第23話 結果と2択
定期考査から1週間近く経ち、すべての科目のテスト返却が終わり順位や平均点をまとめた個票が、週に1度のロング学活の時間に配られる。
個票は名簿順に配られていき、先に受け取った人の反応を見たり、何人かでそれぞれ見せ合いをしたりしている。
そして、僕も個票を受け取りまずは黙々と結果を見ていたのだが、想像していた結果とはかなり違っていたので、思わず「え?」と口にしてしまった。
すると、未来が「良どうだった?」と聞いてきたり、ちょうど受け取り終えた丸井くん、そして山形くんが僕の反応を気にする。
僕は見てもらうのが分かりやすいと思ったので見せることにした。そうすると、未来たちは
「おー!うーん…?」 「これまた極端な結果だなぁ」 「ガクンガクンだ」という反応をしていた。
未来たちの反応のとおり、かなり極端な結果となり、文系科目はどれも8割を超えていた。理解科目には触れないでおこう…
まあ要するに、文系科目が上りで、理系科目が下りのジェットコースターに乗った気分になるような結果だった。
ちなみに後から未来も結果を見せてくれたのだが、理系の未来は僕と逆のジェットコースターに乗っていた…
偏った結果にはなってしまったので少し不安だが、おそらく僕と仲の良いみんなが補習になることはなさそうで一応安心をした。
しばらくして、まだ各々が席を移動して結果を見せあったり、結果を振り返ったりしているなか、担任の向山先生から話があるようで席に着くように全体へと促す。
みんなが席に座ったあと、向山先生は明るい声でさらっと恐ろしいことを口にした。
「試験の結果どうだった?得点が低かった人は覚悟しておいてね!」
話を聞いて、「ひょえ!」と声を出す青竹に周りの何人かが「お前やばいかもな」と笑いながら鋭いツッコミを入れる。
青竹はいかにも補習が決まったかのように「運命は受け入れるさ!」と口にする。
それに対して、意外なことに向山先生は「一緒に頑張ろう!」と青竹をいじり教室に笑いが広がる。
そして、向山先生は話を続けた。
「今日の残りの時間なんだけど…どうしたい?」
「どうしたいって!?」
「何をやるか選んでいいんですか!」
という珍しいことにびっくりしたみんなの反応が教室に広がる。
少し待って静かになると、向山先生は
「まあ2択のどっちかかな。みんな、文化祭の話し合いをするか、席替えのどっちが良い?」
「うおおおおー!」
「どっち選んでも天国じゃん!」
などと何人かが露骨に嬉しそうな反応をする。
悩んでいるクラスメイトが多かったが、僕は文化祭の話し合いが良いなと思った。なぜか考えたとき、きっと僕は未来が後ろにいるこの席を失いたくないのだと思う。
向山先生の話を聞いて、5組の女子のなかで男子人気の高そうな加守さんが発言をする。実際、加守さんの色恋沙汰の噂は後を絶たず、好きな人も多いのだろう。けれども、少なくとも僕は1人のクラスメイトとしてしか加守さんを見ていない。
「やまちゃーん、席替えするとして、席って自由?」
「時間ないから席替えはくじ引きでやるよ!」
これを聞いて、
「くじ引きかぁ…」「何とも言えないな…」
という微妙な反応が増える。
ちなみに、一部の生徒は向山先生のことをやまちゃんと呼んでいるが注意されることもなく、かといって生徒のほうも見下すとか馬鹿にするようなわけでもない。単純に先生と生徒の距離が近く親しみやすいということだ。
しばらくして向山先生が文化祭の話し合いか席替えのどちらが良いか多数決を取る。
結果はズバリ文化祭の話し合いに決まり、席替えはまた今度することになった。僕はこの結果を踏まえて、この席でいられることに良かったと心から思っていた。
きっと、僕は僕の思う以上に今の席、或いは今の環境に満足していて大切に思っているのだろう。
そして、文化祭の話し合いが始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます