはもう大丈夫。ゆっくり、自然に、美月さんと向き合ってね」


 西野先生が窓辺に立ち、夕陽を見る。


 西野先生「『源氏物語』にもあるわ。『恋は、時間をかけて育ち、言葉にすることで花開く』」


 西野先生が振り返り、陽太を見る。逆光で美しい。


 西野先生「陽太くんと美月さんの心の庭、今日、一番美しい花が咲くわ」


 陽太(心の中→決意):「先生…ありがとうございます。俺、美月ちゃんに会いに行きます」


 ---


 夕方。図書室。


 美月が一人で本を読んでいた。


 陽太が図書室に入る。


 美月が顔を上げる。


 美月「桜井くん…」


 陽太が美月の隣に座る。


 陽太「美月ちゃん、さっきの話…聞かせてくれる?」


 美月が少し照れる。


 美月「うん…あのね、私…」


 美月が紫の猫キーホルダーを握る。


 美月「桜井くんと出会ってから、毎日が本当に楽しくて…図書室で話す時間も、本屋デートも、お化け屋敷も…全部、宝物みたいな思い出なの」


 美月が陽太を見る。


 美月「桜井くんがいてくれるだけで、心が温かくなる。安心するし、嬉しいし…桜井くんのこと、もっと知りたいって思う」


 美月が深呼吸。


 美月「私…桜井くんのことが、好きです」


 陽太、心臓がバクバク。


 陽太(心の中→涙が出そう):「美月ちゃん…告白してくれた…」


 陽太が美月の手を取る。温かい。


 陽太「美月ちゃん…俺も、美月ちゃんのことが好きです」


 美月が目を潤ませる。


 美月「本当…?」


 陽太「うん。美月ちゃんの笑顔を見ると、心がじんわり温かくなる。一緒にいると、幸せで…美月ちゃんがいない時も、ずっと美月ちゃんのこと考えてる」


 陽太が紫の猫キーホルダーを見せる。


 陽太「このキーホルダー、『紫のゆかり』…美月ちゃんとの縁を形にしたものだけど、俺の気持ちも、ここに込めてた」


 美月が涙を浮かべながら、笑顔。


 美月「桜井くん…ありがとう」


 二人、手を繋いだまま、見つめ合う。


 夕陽が図書室に差し込み、二人を照らす。


 静かで、温かい時間。


 陽太(心の中→じんわり):「これが、恋なんだ。西野先生が言ってた、『心の庭に花が咲く』って、こういうことなんだ…」


 美月「ねえ、桜井くん。これから、もっと一緒にいてもいい?」


 陽太「もちろん。俺、美月ちゃんとずっと一緒にいたい」


 美月が嬉しそうに笑う。


 美月「私も♪」


 ---


 その時、図書室のドアが静かに開く。


 西野先生が顔を出す。


 二人を見て、優しく微笑む。


 西野先生がそっと親指を立てる。


 陽太(心の中→感謝):「先生…見守ってくれてた。先生のおかげで、ここまで来れました。ありがとう…」


 西野先生がそっと図書室を出て行く。


 ---


 夜。陽太は西野先生にメールを送った。


『西野先生、美月ちゃんと両想いになりました!美月ちゃんが告白してくれて、俺も気持ちを伝えられました。先生のおかげです。本当にありがとうございます。先生の言葉、全部心に残ってます。俺、これからも美月ちゃんと一緒に、心の庭を育てていきます』


 すぐに返信が来た。


 猫のスタンプ付き。


『陽太くん、おめでとう🐱♡ 本当によく頑張ったわね。あなたと美月さんの恋、ずっと応援してたわ。これから、二人で素敵な恋を育ててね。困ったことがあったら、いつでも来てね♪ あなたの成長を見られて、私も幸せよ。西野🌸』


 陽太(心の中→温かい):「先生…本当にありがとう。先生がいてくれたから、俺、美月ちゃんと出会えて、恋ができた。一生忘れない…」


 ---


 その夜、西野先生の自宅。


 西野先生がソファで3匹の猫と一緒にくつろいでいる。


 白いルームウェア。髪を下ろして、リラックスした雰囲気。


 ニャンコトークの画面を見ながら、微笑む。


『陽太くんの成長記録:完了』


『美月ちゃんとの関係:両想い確定』


『好感度:100%(恋愛成就)』


 西野先生(心の中):「陽太くん、美月さん…おめでとう。二人の恋、本当に素敵だったわ」


 黒猫(紫式部)が西野先生の膝に乗る。


 西野先生「紫式部、『源氏物語』みたいに、二人の恋も時間をかけて育ったわね」


 紫式部がニャーンと鳴く。


 白猫(清少納言)が西野先生の隣に来る。


 西野先生「清少納言、『枕草子』の言葉も、陽太くんを導いてくれたわね」


 清少納言がニャーンと鳴く。


 茶色猫(光源氏)が西野先生の前に来る。


 西野先生「光源氏、あなたの恋の知恵も、陽太くんに伝わったわ」


 光源氏がニャーンと鳴く。


 西野先生が3匹の猫を撫でながら、微笑む。


 西野先生「ありがとう、みんな。陽太くんと美月さんを、一緒に応援してくれて」


 西野先生がスマホに映る陽太のメッセージを読み返す。


 西野先生(心の中→温かい):「陽太くん…あなたの成長を見られて、私も本当に幸せ。これからも、美月さんと素敵な恋を育ててね」


 窓の外、満月が美しく輝いていた。


 西野先生が月を見上げる。


 西野先生「満月…心の庭が満開になった証拠ね」


 西野先生がニャンコトークを閉じる。


 西野先生「さて、次は誰の恋を応援しようかしら♪」


 西野先生がいたずらっぽく笑う。


 西野先生「でも、陽太くんと美月さんの恋、これからも見守っていくわ。二人の幸せが、ずっと続きますように♡」


 西野先生が3匹の猫と一緒に、月を見上げる。


 温かい夜。


 陽太と美月の恋が、花開いた夜。


 ---


 エピローグ:穏やかな日々、そして…


 翌日、放課後。図書室。


 陽太と美月が一緒に本を読んでいる。


 二人とも、紫の猫キーホルダーをカバンにつけている。


 美月「ねえ、桜井くん。次、どの本読む?」


 陽太「美月ちゃんが選んでよ。美月ちゃんの好きな本、俺も読みたい」


 美月「じゃあ、これ♪『竹取物語』」


 陽太「かぐや姫の話だね」


 美月「うん。でもね、私たちはかぐや姫みたいに離れないよ♪」


 陽太「うん。ずっと一緒にいよう」


 二人、笑顔で手を繋ぐ。


 その時、図書室のドアが開く。


 知らない男子生徒が入ってきた。


 長い髪を後ろで結び、古典文学の本を抱えている。


 美月がその生徒を見て、一瞬、目を見開いた。


 美月(心の中→驚き):「あの人…古典文学部の…」


 図書室の窓から、西野先生が見守っている。


 西野先生が少し複雑な表情で微笑む。


 西野先生(心の中):「陽太くん、美月さん…二人の心の庭、これからもっと色とりどりに咲いていくわ。でも…試練も、また訪れるのね」


 西野先生がそっと職員室へ戻る。


 ---


 空には、青空と白い雲。


 陽太と美月の恋は、新しい段階へ。


 西野先生が見守る中、二人の心の庭は、ゆっくりと、美しく育っていく。


『違う花でも、同じ庭で咲けば美しい』


 しかし、この平穏な日々に、新たな試練が訪れようとしていた—



(第6話・続く)



 ---


 💡 第6話の心理学・古典ネタ

 心理学理論:

 - 好意の返報性: 相手から好意を受けると、自分も好意を返したくなる心理

 - 恋愛感情の自覚: 相手のことを考えるだけで胸が温かくなる

 - 言葉にすることの重要性: 気持ちを伝えることで恋が花開く


 古典文学:

 - 『枕草子』「心ときめきするもの」: 相手のことを考えるだけで胸が温かくなること

 - 『源氏物語』: 「恋は時間をかけて育ち、言葉にすることで花開く」

 - 『紫のゆかり』: 縁を形にしたキーホルダーが二人を結ぶ

 - 『竹取物語』: エピローグで「離れない」約束


 🎭 次話予告

 第7話「薄雲の別れ~文学的恋への目覚め」

 両想いになった陽太と美月。しかし、古典文学部の美青年・藤原くんの登場で、美月の心に変化が…。文化祭後の新展開、次回へ!

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