呪殺コレクション
⓪帰らずのドア
探索者たちに伝えられた待ち合わせ場所は商店街の中腹、駅には近いけれど微妙に隠れている所です。
そこで事前にメールで送られてきた目標の『バニーカチューシャ』をつけたスーツ姿の男が現れます。
「テストプレイ参加予定の方々ですね?」
事前に送られたメールの画面を確認、点呼も終えて挨拶になります。
「申遅れました。私こう言うものです」
差し出された名刺には『P・W・Cグループ 営業 村守 二音』とあります。
「これから会場に向かうのですがその前に、事前にお伝えした通り機密保持のため、スマフォなどの通信機器、撮影機器はこちらのロッカーにお預け下さい。ついでに大きな荷物や危険なものも、お化け屋敷なので思わず使ってしまうかもしれませんので、あ百円玉はこちらに」
言われるまま荷物を預けて商店街へ、たどり着いたのは元は何の店だったのか、のっぺりとコンクリートの壁に木のドアだけ張り付いている建物です。
「見た目は小さそうですが奥行きはかなりあります。いわゆるうなぎの寝床ですね。地上げの結果とも言えますが、新しいテナントが入るまでの間、期間限定で地域密着型お化け屋敷を開く予定なんです。そのための説明を」
二音は改めて声を作ります。
「この世には邪悪な力で人を殺す呪われたアイテムが存在します。このドアもその一つ、通称『帰らずのドア』は潜ったものを二度と現世へと返しません。そうとは知らずに潜ってしまったあなたたち探索者の皆さんは、この中に待ち受けている数々の呪われたアイテムの脅威に立ち向かい、謎を解いて奥へ、脱出を目指す、と言った感じです。早い話がイマーシブ型、体験型お化け屋敷ってやつです。これを体験して感想を、が今回お願いする内容となります。あぁそうだ忘れる所だった」
ガサゴソ、二音が取り出したのは30ページの薄いノートと黒のサインペンを人数分、それを配ります。
「表紙にお名前を。これには中で思ったこと、感じたことをメモして下さい。終わった後直接お話しも伺いますが、このノートも回収、交換で今回の謝礼をお渡しするので大切にして下さい。で、少し時間がありますね。協力型のイベントなのでこの時間で軽く自己紹介でもして下さい」
言われた通り探索者が各々自己紹介終えると二音が何処からかのメールを受け取ります。
「準備が整いました。それでは、良き冒険を」
そう言ってドアを開け、中へと探索者たちを送り出し、そして締めます。
…………もしも心理学で判定し、成功すれば二音が嘘をついているとわかります。クリティカルなら、それがかなりの悪意に満ちているとわかります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます