王都へ!

第17話王様へ会いに!

「王様に会いに行こうと思います!」


ケンタウロスの事件から1週間、私はアーサーと四天王を会議室に招集して宣言をしていた。


「王はあなたでは?」

「ハルさん、今そう言うボケはいいの」

「いやボケでは…」

「人族の王様だよ。ユウシエッド…勇者が話を通しておくと言ってたんだけどその後王様から直接話を聞きたいという文書が届いたの」

文書を机に広げる。

「だから今日は誰が行くかを選別します!私は当然行きます!行って友好を深めてきます!」


「…魔王様、今日はテンション高いですね…」

「最近ずっと書類仕事で外に出る口実を見つけられてうれしいのかと…」

「聞こえてるよアーサーちゃん、ミドリさん!」

「おっと失礼…しかし行かなければいけない人はもうほぼ決定しているのでは?」

「まぁ、確かにそうだね。大人数で行くわけにもいかないし。目的が友好だからトップである私は確定、アーサーちゃんは外交補佐として絶対いてほしい。もう一人は護衛。誰が行くかは決まってないから相談したいの」


「護衛。確かに呼ばれたとはいえ人族は我々のことを警戒するでしょうからね。そうなると私たちより下の部下だと務まらないのではないでしょうか」

「少なくともハルさんのところは突撃部隊みたいになってるし難しいだろうね」

人相手に燃えながら攻撃とか平気でやりそうだ。

「我が弟、ロンギ…」

「ロンギさんはアーサーちゃんの教育によくないからダメ」


となるとやっぱり四天王のうちの誰かか。


「わたくしは城の業務がある故いけませぬ。それにアンデットは人族がびっくりしますからな」

そう言ってリッチーさんは申し訳ない顔をして一歩下がった。


「ふむ!では我が行こう!人族はどんな強い者がいるのか楽しみだ!」

「えっ、ズメイさんが?」

やばい、ズメイさんが行くとトラブルしか起こさない気がする。

ハルさん助けて!

「…?」

アイコンタクトで目をパチパチさせても意味がわかってないようだ。

あ、手を振ってきた。かわいいけどそうじゃない。


「戦力であれば我以上の者はいない!さぁ、共に人族の地へ旅立とうぞ!」

「あー、えーっと…」


言葉を選んで断ろうとしているとミドリさんがこちらを向いてにっこりと笑う。

「待ちなさいズメイ、自分も行きたい。皆行きたいんだ!公平にいこう」

そう言って植物の茎のくじをどこからか取り出してきた。

(お任せを)

この人イケメンが過ぎる。


結果、ハルさんが行くこととなった。

「ぬうぅぅぅ!!ハル!強そうな者がいたら教えてくれ!」

「は、はぁ」

ミドリさん、意図的にハルさんが当たるようにしたんだろうな。

ありがとうミドリさん。


出発は明朝、各自準備をして出発ということで解散した。



--魔王城地下牢獄にて--

小さな魔法石が一つ、冷たい床に転がっていた。

ピカ…ピカ…と断続的に光り、揺れている。

それはケンタウロスの暴走の光と全く同じ光。


その異変に、まだ誰も気づいていなかった。


魔王システム起動中…3%

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